オレが嫌いでも愛してね~ヤンデレとヤンデレの攻防~

かぎのえみずる

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第九話 利用する小悪魔へお仕置き

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 あれから奏さんがやってきて、「すげえなお前」と感心しながら手錠を外してくれた。
 足枷も外したあたりで何故やってきたのか、話を聞けることとなった。

「迎えにいってやってくれと言われた、旋風に。拉致監禁で唯一の生存者だよ、お前は。一体どんな手を使ってあの坊やを諦めさせたんだ?」
「違う、違うんだよ、奏さん。あの子が、あの子こそがオレの恋人に相応しい人なんだよ」
「……うん?」
「この部屋を見てよ、オレのことしか考えてないじゃん! そのあげくにオレの廻りの奴全部殺したって!? ……ッ最高じゃん……」
「……うーん、お兄さんね、結構色んな人見てきたけど。お前らほど関わりたくない人種初めてよ。もうお似合いだな。僕は二人に見逃して貰えて幸福だと悟ったよ」

 要するに相性いい恋人達ねって言いたいんだろう、有難う。
 旋風は今頃どうしてるのかと聞いたら、分からないと返答が奏さんから来て不服だった。
 メッセージアプリからの通知を復活させ、通知を見れば絶えずしてオレを心配しながらも怯える旋風の姿があった。
 可愛い可愛いオレだけのハムスターなんだから、捕まえないと。
 悪い子犬や、悪い猫に食べられては大変だから。

「奏さーん、お願いがあるんだけどーお」
「うーわー、聞きたくないけど可愛い顔するから聞きたくなるうー」
「しばらく奏さんの廻りにいさせてよ。えっちしてもいいし。それくらいの礼はするよ。代わりに、旋風捕まえるの協力して。そうしてくれたら、旋風に今後、奏さんに有利になるよう働きかける努力するんだけどなー?」
「要するに君たちの恋路を応援しろと? 当て馬になれと?」
「そういうこと、ああ、別にむかついて殺したくなったらそれはそれでいいよ。そしたら旋風がまた来てくれるきっかけになるからさ」
「……とんでもない子を抱いてたんだなって思い知ったよ、とりあえず、うちに帰るか。此処で当て馬になるために抱くのも気が散るし、折角なら思い切り愉しまないとな」
「奏さんのそういう快楽主義なとこ、好きだったよオレ」
「現在進行形じゃなくて安心するよ、有難う」

 奏さんはあきれ顔でも笑ってくれて、手を繋いで帰ってくれた。
 腕を組むんじゃなくて、手を繋ぐあたりが奏さんらしいな、と少し笑いたくなった。

 奏さんの部屋に戻るなり、オレは布団に転がされる。
 服は剥ぎ取られ、奏さんは自分で服を脱ぐと入れ墨が目に見える。
 この人、虎は早死にの入れ墨なんだからやめときゃーいいのに虎を入れ墨にしてる。
 本人はお気に入りの虎だ。その背中を触ろうとすると、「駄目だよ」と冷たい視線が刺さった。
 どうやら聖域らしいので、しょうがなくオレは奏さんの腕の中に収まり、愛でられることとした。
 メッセージアプリの通知音が酷くなる、何回もぴこんぴこんと鳴り。その通知音はどんどん早くなっていく。まるで旋風の鼓動みたいでどきどきする。
 頬を赤らめ火照った身体で、目当てと違う男を招き寄せ口づける。

 見てるか? 旋風。
 他の男に抱かれるぞ。黙って見てていいのか?
 可愛いね、嫉妬で今頃気が狂ってるんだろうな。それともオレの視線がまだこびりついて、怯えたままかな?
 どちらも可愛い姿だから、今度奏さん旋風の目の前でオレを抱いてくれないかなって過ったがそれこそ奏さんに殺されそうだ。
 馬鹿にするなと。

 奏さんの逞しい腕の中で、蹂躙され、胸の尖りをしつこいほど愛撫される。
 もう既に赤く膨れ上がり、ぷっくらとしている。
 なのにまだそこを弄り、下腹部に触れてくれないのだから酷い人だ。
「あっ、もっと、もう、お願い、触ってえ」
「駄目だ、僕を利用とするお仕置き」
「あはっ、そう言いながら抱いてくれる奏兄さん好きだよ」
「お前の目が言ってるんだよ、そうしなきゃ殺すって。命は一つだって言っただろ。下手に同業相手にするよか怖いな、お前らのほうが」
「あ、……そこ、きもちいい、ふふ、普段の閨の睦言よりドキドキする」

 それはきっと旋風が今頃どうなってるか想像しながら抱かれるってのもあるんだろうな。
 可愛い可愛い旋風。
 オレのことで頭一杯の旋風なのに、可哀想。

 指で後ろを解されると、オレの腰は自然と揺れる。
 いつもより、余計に淫らになって、声も甘くなる。
「かなで、さん、かなでにいさん、お願い。もっとぉ」
「普段そんだけ可愛げが欲しかったな」
 前立腺をずっとぐにぐに押されるものだから、僕は身体をくねらせ、腕の中に奏さんを引き寄せ視線で媚びる。
 涙目で見上げて、掠れる声で「お願い」と言い続けるも、奏さんは表情を崩さない。

