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第1章
第8話 「焦り」
しおりを挟む僕がシルヴァン・ルルーシュと名乗る変人に出会った次の日の朝。
天気が良く、日差しが眩しい気持ちのいい天気なのに、どうしてだか気が晴れなかった。
なんか、あんまりいいこと起りそうにないな…と直感でそう思った。
すると、案の定強い土の魔力を持った悪魔がこちらに近づいてくる気配がした。
あー。まただ、めんどくさい。逃げたいけどそれはそれで面倒なことになりそうだしなぁ…
僕は考えることをやめて、木陰に座って青空を眺めた。
「おい、そこのお前!」
うわっ、話しかけられた。適当に返事しとこう。
「はい、なんですか」
「こんなにいい天気なのに、木陰にいるとはもったいないぞ!絶好の筋トレ日和じゃないか!」
出た、絶対めんどくさいタイプの人。仮病でも使って逃げれないかな。
「僕には体を鍛える趣味はないので…」
「なんだと!…ん?」
その人は突然僕の顔をじっと見つめだした。
「お前…ランドルフ・ギャレット、だよな?」
「えぇ…そうです」
「そうか…色んなヤツから話は聞いてたが会えるとは思ってなかったぜ、1回会ってても顔って忘れるモンなんだよなー」
色んな人から話を聞いた?1回会ってる?この流れは…この人は悪魔だから…
「あの、悪魔軍の方ですか?」
「ああ、そうだ。俺は悪魔軍のエルベルト・ビクトリアだ。立場的には、悪魔軍の2番手ってところだな。」
うわぁまた出た偉い人。2番手かぁ。悪魔軍の1番手はシャルルさんなんだろうけど、この人どう見てもシャルルさんより年上だよなぁ。年功序列じゃないのかな?まぁいいや。
「ビクトリアさん…よろしくお願いします。」
「あぁ、よろしくな!1回会って話してみたいと思ってた所なんだ。筋トレしながら話でもしないか?」
「筋トレはしません」
「なんだよ、ノリ悪ぃな。まぁいいだろう、ちょっと色々と話を聞かせてくれ。」
「いいですけど…話せることなんてほとんど無いですよ。」
「あぁ、それで構わんぞ。俺は別にお前から情報を集めようとしてるわけじゃないんでな。純粋に話をしてみたかっただけだ。」
「そうですか…それでは…」
───────
ランドルフ・ギャレット…「頭は普通より良い方だがそれ以前に全くの無知だ、それも不自然な程に」とシルヴァンは言っていたが、まさにその通りだな。
まぁ、こいつの両親が殺されたのはもう9年前になるから無理もないだろうが…こいつが敵について覚えているのは「殺してやる」という声、ただそれだけだった。
敵の顔すら覚えてないなんてことあるのか?
俺はシルヴァンやシャルルのように頭が良いわけでは無いが、それでもなんとなく気づいたことがある。
こいつ、記憶を消されている…?
俺が気づいたくらいだから他のヤツらはとっくに気づいているんだろうが、こいつはあんな悲劇に遭っておきながらそのことについての記憶がほとんど無いのだ。
もし、ギャレット一家を殺害した犯人もしくは一家を恨んでいた人物がランドルフの記憶を消したのだとしたら…
なんとなく寒気がした。
呑気に筋トレしてる場合じゃねぇ。
俺たちはいつの間にか恐ろしい事件に巻き込まれていたようだ…。
───────
「悪ぃ、すっかり遅くなっちまったな。」
「いえ、別に…大した話もできずにすいません。」
「いや、色々とわかった。助かったぞ、ランドルフ。俺はちょっと調べ物してくるからこの辺でな。」
「はい…さようなら。」
僕が別れを告げるや否や、ビクトリアと名乗る男は大慌てで去っていった。…ように見えた。
何を急いでいるのかはよく分からないが、面倒なことにならなければいいな、巻き込まれなければいいな…そう考えつつ、僕はその場を後にした。
───────
☆キャラクター紹介☆
エルベルト・ビクトリア
男 2400歳 182cm 10/29
(Herberto Victoria)
悪魔軍。
吸血鬼の一族。
貴族のように見えるが一般家庭出身。
短気で喧嘩っ早いが情に厚い。
非常に熱血で鍛えることが好きな脳筋。
それほど頭は良くないが頭の回転自体は速い。
親分肌で誰かの我儘も最終的には聞いてしまう。考えるよりまず行動派。
戦う時はシャルルと一緒にいることが多いが、あまり仲は良くない。なぜか正反対であるはずのシルヴァンとは気が合う。
好きな物は肉類、嫌いなものは茄子。趣味はサーフィン。
魔力属性は土。(副属性は火)
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