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30ナンパ
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突然隣に現れたその人は痩身でまるでモデルのように手足が長い。
顔立ちもバランスの取れた完璧なパーツの配置をしておりまるで人形のようだが、浮かんだ表情は柔らかく温かみを感じる。
イケメンだけど優しそうな人、という印象だ。
「良かったら顔も見せてくれないかな? フード失礼するよ」
「あ…」
「おい!」
ロキの非難めいた声を気にすることなく俺のフードを取ってしまう隣人。
現れた俺の平凡そのものな顔をまじまじと見つめて、満足そうに微笑んだ。
「うん、思った通り可愛いね。僕はデイビッド。良かったら一緒に飲まないかい?」
「悪いな。俺達もう帰るところだ。いきましょう、マサキ様」
「え、あ、あ」
ロキは落とされたフードをもう一度俺に被せて立ち上がろうとした。
俺は突然起こった展開について聞けずに戸惑う事しかできない。
「マサキというのか。是非君と話してみたいな」
「おい聞けよ!」
「なんだい君は? 僕は彼と交流したいのであって君には興味ないよ。帰りたいのなら一人で帰ればいいじゃないか。それとも君はマサキの恋人かい?」
「……っ」
ロキは質問の答えに詰まっている。
いかん、せっかく一緒に来てくれたロキが誤解されたては申し訳ない。
「ち、ち、違います。ロ、ロキと俺は全然、そ、そんなんじゃなくて、た、ただの同居人です!」
「ああ。ルームメイトというやつか」
「は、はい。と、ところで、お、俺なんかと話したいって、な、なぜですか?」
「はは、可愛い子に声をかけるのは男のさがだよ」
「お、俺は、き、聞いてのとおり、しゃ、喋るのは苦手で、い、イライラさせるかもしれませんが、だ、大丈夫ですか?」
「そのたどたどしい口調も魅力の一つだと僕は思うな」
そう言ってインクを寄越されてしまった。
この人凄い手慣れてる感じがする。
しかしコンプレックスだったどもりをこんな風に肯定してくれた人は初めてで思わずときめいてしまった。
俺と恋人だと一瞬でも誤解されたのが不快だったのか俯いてしまったロキが気になるが、もう少しこの人と話してみたい。
「ロ、ロキ。お、俺、もう少しデイビッドと、は、話してから帰るから、さ、先に屋敷に戻っててくれるか?」
「いけません! 初対面の男と二人きりなんて無防備すぎます!」
ロキは俺の事を箱入り娘か何かと勘違いしていないか?
まさかの発言に返答に困っているとデイビッドが鼻で笑った。
「ルームメイトくんはまるで心配性の父親のようだな。それか、嫉妬深い彼氏か…」
「…っ、とにかくもう帰りましょう!」
興奮した様子のロキに手首をつかまれ強引に引っ張られて席を立つ羽目になった。
「ちょ、ロ、ロキ!?」
「いいから!行きますよ!」
テーブルに金を乱暴に置いたロキは俺の手を放してくれずにそのままグイグイと出口に進む。
デイビッドの方を見ると、呆れたようにロキの行動を見守っていたが俺と目が合うと優しく微笑んでひらひらと手を振った。
「僕はここの常連で、大抵この店にいるから。また会いに来てくれると嬉しいな」
「もう来ねぇよ!」
頷こうとしたが、その前にロキが乱暴に扉を閉めてしまった。
そのまま夜の街を足早に進む。
掴まれた腕がそのままなことが気にかかったが、ロキはそれに気づくことなく歩き続ける。
誰かに見られたらロキが誤解されてしまうのではないかとハラハラする。
「ロ、ロキ!て、手が…」
俺の声に反応したロキはようやく止まった。
「すみません。強く掴みすぎました。痛かったですよね」
「だ、大丈夫。そ、そのまま歩くから、き、気になっただけ」
ロキは俺の手首を心配そうに確認すると、はぁと大きなため息を吐いた。
「ああ、俺って本当に馬鹿ですね。あんなところを教えて危うくマサキ様が汚されるところでした。いいですか?もうあの酒場には金輪際近づかないでください」
「え、え、で、でも、お、俺また、デ、デイビッドに会いたい…」
小声で反論するとロキの顔が険しくなる。
その表情はジョフィルが小言を言う時とそっくりで思わずぎくりとしてしまう。
「あれは相当に遊び慣れてますよ。マサキ様なんて弄ばれるに決まってます」
確かにかなり遊んでそうだとは思った。
色々手を出して飽きてきたので、俺みたいな変わり種に興味を示したのではないかと分析してみる。
たとえもしそうだとしても、沢山いたなかで俺なんかを選んで声をかけてくれたのは嬉しく思ってしまった。
顔立ちもバランスの取れた完璧なパーツの配置をしておりまるで人形のようだが、浮かんだ表情は柔らかく温かみを感じる。
イケメンだけど優しそうな人、という印象だ。
「良かったら顔も見せてくれないかな? フード失礼するよ」
「あ…」
「おい!」
ロキの非難めいた声を気にすることなく俺のフードを取ってしまう隣人。
現れた俺の平凡そのものな顔をまじまじと見つめて、満足そうに微笑んだ。
「うん、思った通り可愛いね。僕はデイビッド。良かったら一緒に飲まないかい?」
「悪いな。俺達もう帰るところだ。いきましょう、マサキ様」
「え、あ、あ」
ロキは落とされたフードをもう一度俺に被せて立ち上がろうとした。
俺は突然起こった展開について聞けずに戸惑う事しかできない。
「マサキというのか。是非君と話してみたいな」
「おい聞けよ!」
「なんだい君は? 僕は彼と交流したいのであって君には興味ないよ。帰りたいのなら一人で帰ればいいじゃないか。それとも君はマサキの恋人かい?」
「……っ」
ロキは質問の答えに詰まっている。
いかん、せっかく一緒に来てくれたロキが誤解されたては申し訳ない。
「ち、ち、違います。ロ、ロキと俺は全然、そ、そんなんじゃなくて、た、ただの同居人です!」
「ああ。ルームメイトというやつか」
「は、はい。と、ところで、お、俺なんかと話したいって、な、なぜですか?」
「はは、可愛い子に声をかけるのは男のさがだよ」
「お、俺は、き、聞いてのとおり、しゃ、喋るのは苦手で、い、イライラさせるかもしれませんが、だ、大丈夫ですか?」
「そのたどたどしい口調も魅力の一つだと僕は思うな」
そう言ってインクを寄越されてしまった。
この人凄い手慣れてる感じがする。
しかしコンプレックスだったどもりをこんな風に肯定してくれた人は初めてで思わずときめいてしまった。
俺と恋人だと一瞬でも誤解されたのが不快だったのか俯いてしまったロキが気になるが、もう少しこの人と話してみたい。
「ロ、ロキ。お、俺、もう少しデイビッドと、は、話してから帰るから、さ、先に屋敷に戻っててくれるか?」
「いけません! 初対面の男と二人きりなんて無防備すぎます!」
ロキは俺の事を箱入り娘か何かと勘違いしていないか?
まさかの発言に返答に困っているとデイビッドが鼻で笑った。
「ルームメイトくんはまるで心配性の父親のようだな。それか、嫉妬深い彼氏か…」
「…っ、とにかくもう帰りましょう!」
興奮した様子のロキに手首をつかまれ強引に引っ張られて席を立つ羽目になった。
「ちょ、ロ、ロキ!?」
「いいから!行きますよ!」
テーブルに金を乱暴に置いたロキは俺の手を放してくれずにそのままグイグイと出口に進む。
デイビッドの方を見ると、呆れたようにロキの行動を見守っていたが俺と目が合うと優しく微笑んでひらひらと手を振った。
「僕はここの常連で、大抵この店にいるから。また会いに来てくれると嬉しいな」
「もう来ねぇよ!」
頷こうとしたが、その前にロキが乱暴に扉を閉めてしまった。
そのまま夜の街を足早に進む。
掴まれた腕がそのままなことが気にかかったが、ロキはそれに気づくことなく歩き続ける。
誰かに見られたらロキが誤解されてしまうのではないかとハラハラする。
「ロ、ロキ!て、手が…」
俺の声に反応したロキはようやく止まった。
「すみません。強く掴みすぎました。痛かったですよね」
「だ、大丈夫。そ、そのまま歩くから、き、気になっただけ」
ロキは俺の手首を心配そうに確認すると、はぁと大きなため息を吐いた。
「ああ、俺って本当に馬鹿ですね。あんなところを教えて危うくマサキ様が汚されるところでした。いいですか?もうあの酒場には金輪際近づかないでください」
「え、え、で、でも、お、俺また、デ、デイビッドに会いたい…」
小声で反論するとロキの顔が険しくなる。
その表情はジョフィルが小言を言う時とそっくりで思わずぎくりとしてしまう。
「あれは相当に遊び慣れてますよ。マサキ様なんて弄ばれるに決まってます」
確かにかなり遊んでそうだとは思った。
色々手を出して飽きてきたので、俺みたいな変わり種に興味を示したのではないかと分析してみる。
たとえもしそうだとしても、沢山いたなかで俺なんかを選んで声をかけてくれたのは嬉しく思ってしまった。
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