26 / 35
第二部 視線
第二十六話 美味しいチェリー
しおりを挟む
帰る時間まで抱き締め合っていた枯葉だったが、ベビードールを脱がし、それをゴミ箱に捨てながら残念そうな表情をした。
「兄さん、あのね、さっきのベビードールを着て、お客さんの前に出て貰います」
「……さ、っきの?」
「新しいベビードールになるんですけれど、デザインは変わりません。お客さんのハジメテを奪う感じで、淫乱に演じてください……そんな顔しないで。僕も心苦しいのですよ」
あまり気が進まない感情が表に出たのだろう、柚ははっとして首を振る。
枯葉だって耐えて他の客とえっちできてるのだ、自分だって頑張って金を貯めねばなるまいと柚は決意し「判った」と告げた。
「枯葉、家の鍵貸して…………俺、持ってくるの忘れた」
枯葉と柚は帰る時間をずらしていた、毎度一緒では仲が良すぎると親も変に思うだろうから。
何でも無い、他愛ない話をしようと柚は、枯葉の顔を見て決めた。
枯葉の表情はあまりにやるせない。
「進路決めたか? 教育学部がいいな、俺は……」
「僕はまだ、内緒です」
「何でだよ、教えろよ……」
「だって、多分僕は受験することになる、今決めてるとこにするなら」
柚たちの学校はエスカレーター式で、ある程度優秀であれば、希望学部を提出するだけで認められれば大学を望めるものだった。
枯葉自身は頭が良く回り、勉強の仕方も自分なりにやれば得意であった。
「受かったら兄さんに真っ先に教えるので、身体でお祝いしてくださいね」
「ばーか……プレゼントの一つはくれてやるよ」
*
とうとうこの日がきた、兄はベビードールとショーツだけを身に纏い。
枯葉は客のリクエストで、白い学ランを身に纏う。
学生らしい若者を視線だけでも味わいたいという変態的な要望のせいだ。
柚を競り落とした客は、大喜びでシャワーを浴びている。
その間に柚の性感が落ちないようにと、胸を弄ったり身体を触ったりしているのだが、この部屋は確かに仕掛けがあった。
大画面で柚と枯葉のいる部屋を、大勢で見ている部屋がスクリーンで見えるのだ。
つまり、自分たちのえっちや、それで盛り上がる沢山集ってる人々も観察できる、まさに兄好みの部屋だ。
兄の身体を弄って兄が僅かに震える度に、客が嬉しげにうっとりと見つめている。
それがリアルタイムに間近に判る部屋だ――。
客がシャワーからあがるなり、枯葉は柚の身体に触れるのをやめ、客へ柚を誘導する。
誘導された柚は、おずおずと口淫で客の肉棒を起立させていき、客は気持ちよさに吐息をつく。
客が吐息をつく間に柚は、枯葉からやり方を教わった口でゴムをつけるという手に出る。
ゴムがつけば、客はベッドで寝そべり、柚は客の上に跨がる。
まだ現時点では挿入しない。
「これがあの夢にまで見た、可憐な赤い蕾ですか、可愛い膨らみだ」
客がくにくにと柚の胸の尖りを弄り、やがてむしゃぶりつき、赤ん坊のように吸い続ける。
柚の性感が更に高まるように後ろから枯葉は、耳を蹂躙する。
「お客様、うちの兄さんは美味しいでしょう?」
「ああ、ああ! 甘美な背徳の味がするよ……表情を見たまえ、気持ちよさに困惑している! 私を誘惑するいけない子だ」
息づかいが荒い客に、柚は流し目をし、相手の唇へ人差し指を置く。
「お客様も、美味しそうなさくらんぼです、よ……」
緩く笑みを浮かべ誘う様は、確かに夢魔のようであった。
「兄さん、あのね、さっきのベビードールを着て、お客さんの前に出て貰います」
「……さ、っきの?」
「新しいベビードールになるんですけれど、デザインは変わりません。お客さんのハジメテを奪う感じで、淫乱に演じてください……そんな顔しないで。僕も心苦しいのですよ」
あまり気が進まない感情が表に出たのだろう、柚ははっとして首を振る。
枯葉だって耐えて他の客とえっちできてるのだ、自分だって頑張って金を貯めねばなるまいと柚は決意し「判った」と告げた。
「枯葉、家の鍵貸して…………俺、持ってくるの忘れた」
枯葉と柚は帰る時間をずらしていた、毎度一緒では仲が良すぎると親も変に思うだろうから。
何でも無い、他愛ない話をしようと柚は、枯葉の顔を見て決めた。
枯葉の表情はあまりにやるせない。
「進路決めたか? 教育学部がいいな、俺は……」
「僕はまだ、内緒です」
「何でだよ、教えろよ……」
「だって、多分僕は受験することになる、今決めてるとこにするなら」
柚たちの学校はエスカレーター式で、ある程度優秀であれば、希望学部を提出するだけで認められれば大学を望めるものだった。
枯葉自身は頭が良く回り、勉強の仕方も自分なりにやれば得意であった。
「受かったら兄さんに真っ先に教えるので、身体でお祝いしてくださいね」
「ばーか……プレゼントの一つはくれてやるよ」
*
とうとうこの日がきた、兄はベビードールとショーツだけを身に纏い。
枯葉は客のリクエストで、白い学ランを身に纏う。
学生らしい若者を視線だけでも味わいたいという変態的な要望のせいだ。
柚を競り落とした客は、大喜びでシャワーを浴びている。
その間に柚の性感が落ちないようにと、胸を弄ったり身体を触ったりしているのだが、この部屋は確かに仕掛けがあった。
大画面で柚と枯葉のいる部屋を、大勢で見ている部屋がスクリーンで見えるのだ。
つまり、自分たちのえっちや、それで盛り上がる沢山集ってる人々も観察できる、まさに兄好みの部屋だ。
兄の身体を弄って兄が僅かに震える度に、客が嬉しげにうっとりと見つめている。
それがリアルタイムに間近に判る部屋だ――。
客がシャワーからあがるなり、枯葉は柚の身体に触れるのをやめ、客へ柚を誘導する。
誘導された柚は、おずおずと口淫で客の肉棒を起立させていき、客は気持ちよさに吐息をつく。
客が吐息をつく間に柚は、枯葉からやり方を教わった口でゴムをつけるという手に出る。
ゴムがつけば、客はベッドで寝そべり、柚は客の上に跨がる。
まだ現時点では挿入しない。
「これがあの夢にまで見た、可憐な赤い蕾ですか、可愛い膨らみだ」
客がくにくにと柚の胸の尖りを弄り、やがてむしゃぶりつき、赤ん坊のように吸い続ける。
柚の性感が更に高まるように後ろから枯葉は、耳を蹂躙する。
「お客様、うちの兄さんは美味しいでしょう?」
「ああ、ああ! 甘美な背徳の味がするよ……表情を見たまえ、気持ちよさに困惑している! 私を誘惑するいけない子だ」
息づかいが荒い客に、柚は流し目をし、相手の唇へ人差し指を置く。
「お客様も、美味しそうなさくらんぼです、よ……」
緩く笑みを浮かべ誘う様は、確かに夢魔のようであった。
0
あなたにおすすめの小説
弟がガチ勢すぎて愛が重い~魔王の座をささげられたんだけど、どうしたらいい?~
マツヲ。
BL
久しぶりに会った弟は、現魔王の長兄への謀反を企てた張本人だった。
王家を恨む弟の気持ちを知る主人公は死を覚悟するものの、なぜかその弟は王の座を捧げてきて……。
というヤンデレ弟×良識派の兄の話が読みたくて書いたものです。
この先はきっと弟にめっちゃ執着されて、おいしく食われるにちがいない。
【完結】弟を幸せにする唯一のルートを探すため、兄は何度も『やり直す』
バナナ男さん
BL
優秀な騎士の家系である伯爵家の【クレパス家】に生まれた<グレイ>は、容姿、実力、共に恵まれず、常に平均以上が取れない事から両親に冷たく扱われて育った。 そんなある日、父が気まぐれに手を出した娼婦が生んだ子供、腹違いの弟<ルーカス>が家にやってくる。 その生まれから弟は自分以上に両親にも使用人達にも冷たく扱われ、グレイは初めて『褒められる』という行為を知る。 それに恐怖を感じつつ、グレイはルーカスに接触を試みるも「金に困った事がないお坊ちゃんが!」と手酷く拒絶されてしまい……。 最初ツンツン、のちヤンデレ執着に変化する美形の弟✕平凡な兄です。兄弟、ヤンデレなので、地雷の方はご注意下さいm(__)m
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?
ある日、人気俳優の弟になりました。
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
ある日、人気俳優の弟になりました。2
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。穏やかで真面目で王子様のような人……と噂の直柾は「俺の命は、君のものだよ」と蕩けるような笑顔で言い出し、大学の先輩である隆晴も優斗を好きだと言い出して……。
平凡に生きたい(のに無理だった)19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の、更に溺愛生活が始まる――。
転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
たとえば、俺が幸せになってもいいのなら
夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語―――
父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。
弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。
助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる