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65プロポーズ
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「と、ところで、ウォ、ウォレントは、こ、ここを出るつもりはないか?」
唐突になってしまっただろうか。
都合の悪い話を変えるついでに、前々からずっと考えていた疑問をぶつける。
ウォレントにはもっと広い場所で活躍すべき才能があると思っていたのだ。
そんな気持ちで切り出したのだが、一瞬ウォレントが固まった。
それから柔らかな表情が消え去り目が据わるのが分かった。
「アイツらは追い出さずに、俺を追い出そうっていうのか? 俺アンタになにかしたか?なぁ?」
「え?え?え?」
予想外の反応に脳内に混乱の渦が巻き起こる。
これは完全に怒っている。
優しいウォレントの普段とのギャップも相まって、真顔でグイグイ責められるとちびりそうな程恐ろしい。
とりあえず瞬きはして欲しいな…。
「自分で言うのもなんだが、俺ちゃんとやってると思うんだがな…俺の何がダメだったか教えろよ。何か変なところがあったか?なぁ?なぁ?なぁ?」
ウォレントの瞬きしない真顔が迫り、思わず顔の前に手のひらでガードしてしまう。
「ち、ち、ち、ち、違っ…ち、違うんだウォレント!」
涙目で必死に否定するとウォレントはピタリと止まった。
「お、お、俺も、ウ、ウォ、ウォレントに、ず、ずっと居てほしい!」
「ですよね」
突然パッといつもの笑顔が戻ってきた。
俺はそれに心底安堵し、ようやく人心地つく。
「た、ただ、ウォ、ウォレントは、さ、才能があるから、こ、ここで俺が、ひ、独り占めするのは、も、もったいない気がして…お、王城の、りょ、料理人とかの職も、しょ、紹介できると思うし…」
「どんどん独り占めすりゃいいんですよ。王城の料理人なんて興味ありませんし。俺は王よりアンタに食べて貰いたい。これからもずっとマサキ様に飯を作り続けます」
そっか…興味ないか。
一度は失敗して奴隷落ちしたようだけど、だからといってまた失敗するとは限らない。
絶対に才能があると思うんだけど。
王城がダメなら自分の店をもう一度持つとかどうかな。
なんなら俺が出資してもいい。
それなら失敗しても再び奴隷になる心配なんてないし。
ダメなら屋敷に戻ればいいだけだ。
そうだなぁ…店はやっぱりなるべく人の多い王都で探して、新鮮な食材とか使った創作料理で人気になるんだ。
ウォレントは特に卵料理が美味しいし、卵専門店とかでも面白いかも。
そこで出会った女性とゴールインして、二人で店を切り盛りしつつ、いずれ可愛い赤ちゃんも出来たりして。
勝手にウォレントの展望を想像して楽しんでいた時であった。
「…あと、あんまふざけたこと言うとキレますからね?」
ウォレントの低音が耳に響いて妄想が弾ける。
あれ?これまだ実は怒ってる?
優しい笑顔だけど圧が消えてない。
「…で、で、でも、でも、こ、ここに居るより、あ、赤ちゃん、つ、作れるかも…」
ダメだ。焦って口が回らない。
意味が繋がっていない言葉を吐いてしまった。
俺の言いたかったことは、新しい出会いの場はこの地方の街より王都の方が断然あるだろうし、そこで再婚して家族を持つ道もあるってこと。
そもそもウォレントは良い父親になりそうだと感じたのがきっかけの思いつきだったのだ。
でもよくよく考えると亡くなった奥さんを愛しているウォレントに、奥さんを忘れて新しい女性を勧めるなんて無神経だったかもしれない。
それに思い至ってじわじわと後悔する。
口から出た支離滅裂な言葉をどうにか無かったことに出来ないだろうか。
いや、無理だ。後悔先に立たず。
「赤ちゃん…?」
圧で潰してきそうな迫力のウォレントも、突拍子もないワードに虚をつかれたようで瞬きを繰り返している。
怒りはどこかに消え去ったらしいことだけが救いだ。
「ご、ごめん。い、今のは忘れて」
一応取り消してみたが、ウォレントはあまり耳に入っていないようで何やら考え込み始めた。
「異世界人ってのは男でも赤ん坊が産めるんですか?」
「んん?」
なんかこれまた突拍子もないことを聞かれた気がする。
え?聞き間違え? 異世界人がなんだって?
