14 / 35
第一部 自覚と狂宴
第十四話 理解できた大事な想い
しおりを挟む
オーナーは軽い調子で、あっけらかんと枯葉へ言い放つ。
「中に出しちゃった」
「くず人間、殴ったら金払えって言うんでしょう」
「よく判ったな、一緒に喰う? 今なら許可してやるよ」
オーナーはへらへら笑ってからそうっと柚へ視線を向ける――嗚呼、可愛い顔してる。
枯葉はオーナーを無視して柚の腕を掴む、柚はぐらりと倒れかけて、枯葉にもたれ掛かる。
「兄さん、お風呂入りますよ、僕に捕まって」
「あ、足、たたねぇ……」
「ほんっとに……!! いいから立って! 早く、掻き出したいんです!」
掻き出して自分しか知らぬ聖域に戻したい。
それでも枯葉は自覚していた、自分には責める資格は持っていない。
だってここはそういう場だ。
人を売り買いする場でもあるのだと、忘れていた自分たちがあまりにも子供すぎた。
お金は貯めよう、貯めてここをやめる手切れ金として作ろう。
枯葉は悔しさで目を潤ませながら、オーナーを睨み付ける。
とっておきの宝物が穢れた、大事に大事にしまっていたのに。
オーナーの目が物を言う、しまう場所を間違えた枯葉が馬鹿なのだと。
枯葉が詰め寄ればオーナーは煽るように、枯葉の顎をくいと持ち上げた。
「枯葉、いいからこのまま参加か退場かどっちかだ、それともお前も同じ目に遭いたいか?」
「ゴミみたいな大人だ……!」
同僚に感謝だ、よくぞまぁあの悪魔はタイミングを重ねてくれたものだ。
偶々同僚がすれ違いざまに教えてくれたからいいものの、あのままだったら柚は枯れた目をしてしまっていただろう。
枯葉はオーナーを振り払い、柚の近くで膝を折った。
「兄さん……兄さん!」
「枯葉……あの、さ。俺、やっと判ったんだ」
柚は震える身体で、泣きじゃくる枯葉を抱き寄せる。
「枯葉、おいで、大丈夫」
柚は枯葉へとキスをした――あの、柚が自分から。
その時点で選択肢はなく、枯葉は柚を二人で抱くことを許諾した。
枯葉は柚からのキスに、驚き顔を真っ赤にさせて喜びかけたが、状況が状況だ。
このまま、ヤるしかない。
扉を開けっ放しにしてるから、覗き込む無礼な客もいた。
「次は私があの子を買おう!」
「いいやいっそ二人とも買って楽しむのもありだ!」
下卑た言葉の数々に枯葉は、頭を抱える。
身体を柚に寄りかからせ、枯葉は耳を塞ぐ。
そんな枯葉の弱った姿を見せたくない思いで、柚は枯葉を世界中から守るように抱き締めた、オーナーに提案する。
「あの、出来れば、扉を、しめてください」
「いいぜ、なぁ柚ちゃん、提案があるんだ」
オーナーは柚へ耳打ちする、密やかな声は子供のように無邪気さだ。
「枯葉は今後単独で売るけど、柚ちゃんはオレが買い続けてあげる。どこの馬の骨ともしれない奴よりマシだろ? 勿論枯葉と柚ちゃん二人だけでヤるチャンスも、柚ちゃん次第では増やそうかな」
「中に出しちゃった」
「くず人間、殴ったら金払えって言うんでしょう」
「よく判ったな、一緒に喰う? 今なら許可してやるよ」
オーナーはへらへら笑ってからそうっと柚へ視線を向ける――嗚呼、可愛い顔してる。
枯葉はオーナーを無視して柚の腕を掴む、柚はぐらりと倒れかけて、枯葉にもたれ掛かる。
「兄さん、お風呂入りますよ、僕に捕まって」
「あ、足、たたねぇ……」
「ほんっとに……!! いいから立って! 早く、掻き出したいんです!」
掻き出して自分しか知らぬ聖域に戻したい。
それでも枯葉は自覚していた、自分には責める資格は持っていない。
だってここはそういう場だ。
人を売り買いする場でもあるのだと、忘れていた自分たちがあまりにも子供すぎた。
お金は貯めよう、貯めてここをやめる手切れ金として作ろう。
枯葉は悔しさで目を潤ませながら、オーナーを睨み付ける。
とっておきの宝物が穢れた、大事に大事にしまっていたのに。
オーナーの目が物を言う、しまう場所を間違えた枯葉が馬鹿なのだと。
枯葉が詰め寄ればオーナーは煽るように、枯葉の顎をくいと持ち上げた。
「枯葉、いいからこのまま参加か退場かどっちかだ、それともお前も同じ目に遭いたいか?」
「ゴミみたいな大人だ……!」
同僚に感謝だ、よくぞまぁあの悪魔はタイミングを重ねてくれたものだ。
偶々同僚がすれ違いざまに教えてくれたからいいものの、あのままだったら柚は枯れた目をしてしまっていただろう。
枯葉はオーナーを振り払い、柚の近くで膝を折った。