「何がお願いなんだ」
「あっ、あっ、もっとえっちなこと、して、ください」
「たとえば? 何が欲しい?」
「ん、ああっ! おちんちん、ッおちんちんちょうだいッ……ねえ、もう限界なんだよ、お願い、だから……ッ」
「他の男考えながら強請るなんてとんだマナー違反の変態だな」

 嘲る奏さんにさえときめき、ぞくぞくと悦が身体を突き抜けるものだから、声が甘く漏れる。
 腰を盛りのついた雌犬のように振り、誘おうとする、欲しい欲しいと。
 奏さんはオレにキスをして脇を舐めて羞恥を煽ってから、指をつぷりと抜き、隆起した怒張を宛がった。
 膨らみは硬く、オレを一突きで貫き、あまりの深さにびくびくと身体が波打ち深い悦を得る。
 布団で汗が飛び散る、がつがつとするわけでもなくゆったりと淡々とした一定のペースで腰を打たれるけど、そのほうがかえってやばい。
 じわじわと悦で追い詰められていく感覚に、達したいと告げれば、指でわっかを作られ男根に添えられ達するのを封じられた。

「嗚呼ッ!! なんで、なんで!? イきたいのに……ッ」
「言ったろ、最近少し我が儘だからお仕置き」
「ああんっ!! やだあ、イきたい、イきたいのにぃ……!!」
「おっと逃げるなよ」

 腰が逃げかけると片手でがしっと捕らえられ、尻たぶをばしんっと強く叩かれ、その衝撃だけで快楽を感じ取ってしまう。
 ちかちかとした感覚を味わいながら、はふはふと呼吸を興奮しながら漏らし、やがて掌で打たれるだけで中で達して下半身ががくがくと揺れて、力んでから中が弛緩する。
 ぼうぜんとするも奏さんが解放してくれたオレ自身はまだ張り詰めてとろとろと白き蜜を垂れ流したまま。
 ああ、達したい達したい、前で達したい。
 情けなくもオレは自慰で慰め、奏さんのまだ動く身体から与えられる悦にも重ねがけしてもらい、達した。

 はー、はー、と蕩けた顔で涎が口端から垂れると奏さんと深いキスをし。
 その頃に、旋風は戻ってきた。

「こ、ろしてやる」
「それでもいいけど、その場合は恋するのはオレで最後にしろよ。オレの後にも恋人が出来るなんて許さない」
「ッ……!! 日向さん、……分かんないよ。なんで、何で僕を愛してると言いながら、奏に抱かれるのですか!?」
「そうしないと引きこもりの小鼠が出てこないからだよ。巣穴に籠もられたら、一般人のオレには居場所わかんないの。それに……オレのことで頭が百パーセントになっただろ?」
「……日向、さん、は、僕のだ……日向さんは僕のだ、当然だ! 嫉妬で頭には貴方のことばかりだ!!」
「素敵な永遠だよ、旋風、大好き」
「……日向さんと、いる、と。おかしくなる。認められるなんて、そんな。おかしい、僕の気持ちを受け入れて貰える都合の良い夢なんてあり得ない!」
「認められなくて寂しかったんだろう? 大丈夫、オレはお前を愛している」

 旋風はその場にへなへなと座り込み、呆然としていた。
 奏はその様子を見て、服を着込むなり旋風の肩を励ますように。もしくは「こんな奴やめとけ」という意味を込めたのか叩いて、去って行った。

 旋風はぐす、と泣きながら語り出す。

「狼は月に惚れ込んで何回も遠吠えするけれど。月には絶対届かない。恋なんてそんなもんでしょう? なのに、どうして貴方は月から降りてきて、狼の前に自ら調味料ごと現れるのですか」
「狼に食べられたくなるほどに、狼が理想の食事方法を提案していたからだ。世界中の何処を探したっていない愛し方。運命だよそんなの」
「僕は運命など嫌いです。偶然だけれど、貴方と僕の出会いは故意であって欲しいのです」
「旋風が願うならそうでもいいよ」
「貴方は、どうして、そんな、僕に甘いの……」
「愛してるから」

 信じられないといった眼差しを旋風はまだしたままだ。
 にこりと微笑むと、旋風は怯えた顔つきで近寄り、オレをそっと抱きしめる。
 他の男の香りがするオレを抱きしめ、嫉妬で顔を真っ赤にする。

「僕はずっと頭がおかしいのだと思って生きていたし、廻りも否定しませんでした。しかし、日向さん。それ以上に貴方はおかしい」
「そう、おかしいから……逃がさない、仕留めてやるよ」

 旋風にキスをしかけると、股ぐらをもじもじしながら旋風はキスを受け入れた。

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