突拍子返しかなにか?
「だからマサキ様の恋愛対象は男だったのか…早く言ってくれりゃあ良かったのに…」
あ、これ揶揄われてるんだ。
俺が同性愛なのは男でも赤ん坊が産めるからだろっていうブラックジョークか。
結構センシティブであまり笑えないが、この世界ではそんな感覚はないのだろう。
少しムッとしたが悪気はないのだと思う。
「いや、そうか…妻を亡くした俺の気持ちに配慮してたのか。それは悪かったな。俺はもう平気だ。ありがとうございます」
あれ?やっぱりなんか違う?
ウォレントも新しい家庭を築くことにまんざらでもないってこと?
混乱しているとウォレントに手を取られてギュッと握られた。
「俺もマサキ様と同じ気持ちです。だが、赤ん坊はもう少し先でもいいんじゃないかって思うんです。屋敷の連中にも気持ちの整理や覚悟が必要だろうし」
あ、やっぱり意味はちゃんと通じていたらしい。
あの支離滅裂な言葉でよく理解できたな。
メインシェフであるウォレントが抜けるのは確かに俺たちとって痛手だが、ウォレントの輝かしい未来の為にきっとみんな応援してくれると思う。
「そ、そっか。そ、その気になったら、い、言ってくれ」
「はい。幸せになりましょう」
先程とは打って変わって極上の笑顔で頷くウォレント。
普段の包容力と色気のある笑顔も好きだが、今のサンタからプレゼントを受け取った子供のように純粋で可愛らしい笑顔も好きだ。
よくわからないが喜んで貰えてよかった。
唐突になってしまっただろうか。
都合の悪い話を変えるついでに、前々からずっと考えていた疑問をぶつける。
ウォレントにはもっと広い場所で活躍すべき才能があると思っていたのだ。
そんな気持ちで切り出したのだが、一瞬ウォレントが固まった。
それから柔らかな表情が消え去り目が据わるのが分かった。
「アイツらは追い出さずに、俺を追い出そうっていうのか? 俺アンタになにかしたか?なぁ?」
「え?え?え?」
予想外の反応に脳内に混乱の渦が巻き起こる。
これは完全に怒っている。
優しいウォレントの普段とのギャップも相まって、真顔でグイグイ責められるとちびりそうな程恐ろしい。
とりあえず瞬きはして欲しいな…。
「自分で言うのもなんだが、俺ちゃんとやってると思うんだがな…俺の何がダメだったか教えろよ。何か変なところがあったか?なぁ?なぁ?なぁ?」
ウォレントの瞬きしない真顔が迫り、思わず顔の前に手のひらでガードしてしまう。
「ち、ち、ち、ち、違っ…ち、違うんだウォレント!」
涙目で必死に否定するとウォレントはピタリと止まった。
「お、お、俺も、ウ、ウォ、ウォレントに、ず、ずっと居てほしい!」
「ですよね」
突然パッといつもの笑顔が戻ってきた。
俺はそれに心底安堵し、ようやく人心地つく。
「た、ただ、ウォ、ウォレントは、さ、才能があるから、こ、ここで俺が、ひ、独り占めするのは、も、もったいない気がして…お、王城の、りょ、料理人とかの職も、しょ、紹介できると思うし…」
「どんどん独り占めすりゃいいんですよ。王城の料理人なんて興味ありませんし。俺は王よりアンタに食べて貰いたい。これからもずっとマサキ様に飯を作り続けます」
そっか…興味ないか。
一度は失敗して奴隷落ちしたようだけど、だからといってまた失敗するとは限らない。
絶対に才能があると思うんだけど。
王城がダメなら自分の店をもう一度持つとかどうかな。
なんなら俺が出資してもいい。
それなら失敗しても再び奴隷になる心配なんてないし。
ダメなら屋敷に戻ればいいだけだ。
そうだなぁ…店はやっぱりなるべく人の多い王都で探して、新鮮な食材とか使った創作料理で人気になるんだ。
ウォレントは特に卵料理が美味しいし、卵専門店とかでも面白いかも。
そこで出会った女性とゴールインして、二人で店を切り盛りしつつ、いずれ可愛い赤ちゃんも出来たりして。
勝手にウォレントの展望を想像して楽しんでいた時であった。
「…あと、あんまふざけたこと言うとキレますからね?」
ウォレントの低音が耳に響いて妄想が弾ける。
あれ?これまだ実は怒ってる?
