エンド後勇者、奴隷たちに振られまくる総受け生活

極寒の日々

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25一緒

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*ロキ視点


人の気も知らずに気軽に喋りかけてくるマサキ様。
無性に頬をつねってやりたくなる。

「ロ、ロキが呑んでるところ、は、初めてみた」
「いけませんか。俺が呑んでたらおかしいんですか?」
「う? え、え、ご、ごめん。そ、そんなことないよ…」

困ったように眉を下げるマサキ様に少し気分が浮上する。
こちらの機嫌を伺うような焦りように胸が弾む。
どうやら俺はこの人にとっての重要ポジションにいたいらしい。
そんな結論がすとんと落ちてきた。

「…マサキ様は、あのエルフをどうするつもりなんですか?」
「セ、セイレス?で、出来れば、お、お、お、俺の、こ、こ、子供になってほしい、かなって」

いつも以上にしどろもどろに言葉を紡ぐマサキ様。

「子供? 恋人も居ないのに?」

鼻で笑ってそんな言葉が口から飛び出た。
自分でも驚くほど棘のある嫌な言い方になってしまった。

「あ…あ、あ」

マサキ様は俺の言葉に衝撃を受けたように唇を震わせている。

「そ、そう、そ、そうだな…」

震えた唇から弱弱しい言葉が漏れ聞こえるが語尾はほとんど聞こえなかった。

「お、お、俺みたいな、に、人間が、お、親になんて、な、なれないな」

世界でただ一人の勇者で、実はめちゃくちゃ強くて、金持ちで、権力もあるのに、なんでこんなにこの人は自信がないのだろうか。
被虐心をくすぐるような卑屈なその態度が良くないと思うのだが、おそらく本人は気づいていないのだろう。
屋敷の連中が大恩ある主人のマサキ様に冷たい理由が少しだけ分かった気がする。
別に嫌いなわけじゃない…むしろ…。

「はぁ…すみません。少しイライラして酔いに任せて八つ当たりしてしまいました」

俺はここの連中とは違う。
マサキ様は俺の恩人で、敬うべき人なんだ。
寵愛をなくしたことを嘆き駄々をこねて買い主を困らせるペットのようなみっともないことは死んでもしたくない。

「そ、そ、そんな。じ、じ、事実だし…」
「そんなことありません。マサキ様は立派な方です。きっと良い親になれると思いますよ」

そう断言すればマサキ様は一瞬ポカンとした後、頬を赤く染めた。

「あ、そ、ええ、そ、う、うう…」

言葉を発しようとして途中であきらめたらしく、顔を赤くしたまま俺の視線から逃れるように恥ずかしそうに下を向く。
初めて会った時は気味が悪いと思っていたマサキ様の赤面が、なぜか今は凄く可愛らしく感じてしまう。

「で、でも、やっぱり、セイレスには、い、一生独り身の俺なんかより、ちゃ、ちゃんと両親が揃っている、か、家庭で育った方がいいと、お、思う。ロ、ロキに言われるまでなんで、き、気づかなかったんだろう」
「一生独り身…マサキ様はずっと、その…」
「う、うん。も、物心ついた頃から同性が恋愛対象だった。し、しかもロキや屋敷のみんなみたいに、ぜ、絶対に、て、手に届かないような、み、魅力的な美男子が、こ、好みなんだ」

まだ赤くなるのかと驚くほど真っ赤な耳。
祈るように両手を組んで、まるで何か罪を懺悔しているようだ。

「手が届かない?」
「あ、ああ。お、俺なんかが、す、好きになるのは、お、おこがましいほど、み、みんな凄く、み、魅力的だ」

憧憬が混ざったようなマサキ様の表情に訝しさを感じる。
あの屋敷の連中はそんないいもんじゃない。
俺含めてどいつもこいつも腐った性根をしているカスだと思うのだが。

「じゃあ今までどの奴隷にも振られてるんですね」

漏れなく全員に振られていることはショーンとアルが嬉々として語っていたので知っているが、なんとなくマサキ様の口から聞きたくて質問した。

「ど、奴隷どころか、も、元いた世界でも誰とも、つ、付き合ったことないな」
「へぇ」

恥ずかしそうに答えたマサキ様の回答になんだか気分が良くなる。

「お、俺が惹かれる人には、だ、大体相手がいたな」
「元居た世界ですか。本当に異世界から来たんですね。元の世界には戻らないんですか?それとも…」
「う、うん。も、戻れないらしい。だ、だけど、いいんだ。お、親ももういないし、し、心配してくれるほど、し、親しい人もいなかったから」

俺と一緒だ。
そうか、この人も一緒なのか。

「だ、だから、ロ、ロキとか、み、みんなに出会えて、う、嬉しいよ」

照れくさそうにはにかむマサキ様がやっぱり可愛く見えた。

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