転生したおれ、悪役令嬢一家を守る! ……って決意したんだけど、その、おれ、ぬいぐるみなんだけど?

しゃぼてん

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第38話 テディベア、ワープする

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 アイゴーの話によると、この森はかつて魔王領で、その頃に建造されたワープ装置が近くにあるらしい。それは魔王がいた頃には魔王城とこの辺りをつなぐ移動用のものだったらしい。

 ジャックがアイゴーにたずねた。

「じゃあ、それですぐに旧魔王城にいけるのか?」

 だったら、すっごくらくじゃーん。
 でも、アイゴーはびみょうなこたえかたをした。

「もとはそうだったらしい」

「もとは?」

「今は、魔王城の門のすぐ外にでることもあれば、ちがうところにでるときもある」

 ミャオリーがふしんそうに言った。

「みゃー。それだいじょぶみゃー? こわれてるみゃー?」

 アイゴーはうなずいた。

「半分こわれている。でも、ちがうところにでても、ここよりは魔王城にちかいぞ」

「なるほど。じゃ、つかって損はないか」

 というわけで、おれたちはとりあえず、アイゴーの案内でそのワープ装置があるところにむかった。

 道のない所や、けもの道をアイゴーはどんどんと進んで行った。
 もちろんちょくちょく魔物もでてくる。
 でも、もうクリスティーナたんもすっかり魔物との戦いになれているから、ジャック、ミャオリーが盾役をやって、クリスティーナたんがどんどん魔法でたおしていった。

 とちゅうで、ジャックが首をかしげていた。

「魔法って攻撃力高いけどMPを消費するから、魔法使いは魔力回復薬が大量に必要でレベル上げがたいへんって話なんすけど。おじょうさまはこんなに魔法使ってるのに、MPつきないっすね」

「くま様のおかげミャー」

「いやいや、テディはなにもしてないだろ?」

「テディのおかげだよ? ありがと。テディ」

 クリスティーナたんはそう言って、常時テディハグ状態のおれの頭をなでた。

「ジャックはほんとうにおバカみゃー」

と、ミャオリーがジャックを完全にバカにして、ジャックが、

「だって、おれの解析スキルによると、テディは、「ただのテディベア(とってもかわいい)」、だぞ?」

と、言い返してたけど。おバカだねー。おれのこと、ただの動いて変形して、とってもかわいいだけのぬいぐるみだと思ってるなんて。

 やがて、草木におおわれた石でできた建物が見えてきた。

「中も魔物はでる。外の魔物よりは強いが……問題ないな」

 アイゴーはちらっとチェスター様やママさん、おじい様の方を見て言った。

 おれもさっきテディアイでみてみたんだけど。
 ママさんもレベル70超えてたし、おじい様なんてレベル90超えてたんだよな。レベルと戦闘力ってイコールではないけど、この人達、実はとんでもない人達だね。

 ダンジョンみたいな建物内を進んでいってしばらく。
 おれたちはワープ装置のある部屋にたどりついた。
 大きな水晶みたいなものが置かれた台座がまん中にあって、その台座や下の石の床には魔法陣がきざまれている。

 アイゴーが手前にあった石の柱のスイッチをさわると、水晶と石の床がひかりだした。
 おじいさまが感心したように言った。

「ほう。本当にまだ転移装置がいきているのか。これはおもしろい。今の王国にはないロストテクノロジーだ。解析してこの技術をふたたび実用化したいものだが」

「父上。今は……」

「わかっている。行こう」

 おれたちは全員光る石の床の上にあがった。
 アイゴーは、水晶がのった台座に組み込まれている丸い石を押した。きゅうにあたりがはげしく強い光につつまれた。


 気がついた時、おれとクリスティーナたんは、さっきまでとは全然ちがう場所にいた。
 なんだか、とても臭くて、あたりが暗い。

 空には暗い雲がたちこめていて、周囲にはまがましい色の沼がひろがっている。
 そして、その沼地の向こうに暗い影のような城が見える。

 たぶん、あれが旧魔王城だ。
 どうやら、おれたちは旧魔王城のそばの沼地にワープしたみたいだ。

 クリスティーナたんは暗い城の影を見て、小さな声でおれにささやいた。

「あそこにロビンがいるのね。だけど、テディ、どうしよう……」

 うん、どうしよっか。
 これは、こまったね。
 こまったっていうか、大ピンチだね。

 旧魔王城がそこに見えるっていうことは、この辺って、ものすっごく強い魔物がいるはずなのに。

「みんな、どこにいっちゃったの?」

 今、ここにいるのは、おれとクリスティーナたんだけなのだ。
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