もふもふ精霊に愛された召喚士、実はエルフだった!? ~精霊の森の生き残りはやがて英雄となる~

しゃぼてん

文字の大きさ
15 / 207
第1部 グランドール魔術学校 ~亡国の古城と地底竜の守るもの~

第15話 ガリの到着

しおりを挟む
 プリンを食べてゆっくり休んだあと、イーアはリグナムにウェルグァンダルの案内の続きをお願いした。
 食堂を出たところでリグナムは言った。

「もー。君、着いて5分で食堂を使いこなしてリラックスしすぎじゃない? すっかり食堂を我が物にしてるよ?」

「すみません。プリンがおいしすぎて」

「まー。いーけどねー。僕もひまだし」

 リグナムは階段を上りながら、イーアに説明した。

「図書室は全部で3つ。それぞれ入室資格が違って、別の階にあるんだ。第二図書室は6階にあるけど、あそこは<召喚士>しか入れないんだよ。お客さんが入れるのは4階まで」

 イーアはそれを聞いて、ふと疑問に思ってたずねた。

「この塔って、何階まであるんですか?」

「実は僕も知らないんだ。10階以上に行ったことないから、よくわからないんだよね。噂だと99階まであるとかいうけど、たぶんそんなにないよ。そうだ。せっかくだから、9階まで行ってみる?」

「はい。行ってみたいです」

 というわけで、イーアとリグナムはのんびり階段を上っていった。
 塔の中は、上の階に上がるにつれ、どんどんとほこりっぽく蜘蛛の巣だらけになってきた。

「なんか汚い……」

 6階でちょっと休憩しながらイーアがつぶやくと、リグナムは言った。

「気づいた? 5階より上の階にはほとんど誰も来ないから、掃除するのやめちゃったんだ」

「えー……。あのぉ、いちおう聞きますけど、ここのそうじも簡単にできるんですか?」

 たぶん、聞くまでもなく、できるはずだ。
 イーアがすでに半分あきれながらたずねると、リグナムはうなずいた。

「うん。そこで居眠りしているマホーキっていう妖精に精霊語で声をかけるだけだよ」

 階段の傍に木でできたホウキみたいなものが落ちていた。
 でもこれはホウキじゃなくて妖精らしい。
 イーアは顔を近づけてよく見てみた。
 どう見ても、ホウキだ。でも、寝息のような音がする。
 イーアはためしに声をかけてみた。

『マホーキ、そうじして』

 とたんに、ホウキみたいな物体が一度ぐにゃりと曲がって、ピョンっと飛び上って、『ホウホウホウ、サッサッサッ』と歌いながら階段を掃きだした。
 リグナムは心底感心したようにイーアをほめた。

「君、超優秀なそうじ係だね! マホーキがあんなにやる気を出してそうじしてくれるなんて! 食堂でも思ったけど、君ってまるでウェルグァンダルのそうじ係になるために生まれてきたみたいだ!」

 イーアは(そうじ係になるために生まれるって、あんまりうれしくないよ)と心の中で思ったけど、言わなかった。

「僕が声をかけても、あんなにやる気になってくれないよ? 一応、そうじはしてくれるけど。それに、僕は、声をかけるのすらめんどくさくてさ。だって、掃除しなくてもガリは気づかないんだよ?」

(そういう問題じゃないよ。汚いじゃん。放置しちゃだめだよ!)

 イーアは心の中でそう思ったけど、言わなかった。

「たまに門弟の方々が来るから、その時はそうじするんだけどさ。さ、そこが9階のホール。なつかしいなー。昔はここにみんなが集まって集会とかお祝いとかしたんだ」

 イーア達は9階についた。
 階段をあがったところの右手には小さな扉があり、左手には大きな扉があった。
 リグナムは左手に進み大きな扉を開けた。
 その先は大きな広間だった。だだっぴろい何もない部屋だ。
 イーアはホールの中に入り、奥まで歩いて行った。そして、窓に近寄り外を見た。
 9階だから眺めがいいかと思ったけど、窓の外は深い霧で何も見えなかった。

 リグナムも窓の外を見て、言った。

「昔はここまで霧がひどくなかったから、外の景色を見れたんだけど。もともと森と荒れ地が広がるだけの場所だけどさ。今はすっかり霧がひどくて、それすら見えないよ。僕がかってに思ってるんだけど。これ、きっとガリが塔主になったせいだよ。きっと黒竜好みの気候にしちゃったんだよ」

 リグナムは冗談っぽくそう言った。

「黒竜?」

 イーアが聞き返すとリグナムは説明した。

「ガリは<黒竜の子>って呼ばれてるでしょ? ガリは黒竜(ブラックドラゴン)に育てられたんだ。だから、人間嫌いなのさ。ドラゴンと一緒にいる方が落ち着くらしいよ。暇さえあれば戦争に行ってるし。ほんと、ガリは塔主には向いてないよ。そりゃ、ウェルグァンダルに<黒竜の子>はぴったりだけど。絶対に跡継ぎはザヒの方がよかったのにさ。なんでガリが……」

 イーアは、その時、気が付いた。
 音もなく、気配もなく、この部屋の入り口に黒い人影が立っていたことに。

「あ……」

「え? あ……!」

 リグナムは、入り口の人影に気がついて青ざめた。
 部屋の入り口から、ガリが険しい表情でリグナムを睨んでいた。
 リグナムはあわてて言い訳をはじめた。

「ガリ、僕は別にガリが塔主失格だなんて言ってないよ? 全然言ってないよ?」

 ガリはリグナムには何も言わず、イーアに言った。

「来い。とっとと<入塔の儀>を終わらせる」

 ガリはそれだけ言うと、きびすを返し、階段の方へ姿を消した。
 イーアは置いていかれないように、あわててガリを追いかけた。
 一方、ひとり取り残されたリグナムはぽかーんと口を開けて、信じられないというようにつぶやいた。

「<入塔の儀>? まさか、あの子、入門者? ガリが、ついに、弟子を取る!?」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】スキルを作って習得!僕の趣味になりました

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》 どんなスキル持ちかによって、人生が決まる。生まれ持ったスキルは、12歳過ぎから鑑定で見えるようになる。ロマドは、4度目の15歳の歳の鑑定で、『スキル錬金』という優秀なスキルだと鑑定され……たと思ったが、錬金とつくが熟練度が上がらない!結局、使えないスキルとして一般スキル扱いとなってしまった。  どうやったら熟練度が上がるんだと思っていたところで、熟練度の上げ方を発見!  スキルの扱いを錬金にしてもらおうとするも却下された為、仕方なくあきらめた。だが、ふと「作成条件」という文字が目の前に見えて、その条件を達してみると、新しいスキルをゲットした!  天然ロマドと、タメで先輩のユイジュの突っ込みと、チェトの可愛さ(ロマドの主観)で織りなす、スキルと笑いのアドベンチャー。

【完結】不遇スキル『動物親和EX』で手に入れたのは、最強もふもふ聖霊獣とのほっこり異世界スローライフでした

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が異世界エルドラで授かったのは『動物親和EX』という一見地味なスキルだった。 日銭を稼ぐので精一杯の不遇な日々を送っていたある日、森で傷ついた謎の白い生き物「フェン」と出会う。 フェンは言葉を話し、実は強力な力を持つ聖霊獣だったのだ! フェンの驚異的な素材発見能力や戦闘補助のおかげで、俺の生活は一変。 美味しいものを食べ、新しい家に住み、絆を深めていく二人。 しかし、フェンの力を悪用しようとする者たちも現れる。フェンを守り、より深い絆を結ぶため、二人は聖霊獣との正式な『契約の儀式』を行うことができるという「守り人の一族」を探す旅に出る。 最強もふもふとの心温まる異世界冒険譚、ここに開幕!

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

【完結】そして異世界の迷い子は、浄化の聖女となりまして。

和島逆
ファンタジー
七年前、私は異世界に転移した。 黒髪黒眼が忌避されるという、日本人にはなんとも生きにくいこの世界。 私の願いはただひとつ。目立たず、騒がず、ひっそり平和に暮らすこと! 薬師助手として過ごした静かな日々は、ある日突然終わりを告げてしまう。 そうして私は自分の居場所を探すため、ちょっぴり残念なイケメンと旅に出る。 目指すは平和で平凡なハッピーライフ! 連れのイケメンをしばいたり、トラブルに巻き込まれたりと忙しい毎日だけれど。 この異世界で笑って生きるため、今日も私は奮闘します。 *他サイトでの初投稿作品を改稿したものです。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。 そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来? エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

処理中です...