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14食育
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「あ、マサキ様! おはようございます」
「ク、クローエさん。ショーンとアルも。お、おはよう」
「あざーす」
「うっす。マサキ様、今日は早いっすね。いつもの牛乳屋は?」
二人の方もクローエさんに相手にしてもらえなかったことを気にした様子もなくあっけらかんとこちらに喋りかけてきた。
「セ、セイレスがお腹すいたみたいだから、今日は、は、早めに食べようと思って」
「へぇ。愛しのレミオ君よりお姫様を優先するんだ」
「愛されてるなお姫様。今着させている服も貴族用のドレスじゃん。いくらするんだか」
お姫様とはセイレスのことだ。
俺が彼女を溺愛しているのを面白がって二人はそう呼んでいる。
セイレスは俺以外の大人はまだ怖いようで、先程までの溌剌さを引っ込め俺の後ろに隠れて息を潜めている。
「愛しのレミオ君…?」
「な、な、なんでもないよ! ク、クロワッサン、た、楽しみだな。ク、クローエさんはなんのパンが好き?」
クローエさんがショーンの言葉を拾い首を傾げたので慌てて話題を反らす。
「朝はパンをあまり食べません。サラダとスープがあれば十分ですわ」
「へぇぇ。じょ、女性は、しょ、少食なんだね」
ここの男たちとの違いに驚く。
朝からがっつり肉とかだもん。
でも言われてみると勇者時代のパーティメンバーの女性もあまり炭水化物を食べていなかったことを思い出す。
お腹空かないのかな。
「ほらほら、さっさと席についてください。他の者は配膳をご自分でお願いしますよ」
背後からジョフィルの声が響く。
手には一人前のプレートとスープのお盆が乗っている。
「セ、セイレス。こ、ここに座って」
ショーンとアルの向い。
クローエさんの隣の椅子を引いてセイレスに着席を促す。
「ジョ、ジョフィルありがとう」
ジョフィルからお盆を受け取り大人しく座ったセイレスの前にプレートとスープを置く。
クロワッサンにスクランブルエッグとカリカリベーコン、それからサラダが盛り付けられている。
スープはジャガイモのポタージュのようだ。
鼻をくすぐるクロワッサンのバターのいい香りにセイレスの顔がほころんでとんでもない愛らしさだ。
「これはマサキ様の分だったのですが。また甘やかして…」
「お、俺の分は、じ、自分で取ってくるよ!」
ジョフィルのお小言が始まりそうだったのでショーンたちの後を慌てて追った。
カウンターに着くと、何やらショーンが料理人の一人ウォレントと揉めている。
ウォレントはこの屋敷の最年長で、自分の店が経営破綻して奴隷になった経歴を持つベテラン料理人だ。
「だからにんじんはいらねぇって言ってんだろ! なんで生のにんじんがサラダに乗ってるのか理解出来ねぇ!」
「ガキみてぇなこと言ってねぇで黙って食え馬鹿野郎」
ショーンを吠える犬を追い払うかのごとくシッシと手を振るウォレント。
相手にするのもバカバカしいとばかりにさっさと奥に引っ込んでしまった。
残されたサラダを憎々しげに睨みつけるショーン。
「ショ、ショーン。あ、あい、相変わらずにんじんが嫌いなんだな」
「マサキ様! にんじん、あげますよ」
目を輝かせてサラダの皿をこちらに寄越すショーンに苦笑する。
「す、好き嫌いはダメだ。じ、自分で食べなよ」
「はぁ? 前までは食ってくれたじゃないですか」
断られるとは思っていなかったショーンは素っ頓狂な声で抗議するが、彼の願いを叶えてやることは出来ない。
「しょ、食育中のセ、セイレスのいる前で、そ、そんなことは出来ないから。ご、ごめんな」
食い下がられては厄介だと、さっさと自分の分の料理を取ってセイレスの元へ戻る。
