エンド後勇者、奴隷たちに振られまくる総受け生活

極寒の日々

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3下心

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ロビーの段差に座り込み防具を布で磨くロキに意を決して近づく。

「や、やぁロキ。ぼ、防具の手入れ? あ、あ、か、革製品にはこ、このクリーム使った方がい、いい、いいよ」
「ありがとうございます。確かに艶が違うな」

これでも元冒険者の端くれなので少しは役に立つ知識は持っている。
嫌がられたらどうしようかと20分近くクリームを持って陰からロキを見ながら悩んだが勇気を出して声をかけて良かった。

ロキが冒険者再デビューを果たして数ヶ月が経った。
この屋敷を気に入ったようで、ここを拠点に活動をしている。
屋敷が賑やかになるのは大歓迎だ。
お金は要らないと断ったが毎月家賃と食費を律儀に渡してくれている。
それと俺がロキを買った時の金額を分割で少しずつ。
正直ロキを買った金は男に告白されるという不快な思いをさせた迷惑賃と考えて欲しいが、俺に借りを作っているのが気持ち悪いのかもしれない。

未だロキを裏切った仲間は見つからないらしいが焦ってはいないようだ。
同じ業界に居ればいつか見つかるだろうと案外落ち着いている。
ロキの心が復讐心ばかりに囚われていないのであれば何よりだ。

「こ、これから冒険者ギルド?」
「はい。昨日の報酬を受け取りに」
「お、俺、俺も一緒に街に行ってもいいかな」

服や小物を新調しに街に行きたいと思っていたので丁度良いと何も考えずに発言したが、言ってからすぐさま後悔が訪れる。

「あ、そ、その、も、も、もちろん、隣をあ、歩いたりしないから…」

ロキにセクハラだと思われていたらどうしようと焦れば焦るほど下心があるように見えている気がする。

「す、少し離れたとこ、ところをっ、た、他人のふりして、着いて、い、行くだけだから」

焦りながらもアレ?それってもっとマズくないか?と気付いてしまう。

「や、や、やっぱり時間をず、ずら、ずらして、か、顔を合わせないように、い、行くから、あ、安心してくれ!」

急いで訂正を入れるがロキの反応が恐ろしくてまともに顔が見れない。
しばしの沈黙の後、はぁと溜息が耳に入り肩が跳ねる。
呆れられたと焦るが次に続く言葉は予想とは違うものだった。

「元奴隷にそんなに気を使わないで下さい。恩人にそのようにされると罪悪感でこちらまで苦しくなります」
「え…お、恩人?」
「俺を助けて下さったのに、失礼な態度をとって申し訳ありませんでした」

深々と下がった頭を見て混乱する。
失礼な態度とは、彼を買ってすぐに告白してしまい振られた時のことだろう。
ロキは男を相手にするなんて最悪に気色悪い、そんなことをする位ならば今この場で首を切って死んだ方がマシだと叫んだ。
その後はもうずっと警戒心と侮蔑感満載の顔で俺を睨み付けていたのに。

「あの時の俺は奴隷に堕とされてかなり人間不信に陥っていました。それで助けてくれたマサキ様にあんな態度を…」
「い、いや、いやいや! お、俺は、俺は、し、下心でロキを、か、買ったんだし、きも、気持ち悪いってのも、あ、当たり前だ。そ、そんな大変な状態のロキに、こ、告白なんか、し、したら、そりゃ、警戒して当然だ」

慌てて首を振るとロキは困ったように苦笑する。
下がった眉が可愛いとかそんなことは口が裂けても言えない。

「マサキ様がよければ冒険者ギルドへ報酬を受け取った帰りに、一緒に道具屋へ行ってくれませんか? そろそろ仕事道具を本格的に揃えようと思っているのでアドバイス貰えれば助かります」

予想していなかった言葉に思わず固まる。

「お、俺でよけ、よ、よければ、よ、喜んで!」

何度も頷くとロキの表情が優しく綻ぶ。
う、カッコいい。
いやいや、もうスッパリ諦めたから見惚れちゃダメだ。
折角寄せてくれた信頼を壊すことになるぞ俺。

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