兄さん覗き見好きなんだね?

かぎのえみずる

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第一部 自覚と狂宴

第十三話 求め

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 オーナーが腰を振る度、前がベッドで擦れるが縛られているため、せき止められている。イきたくてもイけない。
 それでも背筋がぞわりぞわりと激しい悦が行き来し、もっともっとと快楽が欲しくなる。
 嫌だ、堕ちたくない――!
 このままだと柚は、オーナーの手腕により、快楽の奴隷になってしまいそうだった。
 だがしかし、理性を僅かに繋げているのは気に掛かる枯葉のこと。
 喘ぎ声が溢れて、せき止められず、ついにはきゅっと後ろが締まりびくびくと身体に電流が走る――!

「アッ、やだ、……ッあああ!!」
「ッ……ああ、中きもっちいいなァ、最高柚ちゃんの中!!」

 オーナーは嬉々として白い迸りを中に注ぎ込む。柚の内壁は蠢き、もっともっととオーナーから精液を搾り取るような蠢きであった。
 互いに息を乱し、まだ柚が達してる最中にオーナーは身体をひっくり返し、根元を弄る。

「やだ、そこ、駄目」
「柚ちゃんの駄目は、いい、ってことだろ。嘘吐くなよこの雌犬」
「駄目、だめ、だからあ」

 首を震え甘ったるい声で拒絶されても、燃え上がるだけだと知らない柚はあほなのかとオーナーは酷薄な笑みを浮かべた。
 その笑みを見た瞬間に、柚は気付いた――オーナーは、自分の身体をたった一度だけ抱くつもりではないのだと。

 徹底的に、雌落ちさせたいのだと気付いた。

「あ、あ……」
「柚ちゃん、ああ、もうたまんないな、ここぷるぷるしてる」

 オーナーは縛られてる自身をそっと撫でたので、ぶるりと思わず震えた。
「そろそろ外してあげる」

 簡単に外れると、オーナーは柚に射精を促そうとした。





 オーナーの自分をしごく手つきで熱が高まり、この場にいない名を切なげに求める柚。
 只管に枯葉、枯葉、と呼び続ける姿は扇情的で、何かイケナイものにオーナーは目覚めそうであった。

「はぁ、ん……や、だ」
「艶っぽい声でてるのに?」
「たす、助けて、かれはあ」
「呼んでも無駄だ、柚ちゃん。あいつ仕事中だから」
「枯葉、枯葉ァ……!!」

 どんどんどん!!

 ノック音が響き、オーナーは舌打ちする。
 中へ欲をたっぷり注ぎ込んでから、オーナーは扉を開ける。
 柚はぐでりとし、ただただベッドから扉を見つめている――扉から見えたのは、魂の片割れ。枯葉だ。


 体中にキスマークをつけ、噛み痕をつけ。
 それでも息を荒げやってきた枯葉の姿は、一部で王子様扱いされる存在だという事実に納得するオーナーだった。

「何してるんですか」
「そっちこそ、仕事はおざなりか? え?」

 既に枯葉の仕事は終えて、状況をとあるカップルの一人から聞けば、慌ててかけつけたのだった。
 確かにオーナーが買ったのは聞いていたが、兄には部屋から出るなといったのに!
 そんな空しい抵抗だけで柚を守れるなど、枯葉のあまりにもお粗末な浅知恵だった。


「枯葉?」
「兄さん、大丈夫、僕が来ました」

 枯葉の登場に、柚はほっとするも枯葉を見るなり火照る身体に動揺を隠せない。
 柚の足からつつ、と白い液体が伝い、枯葉は目を見開く。



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