背後からチッと舌打ちが聞こえた気がした。
「ク、クローエさん。ショーンとアルも。お、おはよう」
「あざーす」
「うっす。マサキ様、今日は早いっすね。いつもの牛乳屋は?」
二人の方もクローエさんに相手にしてもらえなかったことを気にした様子もなくあっけらかんとこちらに喋りかけてきた。
「セ、セイレスがお腹すいたみたいだから、今日は、は、早めに食べようと思って」
「へぇ。愛しのレミオ君よりお姫様を優先するんだ」
「愛されてるなお姫様。今着させている服も貴族用のドレスじゃん。いくらするんだか」
お姫様とはセイレスのことだ。
俺が彼女を溺愛しているのを面白がって二人はそう呼んでいる。
セイレスは俺以外の大人はまだ怖いようで、先程までの溌剌さを引っ込め俺の後ろに隠れて息を潜めている。
「愛しのレミオ君…?」
「な、な、なんでもないよ! ク、クロワッサン、た、楽しみだな。ク、クローエさんはなんのパンが好き?」
クローエさんがショーンの言葉を拾い首を傾げたので慌てて話題を反らす。
「朝はパンをあまり食べません。サラダとスープがあれば十分ですわ」
「へぇぇ。じょ、女性は、しょ、少食なんだね」
ここの男たちとの違いに驚く。
朝からがっつり肉とかだもん。
でも言われてみると勇者時代のパーティメンバーの女性もあまり炭水化物を食べていなかったことを思い出す。
お腹空かないのかな。
「ほらほら、さっさと席についてください。他の者は配膳をご自分でお願いしますよ」
背後からジョフィルの声が響く。
手には一人前のプレートとスープのお盆が乗っている。
「セ、セイレス。こ、ここに座って」
ショーンとアルの向い。
クローエさんの隣の椅子を引いてセイレスに着席を促す。
「ジョ、ジョフィルありがとう」
ジョフィルからお盆を受け取り大人しく座ったセイレスの前にプレートとスープを置く。
クロワッサンにスクランブルエッグとカリカリベーコン、それからサラダが盛り付けられている。
スープはジャガイモのポタージュのようだ。
鼻をくすぐるクロワッサンのバターのいい香りにセイレスの顔がほころんでとんでもない愛らしさだ。
「これはマサキ様の分だったのですが。また甘やかして…」
「お、俺の分は、じ、自分で取ってくるよ!」
ジョフィルのお小言が始まりそうだったのでショーンたちの後を慌てて追った。
カウンターに着くと、何やらショーンが料理人の一人ウォレントと揉めている。
ウォレントはこの屋敷の最年長で、自分の店が経営破綻して奴隷になった経歴を持つベテラン料理人だ。
「だからにんじんはいらねぇって言ってんだろ! なんで生のにんじんがサラダに乗ってるのか理解出来ねぇ!」
「ガキみてぇなこと言ってねぇで黙って食え馬鹿野郎」
ショーンを吠える犬を追い払うかのごとくシッシと手を振るウォレント。
相手にするのもバカバカしいとばかりにさっさと奥に引っ込んでしまった。
残されたサラダを憎々しげに睨みつけるショーン。
「ショ、ショーン。あ、あい、相変わらずにんじんが嫌いなんだな」
「マサキ様! にんじん、あげますよ」
目を輝かせてサラダの皿をこちらに寄越すショーンに苦笑する。
「す、好き嫌いはダメだ。じ、自分で食べなよ」
「はぁ? 前までは食ってくれたじゃないですか」
断られるとは思っていなかったショーンは素っ頓狂な声で抗議するが、彼の願いを叶えてやることは出来ない。
「しょ、食育中のセ、セイレスのいる前で、そ、そんなことは出来ないから。ご、ごめんな」
食い下がられては厄介だと、さっさと自分の分の料理を取ってセイレスの元へ戻る。
背後からチッと舌打ちが聞こえた気がした。
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