エンド後勇者、奴隷たちに振られまくる総受け生活

極寒の日々

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59手紙

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「そ、それで、は、話ってなんだ?」

ようやく本題を切り出すと丁度食べ終わったアルがフォークを置いた。

「実は…最近ショーンの様子がおかしいんです。なんか妙に思い詰めてるっていうか、ぼんやりしてる時も多いし、この前もほら、あの変態を殺そうとしたり…とにかく情緒が不安定なんです」

ショーンのことか。
確かにあの時のショーンの凶暴性には目を見張ったな。
結局あれからデイビッドはショーンを怖がって今でも避けている節がある。

「ショーンも根は悪い奴じゃないんです。俺もショーンにはかなり世話になったし」

ショーンはなんだかんだ言いつつテディに付き纏われても相手をしている気がする。
筋トレについてアドバイス貰ったと嬉しそうにしているテディを見たこともある。
俺以外には結構優しいところがあるのは確かだ。

「だから今度は俺がショーンの力になりたいって思ってるのに、あいつ何も話してくれないんだ」

悔しそうに俯くアルを見るとこちらも何か出来ないかという思いが湧いてくる。

「…ふむ」

アルの話を聞いたジョフィルが少し考えて口を開いた。

「最近ショーン宛の手紙が増えている気がしますね。先日も届いた手紙を渡すと顔色が悪くなったような…」
「お、送り主は…?」
「あまり気にしておりませんでしたが、確か無記名だったと思います」

ショーンに届く謎の手紙か…。

「何かトラブルに巻き込まれてるのかも。マサキ様、一度ショーンと話してくれませんか?もしかしたらマサキ様だったらあいつも喋るかもしれません」
「も、もちろん、き、聞いてみるけど、ア、アルにも打ち明けてくれないことを、お、俺なんかに喋ってくれるかな?」
「普段マサキ様に舐めた口きいてますけど、ショーンは本当はマサキ様のこと…すげぇ好きだと思います」
「そ、それはない」

アルが突拍子もないことを言うので思わず真顔で返してしまう。

「た、多分、ショ、ショーンは俺のこと、き、嫌いだと思う」
「それは…そうですね」

まさかの肯定が返ってきた。
自分で言っといてなんだがちょっとへこむ。

「マサキ様のことは…俺も大嫌いです」
「ぐふっ…!」
「たまに衝動的に憎くて堪らなくなります…」
「がはっ…!」

なにこれなにこれ?
ショーンについて心配していると思ったら、なんで俺を口撃してんのこの子?
思わぬダメージをノーガードで受けた俺は血反吐を吐いてしまいそうだった。

「セイはマサキのこと大大大好きだよ!」

隣に座るセイレスが大きな声で告白してくれる。

「セ、セイレス!お、俺もセイレスが大好きだ!」

セイレスの言葉が傷付いた俺の心を万能薬のように浄化していく。
感激でセイレスを抱き上げると、ご機嫌な猫のように目を細めてこちらに擦り寄るセイレスが堪らなく可愛い。

「ごほん」

しばらく抱き合っていたが、ジョフィルがわざとらしく咳払いをしたので仕方なく離れる。
そんな底冷えする視線を向けなくてもいいじゃないか。

「はは、そういうところなんだよなぁ…」

アルに呆れた半笑いで言われても、どういうところなのかサッパリ分からない。

「でも嫌いだからって、好きが存在しないわけじゃないんです。むしろ逆。大好きだからこそマサキ様の一挙手一投足が気になって仕方ないのに、マサキ様はこっちのことなんて全然気にも留めず他の奴らにデレデレしてっ!こんなの殺意沸かないわけがないじゃないですか!」

途中から興奮した様子で語るアル。
その言葉に圧倒されていると、それを見たアルはハッとした後気まずそうに視線を逸らした。

「あくまで俺が想像するショーンの心情です。俺が思ってるわけじゃないですからね」
「う、うん」
「じゃ、じゃあ俺は仕事残ってるんでこれで。ショーンの件、よろしくお願いします」

そのままそそくさと出て行ったアルをしばらく見つめ、ショーンの件に思考を移す。
よく考えると俺はショーンについてあまり知らない。
あんな感じだから近寄り難いってのもあるが、昔からショーン自身が自分のことを語りたがらない気がする。

「ジョ、ジョフィルはどう思う?」

ジョフィルも俺と同じだけショーンと付き合いがある。
何か俺の知らないショーンを知っていたりしないかな。

「そもそもショーンに興味ありませんからねぇ。放っておけば良いかと」
「そ、そういうわけにもいかないよ」

ジョフィルは安定してジョフィルだな。
昔から二人は相性が悪そうだ。

「と、とりあえず手紙の件を、さ、さりげなく切り出してみるかな」
「ああ、そうだ。手紙と言えば」

スーツの胸元から何かを取り出してこちらに差し出すジョフィル。

「先ほどマサキ様宛てにお手紙が届きました」
「あ、ありがとう」

白い封筒を受け取り裏返して差出人を確認する。

ドレイク・グレンデール
クラリス・フォン・ローゼン

「う、うわぁ!ひ、久々だな…」

連名になっている差出人の名前を見て思わず興奮する。
それはかつて命を預け合った仲間たちの名前だった。
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