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24芽生え
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*ロキ視点
今日を休息日に設定したはいいが、することがなくてただぼんやり過ごしていた。
なんとなくマサキ様と交流を持ってみるのもいいと計画していたが、エルフと出かけてしまったし。
筋トレでもしようかと庭で腕立てをしていると出かけていたマサキ様とエルフが帰って来た。
エルフの手には二段に重なったピンクとブラウンのアイスが握られており、口元を汚しながらも夢中で舐めている。
笑いながらその口元を拭くマサキ様は完全に父親の顔をしている。
こちらの方向に二人がやってくるのを素早く確認して腕立てに戻る。
集中しようとしたが耳は二人の足音を拾おうとしてしまう。
「せ、精がでるねロキ」
「……」
近くまで来ると声を掛けてきたマサキ様と無言のエルフ。
この子供がマサキ様以外と喋っているのを見たことがない。
「はい」
こちらも腕立てを止めずに短い返事を返す。
「じゃ、じゃあ」
あっさりとその場を去るマサキ様。
思わず動きを止めてしまう。
止まった俺に気付かずどんどんと小さくなる背中。
一度もこちらを振り向こうともしない。
少し前まで俺がこうして筋トレや素振りをしていると、隠れてチラチラと見ていたマサキ様だったが、今はこちらになどひとかけらの興味もないとばかりに目も向けない。
そう思った瞬間、以前ショーンとアルに言われたことが脳内に再生された。
『ま、すぐに別のヤツを好きになってお役御免になるからさ』
『そそ。自分が特別執着されているとか深く考えるだけ無駄って言いたかっただけ』
もしかして俺は…マサキ様に…飽きられたのか?
いや、違う。今は子育てに気を取られているだけで、マサキ様はまだ俺に好意があるはずで…。
そこまで考えてハッとする。
なぜこんなに焦っているのだろうか。
冒険者に戻れた俺はもうこの屋敷を出て生活できるくらいの金はある。
そろそろ俺を裏切った元パーティの連中の情報を探ってもいい頃だろう。
それには一つの場所に留まるよりも旅に出た方がいいのだ。
だが俺が出て行ってはマサキ様が悲しむだろうからと屋敷に住み続けていた。
世話になったマサキ様には金も恩も返したい。
しかし金はここに居なくとも返済は出来る。
マサキ様が俺に興味をなくしたのなら、ここに居候していること自体むしろ恩どころか迷惑になるのではないだろうか。
もう…ここに居る意味は…マサキ様の側にいる理由はない…?
夕飯後、誰も居ない食堂でぼんやりしながらウイスキーを呑む。
インテリアのようにずらりとリビングに飾られている瓶を一つ拝借してきたのだ。
毎日ジョフィルさんが大切そうに磨いているが、沢山あるし少しくらい俺が飲んでも問題ないだろう。
共有スペースにあるタバコや菓子などはみんな自由に取っているし、これもその類の物だろう。
グラスに注がれた濃い色のウイスキーに氷をカラカラと回しながら、今日の夕飯時のマサキ様を思い出す。
改めて観察すると本当にエルフにすべて興味が注がれている様子が分かる。
気のせいか他の連中もどこかピリついて見えた。
俺はもう用なし…ここから出て行った方がいいのだろうか。
ジョフィルさんからは常々出て行って欲しいと遠回しに言われている。
マサキ様が俺に興味をなくしたのならば、出て行くことが正しいのだろう。
しかしそうなるともうマサキ様とは滅多に会えなくなるわけで…いやいや、俺は何を考えている。
そりゃあマサキ様の勇者としての実力を直接見てみたいとか、あの卑屈な性格に少しでも自信を持たせてやりたいとか、いろいろとやりたいことはあるが、別に会えなくなったところでどうってこと…。
思えば奴隷になった時はあれほどまでに渇望していた復讐なのに、今ではほとんど思い出してすらいないな。
ここはあまりにも平和で、マサキ様の熱い視線が鬱陶しくも心地よくて…。
こんなに誰かに気に掛けられたのは生まれて初めてで、まったく見返りのない想いを大量に押し付けてきてどうしていいのか分からなかった。
戸惑っている間に、あのエルフの少女に突然その場所を奪われた。
俺の…場所だったのに。
あの優しい視線は俺のだったのに。
押し付けるだけ押し付けて突然取り上げるなんてひどいじゃないか。
酒が回っているのかグダグダと思考が訳の分からないループをしている時であった。
「あ、あれ? ロ、ロキ? め、め、珍しいね」