優しい笑顔だけど圧が消えてない。
「…で、で、でも、でも、こ、ここに居るより、あ、赤ちゃん、つ、作れるかも…」
ダメだ。焦って口が回らない。
意味が繋がっていない言葉を吐いてしまった。
俺の言いたかったことは、新しい出会いの場はこの地方の街より王都の方が断然あるだろうし、そこで再婚して家族を持つ道もあるってこと。
そもそもウォレントは良い父親になりそうだと感じたのがきっかけの思いつきだったのだ。
でもよくよく考えると亡くなった奥さんを愛しているウォレントに、奥さんを忘れて新しい女性を勧めるなんて無神経だったかもしれない。
それに思い至ってじわじわと後悔する。
口から出た支離滅裂な言葉をどうにか無かったことに出来ないだろうか。
いや、無理だ。後悔先に立たず。
「赤ちゃん…?」
圧で潰してきそうな迫力のウォレントも、突拍子もないワードに虚をつかれたようで瞬きを繰り返している。
怒りはどこかに消え去ったらしいことだけが救いだ。
「ご、ごめん。い、今のは忘れて」
一応取り消してみたが、ウォレントはあまり耳に入っていないようで何やら考え込み始めた。
「異世界人ってのは男でも赤ん坊が産めるんですか?」
「んん?」
なんかこれまた突拍子もないことを聞かれた気がする。
え?聞き間違え? 異世界人がなんだって?
突拍子返しかなにか?
「だからマサキ様の恋愛対象は男だったのか…早く言ってくれりゃあ良かったのに…」
あ、これ揶揄われてるんだ。
俺が同性愛なのは男でも赤ん坊が産めるからだろっていうブラックジョークか。
結構センシティブであまり笑えないが、この世界ではそんな感覚はないのだろう。
少しムッとしたが悪気はないのだと思う。
「いや、そうか…妻を亡くした俺の気持ちに配慮してたのか。それは悪かったな。俺はもう平気だ。ありがとうございます」
あれ?やっぱりなんか違う?
ウォレントも新しい家庭を築くことにまんざらでもないってこと?
混乱しているとウォレントに手を取られてギュッと握られた。
「俺もマサキ様と同じ気持ちです。だが、赤ん坊はもう少し先でもいいんじゃないかって思うんです。屋敷の連中にも気持ちの整理や覚悟が必要だろうし」
あ、やっぱり意味はちゃんと通じていたらしい。
あの支離滅裂な言葉でよく理解できたな。
メインシェフであるウォレントが抜けるのは確かに俺たちとって痛手だが、ウォレントの輝かしい未来の為にきっとみんな応援してくれると思う。
「そ、そっか。そ、その気になったら、い、言ってくれ」
「はい。幸せになりましょう」
先程とは打って変わって極上の笑顔で頷くウォレント。
普段の包容力と色気のある笑顔も好きだが、今のサンタからプレゼントを受け取った子供のように純粋で可愛らしい笑顔も好きだ。
よくわからないが喜んで貰えてよかった。
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