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第1章
第7話「彼の行方は」
しおりを挟む天使と悪魔のハイブリッドである彼と初めてきちんと話をしてわかった。
彼は全てを知っているようで、何も知らないのだ、と──
これは、今からちょうど2400年前の話だ。
───
私の生まれは王族だった。と言っても、王族の血が流れているだけで国王とはそれほど接触がなかったが。
兄弟たちは国王になりたくて権力で争っていたようだが、私は国王の座など全く興味がなかった。
私は、小さな頃から随分変わった人間だったらしい。
国王の座に興味がなかったこともそうだが、家族とはどうも話が噛み合わないことが多かった。
だからといって家族から酷い扱いを受けたということもなかった。
私の兄弟たちは、王族であることに誇りを持っていて、常に振る舞いに気を使っていたが、私はそんな彼らのことを非常に面倒だと思っていた。
ここにいる誰もが所詮動物だというのに、その中で優劣を付けることが不思議でならなかった。
王族だからなんだというのだ?
そんな基準だって、誰かが勝手に作ったものだっていうのに。
だんだん自分の生活に納得いかなくなった私は、こっそり家出した。
面倒なことは嫌いなので、両親との話し合いもしなかった。
それに─なぜか、彼らは私が家出をしても行方を追って来ないだろうという確信があった。
私の家出に気づいたとしても権力争いのメンバーが減ってラッキー、くらいにしか思わないだろう。
こうして家出し、自由になった私は城を出てからあることに気づく。
どこに行っても非常に治安が悪いのだ。
至る所で喧嘩や暴力沙汰が勃発していた。
それに、誰も退治しないからか悪さをするモンスターがうじゃうじゃしていた。
国家は何をしているのだ、と情けなくなった。権力争いよりももっと他にやるべきことがあるだろうに…
そこで私がこの治安を何とかするために立ち上げたのが天使軍と悪魔軍だった。
天使軍のボスは私が務め、悪魔軍のボスはその時の私の唯一の友人で、シャルルの兄にあたる人物に頼んだ。別にシャルルの姉でも良かったが、彼女はあまりにも怖くて頼みに行く勇気がなかった。
彼は人当たりもよく人脈も広かったので悪魔軍のほうはすんなりメンバーが集まったが、私には友達どころか知り合いすらほとんどいなかったので天使軍のメンバーはなかなか集まらなかったが、地道にメンバーを増やしていった。
こうして出来た天使軍、悪魔軍によってこの国の治安はかなり回復した。
今や天使軍、悪魔軍は国の最高峰の職業として憧れの的になっている。
しかし──私はあの事件から、誰かに天使軍や悪魔軍に入ることを勧められないでいる。
私がボスの地位をイライザに譲ったのもその事件が原因なのだ。
その事件こそ、ギャレット一家殺人事件だ。
天使軍、悪魔軍が一家を助けようと敵たちと戦ったが、守れたのはランドルフただ1人だけだった。
そしてこの事件で───ランドルフを助けようとした悪魔軍のボスは、敵に拉致され消息不明となった。
自分の兄を失ったショックから、シャルルは自分の兄に関するほとんどの記憶を失ってしまい、シャルルと兄との思い出は彼が幼少期の頃までで終わっている。
私は彼に関して大きな責任を感じた。
そこで私はボスの地位を降りてイライザに譲り、ランドルフや色んな人から話を聞いて彼の行方を追うことを決めたのだ。
そしてランドルフに話を聞いてみたはいいが、彼はどうやら私達が彼を助けたことも、私達が彼の両親を救いきれなかったことも、何もかも─覚えていないようだった。
覚えていたならきっと、彼は私達に感謝するか、もしくは両親を救えなかったことに対して恨むかのどちらかだっただろう。
しかし私達に会った彼の反応は、まさに初対面そのものだった。
両親が殺されたことは覚えているのに、なぜ私達のことだけ記憶からすっぽり抜けてしまっているのか?
ここがわかれば、元悪魔軍ボスの行方もわかるかもしれないのだった。
そして同時に、ランドルフの両親を殺したヤツらの行方もわかるかもしれないのだ。
私は諦めるわけにはいかなかった。
しかし、何も覚えていないランドルフにこのことを話すことは出来ない。
だから、私の探す彼が見つかるまで─待っていてくれ、ランドルフ。
全てが明らかになる時が、もう近くに迫っている。
────
ここかららくがき↓
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