見上げるとそこには首を傾げた間の抜けた表情のマサキ様がいて。
俺はなぜか泣きそうになった。
今日を休息日に設定したはいいが、することがなくてただぼんやり過ごしていた。
なんとなくマサキ様と交流を持ってみるのもいいと計画していたが、エルフと出かけてしまったし。
筋トレでもしようかと庭で腕立てをしていると出かけていたマサキ様とエルフが帰って来た。
エルフの手には二段に重なったピンクとブラウンのアイスが握られており、口元を汚しながらも夢中で舐めている。
笑いながらその口元を拭くマサキ様は完全に父親の顔をしている。
こちらの方向に二人がやってくるのを素早く確認して腕立てに戻る。
集中しようとしたが耳は二人の足音を拾おうとしてしまう。
「せ、精がでるねロキ」
「……」
近くまで来ると声を掛けてきたマサキ様と無言のエルフ。
この子供がマサキ様以外と喋っているのを見たことがない。
「はい」
こちらも腕立てを止めずに短い返事を返す。
「じゃ、じゃあ」
あっさりとその場を去るマサキ様。
思わず動きを止めてしまう。
止まった俺に気付かずどんどんと小さくなる背中。
一度もこちらを振り向こうともしない。
少し前まで俺がこうして筋トレや素振りをしていると、隠れてチラチラと見ていたマサキ様だったが、今はこちらになどひとかけらの興味もないとばかりに目も向けない。
そう思った瞬間、以前ショーンとアルに言われたことが脳内に再生された。
『ま、すぐに別のヤツを好きになってお役御免になるからさ』
『そそ。自分が特別執着されているとか深く考えるだけ無駄って言いたかっただけ』
もしかして俺は…マサキ様に…飽きられたのか?
いや、違う。今は子育てに気を取られているだけで、マサキ様はまだ俺に好意があるはずで…。
そこまで考えてハッとする。
なぜこんなに焦っているのだろうか。
冒険者に戻れた俺はもうこの屋敷を出て生活できるくらいの金はある。
そろそろ俺を裏切った元パーティの連中の情報を探ってもいい頃だろう。
それには一つの場所に留まるよりも旅に出た方がいいのだ。
だが俺が出て行ってはマサキ様が悲しむだろうからと屋敷に住み続けていた。
世話になったマサキ様には金も恩も返したい。
しかし金はここに居なくとも返済は出来る。
マサキ様が俺に興味をなくしたのなら、ここに居候していること自体むしろ恩どころか迷惑になるのではないだろうか。
もう…ここに居る意味は…マサキ様の側にいる理由はない…?
夕飯後、誰も居ない食堂でぼんやりしながらウイスキーを呑む。
インテリアのようにずらりとリビングに飾られている瓶を一つ拝借してきたのだ。
毎日ジョフィルさんが大切そうに磨いているが、沢山あるし少しくらい俺が飲んでも問題ないだろう。
共有スペースにあるタバコや菓子などはみんな自由に取っているし、これもその類の物だろう。
グラスに注がれた濃い色のウイスキーに氷をカラカラと回しながら、今日の夕飯時のマサキ様を思い出す。
改めて観察すると本当にエルフにすべて興味が注がれている様子が分かる。
気のせいか他の連中もどこかピリついて見えた。
俺はもう用なし…ここから出て行った方がいいのだろうか。
ジョフィルさんからは常々出て行って欲しいと遠回しに言われている。
マサキ様が俺に興味をなくしたのならば、出て行くことが正しいのだろう。
しかしそうなるともうマサキ様とは滅多に会えなくなるわけで…いやいや、俺は何を考えている。
そりゃあマサキ様の勇者としての実力を直接見てみたいとか、あの卑屈な性格に少しでも自信を持たせてやりたいとか、いろいろとやりたいことはあるが、別に会えなくなったところでどうってこと…。
思えば奴隷になった時はあれほどまでに渇望していた復讐なのに、今ではほとんど思い出してすらいないな。
ここはあまりにも平和で、マサキ様の熱い視線が鬱陶しくも心地よくて…。
こんなに誰かに気に掛けられたのは生まれて初めてで、まったく見返りのない想いを大量に押し付けてきてどうしていいのか分からなかった。
戸惑っている間に、あのエルフの少女に突然その場所を奪われた。
俺の…場所だったのに。
あの優しい視線は俺のだったのに。
押し付けるだけ押し付けて突然取り上げるなんてひどいじゃないか。
酒が回っているのかグダグダと思考が訳の分からないループをしている時であった。
「あ、あれ? ロ、ロキ? め、め、珍しいね」
見上げるとそこには首を傾げた間の抜けた表情のマサキ様がいて。
俺はなぜか泣きそうになった。
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