物の怪の宴

いーすと

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第1章

第2話「想定外のお誘い」

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森を道なりに歩いていると、何となく寒気がした。


最初は服が濡れているせいかと思った。


しかし数分後、寒気は濡れた服のせいではないことに気がついた。


僕の前方から、明らかに純血種の、しかもかなり強い闇の魔力を持っているらしい悪魔が歩いてくる。


やばい。人生終わった。


まさかこんなに早くお迎えが来てしまうなんて。


父さん母さん、こんなに早くそっちに行くことになるなんて思ってなかったよ。ごめんね。


自分が殺されるの見たくないし目瞑っとこ。


そう思って目を固く瞑ったが、何分待っても何も起こらない。


もしかして目を開けたと同時に殺してくるタチの悪い悪魔だろうか。


そう思いながら恐る恐る目を開けると、その悪魔は不思議そうにこちらを見ていた。


そして一言「大丈夫か?」と話しかけてきた。


僕は混乱して、悪魔に向かって咄嗟にごめんなさい、許してくださいと命乞いをした。


自分でも何をしているかよくわからなかった。


その悪魔は大混乱して必死に命乞いをする僕を見て、大爆笑した。


悪魔はどうやら僕を殺そうとはしていないらしく、


「なんで俺があんたを、あっはっは、意味わかんない、ふっふっふ、殺さない、殺さないから、あっはっはっは、ひぃ、苦しい」


とだけ言って笑い続けていた。


そこで僕は正気に戻った。


僕はすごく恥ずかしくなってまた一言「ごめんなさい」とだけ言ってその場を立ち去ろうとした。


しかしその悪魔は僕を引き止めた。


そしてそいつはこう聞いた。


「待って!あんたって、あの悪魔と天使のハイブリッドでしょ?」


いやそんなの見たら分かるでしょ。


僕は一応「そうです。」と返事をしておいた。


すると悪魔の目が一気に輝きはじめた。


そして…


「やっぱり!ねえ、悪魔軍に入らない!?」


と聞いてきた。


「悪魔軍…?」


悪魔軍とはなんぞや?戦争の軍隊のようなものだろうか?そんな物騒な…僕がそんなところに入ったらすぐ狙われて殺されるだろうな…。


「知らないか?」


「すいません…知らないです」


「じゃ説明するからよく聞きな!」


そうして元気の良い悪魔さんは僕に悪魔軍の説明を始めた。いや僕まだあなたの名前すら知らないんですけど…だいたいこの悪魔、僕の名前を知っているのだろうか?


悪魔さんの話は長くて、とてもとても全てを頭に入れることはできそうになかったので、重要そうな所だけ聞いてあとはずっと悪魔さんの顔を眺めていた。





この悪魔、非常に綺麗な容姿をしているな。中性的な顔立ちで、さらさらの金髪に青い瞳。どこぞの王子様、といった感じだ。


そんなことを考えていると話が終わった。


悪魔の話を要約すると、「国の最高峰の職業で、様々な能力を持つ悪魔が集まって国の平和を守る組織」ということだった。そして反対に、その組織の構成メンバーが全員天使なのが天使軍らしい。


両軍ともに主な仕事内容は国の方針会議と悪さをするモンスターの討伐で、特に軍同士で争ったりはしないそうだ。逆に天使軍と協力することのほうが多いとか。


って、え?なんだそれ?というか僕半分しか悪魔じゃないんですけど…


するとその悪魔は僕の考えていたことを見透かしたように「別に純血種の悪魔じゃなくてもいいから!俺そういうのあんまり気にしないタイプ」と言った。


「ええ…あなたはよくても上司さんに怒られるのでは…?」


「大丈夫、俺の上には人いないから!」


上に人がいない?ということはこの元気でうるさい悪魔さんは…


「あ、悪魔軍…?の一番偉い人…?なんですか……?」


「偉い人?別に偉くはないけどね!まあ一応俺が悪魔軍のボスってわけ」


いやいや充分偉い人ですからね!!


そんな権力のある人と話してたのか僕…命があってよかった…


というかまだ僕あなたの名前知らない。


「あの…失礼ですがお名前は」


「そっか、まだ名乗ってなかったな。俺はシャルル・ブランシュ。あんたの名前は知ってるから名乗らなくていいぞ。実は俺とあんたは1回だけ会ったことがあるんだけどな!」


えっ?会ったことがある?僕が…?


シャルル・ブランシュ…?そういえばどこかで聞いたことがあるような…そうでもなかったか?


「そ、そうですか…すいませんが、覚えてないです…ではブランシュさん、改めてよろしくお願いします…」


「シャルルでいいぞ」


「ええっ…そんな…失礼じゃないですか?」


「なんかさっきから勘違いしてるみたいだけど、俺は偉い人でもなんでもないんだってば~」


だからそれは嘘でしょ…


でも名前で呼んでもらえるまで絶対許してくれないタイプだったら面倒だし、お言葉に甘えるか…


「うう…では失礼して…シャルルさん…」


「そうそう、それでいい!ていうか呼び捨てでもいいのに…丁寧だな。それより、どう?さっきの話。入らない?」


「すいません…まだ何も考えてなかったです…」


「ふーん。じゃあまた今度会ったら答えを聞かせてよね!じゃあね~」


そう言ってブランシュ…じゃなくて、シャルルさんは飛び立ってしまった。


あーあ、疲れた…


なんか僕、振り回されっぱなしだったな。


久しぶりに他人と話したからか、どっと疲れてしまった。


そうでなくてもあんなエネルギッシュで明るい人と話すのは疲れるっていうのに…


悪魔軍か。あんまり乗り気になれないな…でも軍といっても争いごとは少ないみたいだし入ってしまえば一応身の安全は確保できるのかも…?考えてみるかあ…


今日は早く寝よう。そう決めて、僕は再び道を歩きはじめた。



──
☆キャラクター紹介☆

シャルル・ブランシュ
(Charles Blanche)
男 1900歳 173cm
悪魔軍のボス。
結構いい所の坊ちゃんだったがその生活が面倒だったので家出した。
ランドルフを悪魔軍に入れようと企んでいる。
天使軍のボス・???とは犬猿の仲で、会う度に喧嘩している。
性格は明るく人懐っこい。世話焼きで心配性。酒が入ると誰彼構わず絡みまくって手に負えなくなる。
頭脳明晰で考えてから行動する慎重派だが面倒くさがり。魔術、武術共に実力派。
また、非常にカナヅチであることを隠しているが仲間にはバレている。
好きな物はチョコミント、嫌いなものは水(に入ること)。趣味は楽器の演奏と歌。
魔力属性は闇。(副属性は雷)
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