「兄さん……兄さん!」
「枯葉……あの、さ。俺、やっと判ったんだ」
柚は震える身体で、泣きじゃくる枯葉を抱き寄せる。
「枯葉、おいで、大丈夫」
柚は枯葉へとキスをした――あの、柚が自分から。
その時点で選択肢はなく、枯葉は柚を二人で抱くことを許諾した。
枯葉は柚からのキスに、驚き顔を真っ赤にさせて喜びかけたが、状況が状況だ。
このまま、ヤるしかない。
扉を開けっ放しにしてるから、覗き込む無礼な客もいた。
「次は私があの子を買おう!」
「いいやいっそ二人とも買って楽しむのもありだ!」
下卑た言葉の数々に枯葉は、頭を抱える。
身体を柚に寄りかからせ、枯葉は耳を塞ぐ。
そんな枯葉の弱った姿を見せたくない思いで、柚は枯葉を世界中から守るように抱き締めた、オーナーに提案する。
「あの、出来れば、扉を、しめてください」
「いいぜ、なぁ柚ちゃん、提案があるんだ」
オーナーは柚へ耳打ちする、密やかな声は子供のように無邪気さだ。
「枯葉は今後単独で売るけど、柚ちゃんはオレが買い続けてあげる。どこの馬の骨ともしれない奴よりマシだろ? 勿論枯葉と柚ちゃん二人だけでヤるチャンスも、柚ちゃん次第では増やそうかな」
10
あなたにおすすめの小説
弟がガチ勢すぎて愛が重い~魔王の座をささげられたんだけど、どうしたらいい?~
マツヲ。
BL
久しぶりに会った弟は、現魔王の長兄への謀反を企てた張本人だった。
王家を恨む弟の気持ちを知る主人公は死を覚悟するものの、なぜかその弟は王の座を捧げてきて……。
というヤンデレ弟×良識派の兄の話が読みたくて書いたものです。
この先はきっと弟にめっちゃ執着されて、おいしく食われるにちがいない。
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜
小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」
魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で―――
義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!
【完結】弟を幸せにする唯一のルートを探すため、兄は何度も『やり直す』
バナナ男さん
BL
優秀な騎士の家系である伯爵家の【クレパス家】に生まれた<グレイ>は、容姿、実力、共に恵まれず、常に平均以上が取れない事から両親に冷たく扱われて育った。 そんなある日、父が気まぐれに手を出した娼婦が生んだ子供、腹違いの弟<ルーカス>が家にやってくる。 その生まれから弟は自分以上に両親にも使用人達にも冷たく扱われ、グレイは初めて『褒められる』という行為を知る。 それに恐怖を感じつつ、グレイはルーカスに接触を試みるも「金に困った事がないお坊ちゃんが!」と手酷く拒絶されてしまい……。 最初ツンツン、のちヤンデレ執着に変化する美形の弟✕平凡な兄です。兄弟、ヤンデレなので、地雷の方はご注意下さいm(__)m
たとえば、俺が幸せになってもいいのなら
夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語―――
父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。
弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。
助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
ある日、人気俳優の弟になりました。2
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。穏やかで真面目で王子様のような人……と噂の直柾は「俺の命は、君のものだよ」と蕩けるような笑顔で言い出し、大学の先輩である隆晴も優斗を好きだと言い出して……。
平凡に生きたい(のに無理だった)19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の、更に溺愛生活が始まる――。
ある日、人気俳優の弟になりました。
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる