42 / 72
42犯罪者
しおりを挟む
「愛しているよ、マサキ」
俺に伸し掛かったデイビッドが囁く。
流石の俺でもこの言葉が嘘であることはすぐに分かる。
不敵に笑うデイビッドを睨みつける。
「う、嘘だ…!」
「嘘なものか。僕は僕の役に立つ人間が大好きさ。マサキは地位も名誉も金もある。今まで出会った誰よりも僕に相応しいよ」
キスをしようとしているのか間近まで迫ってくるデイビッドの顔を手のひらでガードする。
一瞬あれ?という表情になったが、すぐに気を取り直して笑顔を作り直すデイビッド。
「ダメだよ。おいたをしちゃ」
俺のガードした手首を掴み強い力で抑えつけてきた。
「大人しくしていたら天国に連れて行ってやるよ。僕のテクニックで落ちない人間はいない。女でも男でもね」
ここにきてデイビッドがバイであったことが判明。
女性も愛せる人は苦手だ。どうせ最後は女性を選ぶんだから。
だが、デイビッドに関してはもうどうでもいい。
彼と恋人関係になることは、もう絶対にありえないのだから。
「君もすぐに僕に夢中になって全てを差し出したくなるよ。とくにマサキは初めてだろ? きっと狂うほどよがると思うな」
「い、いや、は、初めてじゃないけど…」
俺の否定に目を瞬かせていたが、見栄を張ったと思ったのか馬鹿にしたように鼻で笑った。
「マサキを相手にするモノ好きがいるとは思えないな。だって君ってホラ、なんて言うか人を苛立たせる性質があるっていうかさ」
俺を貶して自分の優位性を分からせようとしての発言だろう。
だが過去に何度も同じようなことを言われているのでもう耳にタコだ。
しかしこの喋り方も性格も自分の一部で直すものでもないと思っている。
俺は一生付き合っていくつもりだ。
「でも僕なら君を受け入れてあげるよ。大丈夫、僕に身を任せていればいい。セックスが終わるころにはきっと君は僕の恋の奴隷だ」
首筋に唇を寄せられて強く吸い付かれる。
そのままデイビッドの舌がねっとりと首筋をなぞる。
「セ、セックスっていうより、こ、これは強姦じゃないかな?」
掴まれた手首を外し、デイビッドの肩を押しだす。
「どちらだって一緒さ。誰にも相手にされない哀れな君を救う行為だ……っていうかなんで動けるんだよ!」
デイビッドが初めて声を荒げた。
「ワインには確かに毒は入っていたはずだ! なぜ効かない!」
ワインとは先程飲んだものだろう。
おそらくは筋弛緩性の毒でも仕込んであったと思われる。
「ご、強姦なら、ゆ、許されない犯罪だ」
「だからそれがなんだ! もう黙ってろよ!この僕が、お前みたいな愚図を抱いてやるっていってんだからありがたく感謝しろよ!」
うん、今強姦だと認めたな。
罪の自覚もある立派な性犯罪者だ。
楽しかったデイビッドとの思い出がさらさらと砂のように消えていく。
「デ、デイビッド。わ、忘れているかもしれないけど、お、俺って、ゆ、勇者だ」
「勇者なんて異世界から来た、ただのよそ者だろうが。よそ者のくせにこの世界で良い暮らししてホント良い身分だよな」
一応この世界の為に血反吐吐くほど努力して、命を張ったんだけどな。
しかしそんなことをデイビッドに分かって欲しいわけではない。
俺が分かって欲しいのは――
「ゆ、勇者って強いんだ」
「はは、マサキが?」
あざけるデイビッドの腕を振りほどき、押し倒されていた上半身を強引に起こす。
全身で抑えつけていたと思っていたデイビッドはあっさり抜け出した俺に驚きソファから転がり落ちた。
「ど、毒は効かない。ど、毒耐性のステータスが、つ、ついているから」
「っ……!?」
ようやく自分の置かれた状況を理解し始めたのか、床から俺を見上げるデイビッドの瞳に恐怖の色が見え始める。
「き、君は、ま、魔王よりも、つ、強いのかな?」
「ひっ…」
「ま、魔王は、つ、強かったよ。く、国一つ、は、破壊されて、お、俺たちも、な、何度も死にかけた。で、でも、さ、最後には勝って、ま、魔王は消滅した。デ、デイビッドは、そ、その俺に、か、勝てる、じ、実力があるんだろうね」
「勇者が僕みたいな一般人に手を出すつもりなのか!?」
恐怖に震えているデイビッドを見下ろしながら微笑んでやる。
「デ、デイビッドは、い、一般人じゃなくて、は、犯罪者だろ? ゆ、勇者の仕事は、は、犯罪を、ふ、防ぐことも、ふ、含まれているんだ。そ、そのために、ち、力を振るうことの、な、なにが問題なんだ?」
デイビッドの顔が絶望に歪んだ。
俺に伸し掛かったデイビッドが囁く。
流石の俺でもこの言葉が嘘であることはすぐに分かる。
不敵に笑うデイビッドを睨みつける。
「う、嘘だ…!」
「嘘なものか。僕は僕の役に立つ人間が大好きさ。マサキは地位も名誉も金もある。今まで出会った誰よりも僕に相応しいよ」
キスをしようとしているのか間近まで迫ってくるデイビッドの顔を手のひらでガードする。
一瞬あれ?という表情になったが、すぐに気を取り直して笑顔を作り直すデイビッド。
「ダメだよ。おいたをしちゃ」
俺のガードした手首を掴み強い力で抑えつけてきた。
「大人しくしていたら天国に連れて行ってやるよ。僕のテクニックで落ちない人間はいない。女でも男でもね」
ここにきてデイビッドがバイであったことが判明。
女性も愛せる人は苦手だ。どうせ最後は女性を選ぶんだから。
だが、デイビッドに関してはもうどうでもいい。
彼と恋人関係になることは、もう絶対にありえないのだから。
「君もすぐに僕に夢中になって全てを差し出したくなるよ。とくにマサキは初めてだろ? きっと狂うほどよがると思うな」
「い、いや、は、初めてじゃないけど…」
俺の否定に目を瞬かせていたが、見栄を張ったと思ったのか馬鹿にしたように鼻で笑った。
「マサキを相手にするモノ好きがいるとは思えないな。だって君ってホラ、なんて言うか人を苛立たせる性質があるっていうかさ」
俺を貶して自分の優位性を分からせようとしての発言だろう。
だが過去に何度も同じようなことを言われているのでもう耳にタコだ。
しかしこの喋り方も性格も自分の一部で直すものでもないと思っている。
俺は一生付き合っていくつもりだ。
「でも僕なら君を受け入れてあげるよ。大丈夫、僕に身を任せていればいい。セックスが終わるころにはきっと君は僕の恋の奴隷だ」
首筋に唇を寄せられて強く吸い付かれる。
そのままデイビッドの舌がねっとりと首筋をなぞる。
「セ、セックスっていうより、こ、これは強姦じゃないかな?」
