兄さん覗き見好きなんだね?

かぎのえみずる

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第二部 視線

甘い時間――終

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 世界中の誰かから、祝福されて柚と結ばれたいなんて思ったことがない。
 柚を自慢したかった時期はとうに過ぎた、散々覗かれてきたのだから。

 ソレを踏まえて、枯葉は勉強帰りに寄った喫茶店で、あちこちにいるカップルを見ては、嘆息をつく。
 別に、別に人目を憚らずいちゃつけるのが羨ましいわけではないが、クリスマスという時期自体には憧れはある。

 できればクリスマスには柚を頂きたい。
 泣き惑う柚に近づき押し倒し、中が精子で泡立つまでかき混ぜていたい欲はあるのだ。
 だが、悲しいかな、兄はさっさとクリスマスにバイトをいれてしまっていた。

 元から色恋の行事に疎い人ではあったけれども。
 何せ鉄壁警備員だし、と脳内で柚に対して八つ当たり気味に、柚を次えっちするときどうしてやろうかと企てる。

 それに課題が出来ていないからと柚はえっちをさせてくれないのだ。
 気遣いは判るが、かえって苛立ち集中力は落ちる。

 喫茶店でコーヒーを飲み終われば、枯葉はさっさと店を出、予定より早めの帰宅をした――そこで思いも寄らない素晴らしい光景に出くわす。

 なんと、部屋で柚が自慰をしている、それも涙目で切ない顔で己を求める声。
 暫くは黙って覗いていたのだが、やがて扉がかたんと鳴り、柚が枯葉に気付く。
 柚は慌てて布団を腰にかけ、真っ赤な顔で枯葉を睨んでいた。

 枯葉は参ったな、と理性がぶち切れ、柚に笑いかけていた。

「どこを触っていたんです?」
「……後ろ。な、なんだよ、部屋戻れよ」
「へーえ、兄さん僕じゃなくても満足できるんですね、指で?」
「あ……」

 枯葉は緩く優しく撫でるように服の上から、乳首をこりこりと弄くってやる。
 それだけで久しぶりの刺激に、柚はびくんと身体を跳ねさせて、もっと、と強請る。

「勉強中は駄目、でしたっけ?」
「あ……もう、意地悪、する、なよ」
「駄目、欲しいならきちんと言って」
「枯葉の、でかい、やつ、頂戴……」

 柚は息を乱し、既にふわふわになるまで慰めていたアナルを差し出すように、尻を突き出して向ける。
 純潔を捧げられた気がした枯葉は一気に猛り、口端がつり上がる。

 クリスマスのディナーくらいは、甘えても許されそうだなと予感し、枯葉はそのまま柚を頂いた――。

「柚、もっと僕を呼んで」
「枯葉、ンぅ、あ、そこ、いい、もっと」
 柚のイイトコロを狙い雁で引っ掻けば、よりいい声をあげそうになっていた柚だったが、何とか理性が自宅だと覚えていて、声を我慢した。
 枯葉は今、親がいないのを知っているが敢えて意地悪する。

「声、聞こえたらばれちゃいますね、変態な兄さんが」
「や、だあ……変態、じゃ、ない」
「僕のセックス見て興奮していたのに?」

 過去を思い出したからか、柚の身体はぷるぷると震え、身体はピンクに染まりつつある。
 刺激的な枯葉の律動に、柚は枯葉にしがみつき、達することを伝える。

「もう、だめ、イく、いっちゃう……!!!」
「兄さん、兄さん……柚」

 枯葉の呼ぶ声に柚は達するが、枯葉はまだ達していない。
 涙目で柚は枯葉を見上げ、枯葉と目が遭うと枯葉はにったりと笑いかけた。

「時間、まだあるので愉しみましょう?」


 ひとときの休息は、甘い時間であった。
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