掴まれた手首を外し、デイビッドの肩を押しだす。
「どちらだって一緒さ。誰にも相手にされない哀れな君を救う行為だ……っていうかなんで動けるんだよ!」
デイビッドが初めて声を荒げた。
「ワインには確かに毒は入っていたはずだ! なぜ効かない!」
ワインとは先程飲んだものだろう。
おそらくは筋弛緩性の毒でも仕込んであったと思われる。
「ご、強姦なら、ゆ、許されない犯罪だ」
「だからそれがなんだ! もう黙ってろよ!この僕が、お前みたいな愚図を抱いてやるっていってんだからありがたく感謝しろよ!」
うん、今強姦だと認めたな。
罪の自覚もある立派な性犯罪者だ。
楽しかったデイビッドとの思い出がさらさらと砂のように消えていく。
「デ、デイビッド。わ、忘れているかもしれないけど、お、俺って、ゆ、勇者だ」
「勇者なんて異世界から来た、ただのよそ者だろうが。よそ者のくせにこの世界で良い暮らししてホント良い身分だよな」
一応この世界の為に血反吐吐くほど努力して、命を張ったんだけどな。
しかしそんなことをデイビッドに分かって欲しいわけではない。
俺が分かって欲しいのは――
「ゆ、勇者って強いんだ」
「はは、マサキが?」
あざけるデイビッドの腕を振りほどき、押し倒されていた上半身を強引に起こす。
全身で抑えつけていたと思っていたデイビッドはあっさり抜け出した俺に驚きソファから転がり落ちた。
「ど、毒は効かない。ど、毒耐性のステータスが、つ、ついているから」
「っ……!?」
ようやく自分の置かれた状況を理解し始めたのか、床から俺を見上げるデイビッドの瞳に恐怖の色が見え始める。
「き、君は、ま、魔王よりも、つ、強いのかな?」
「ひっ…」
「ま、魔王は、つ、強かったよ。く、国一つ、は、破壊されて、お、俺たちも、な、何度も死にかけた。で、でも、さ、最後には勝って、ま、魔王は消滅した。デ、デイビッドは、そ、その俺に、か、勝てる、じ、実力があるんだろうね」
「勇者が僕みたいな一般人に手を出すつもりなのか!?」
恐怖に震えているデイビッドを見下ろしながら微笑んでやる。
「デ、デイビッドは、い、一般人じゃなくて、は、犯罪者だろ? ゆ、勇者の仕事は、は、犯罪を、ふ、防ぐことも、ふ、含まれているんだ。そ、そのために、ち、力を振るうことの、な、なにが問題なんだ?」
デイビッドの顔が絶望に歪んだ。
1,013
あなたにおすすめの小説
落としたのは化粧じゃなく、みんなの心でした
444
BL
『醜い顔…汚らしい』
幼い頃、実母が病気によって早くに亡くなった数年後に新しい義母からそう言われたシリルは、その言葉が耳に残って16歳となった今も引きずっていた。
だが、義母のその言葉は真っ赤な嘘でシリルはとても美しかった。ただ前妻の息子であるシリルに嫉妬した結果こぼした八つ当たりの言葉であったのをシリルは知らずに、義母のいう醜い顔を隠すために化粧をする。
その結果、彼は化粧によって本当に醜い顔になってしまった。そんな彼が虐げられながらも徐々に周囲を絆す話
暴力表現があるところには※をつけております
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
【ご報告】
2月28日より、第五章の連載を再開いたします。毎週金・土・日の20時に更新予定です。
また、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。
引き続きよろしくお願いいたします。
幼馴染がいじめるのは俺だ!
むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに...
「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」
「はっ...ぁ??」
好きな奴って俺じゃないの___!?
ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子
ーーーーーー
主人公 いじめられっ子
小鳥遊洸人
タカナシ ヒロト
小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。
姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。
高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、
脳破壊。
千透星への恋心を自覚する。
幼馴染 いじめっ子
神宮寺 千透星
ジングウジ チトセ
小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。
美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている)
転校生の須藤千尋が初恋である
運命の番は僕に振り向かない
ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。
それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。
オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。
ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。
ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。
ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。
ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。
俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜
小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」
魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で―――
義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる