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第1部 グランドール魔術学校 ~亡国の古城と地底竜の守るもの~
第21話 召喚術の授業1
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新入生がグランドールに入学してしばらくたち、イーアもみんなもだいぶ学校生活に慣れてきた。
今、イーアは教室に座って、召喚術の授業を受けている。
教室の前の方でオレン先生が話している。
「では、まずは、これまでの授業の復習からだ。契約と呪文の他に、召喚の成功を決める3要素はなんだったかね?」
ケイニス、ユウリ、マーカスの3人が手をあげた。
「では、ケイニス」
オレン先生はケイニスをあてた。
ケイニスはすらすらと答えた。
「召喚は主に<呼ぶ力>、魔力、召喚ゲート、の3つの大きさで決まります。どれか一つが欠けても召喚は失敗します。<呼ぶ力>と魔力は召喚を行う人間の能力、召喚ゲートの大きさは召喚に使う魔道具の影響が大きいといわれます」
ケイニスが間違えることはまずない。オレン先生はうなずいた。
「その通り。<呼ぶ力>、魔力、召喚ゲートの3つが召喚を決めると言ってよい。この3つのどれかが足りない場合は、呼んでも召喚獣が出現しないか、本来より弱い状態で出現する。<呼ぶ力>の大きさとは、精霊によびかける声の大きさのことだ。といっても、実際の声の大きさではない。精霊語は霊的な言語だから、<呼ぶ力>は音の大きさとは関係がない」
ちなみに、これまでのオレン先生の授業によると、精霊語は霊的な言語だから、人によっては、そもそも精霊の言葉が聞こえないらしい。
イーアには精霊の言葉は普通に人がしゃべっているのと同じように聞こえるけれど。
オレン先生は説明を続けていた。
「魔力については説明は不要だろう。だが、おぼえておかないといけないのは、召喚に必要な魔力の量は一定ではなく、様々な条件によって変わるということだ。召喚ゲートについてはさっきケイニスが説明してくれた通り」
イーアの後ろでは、オッペンが「ごちゃごちゃしててまじわかんねー」と嘆いていた。
イーアの左隣では、キャシーが「こういうところって、テストにでそう」とつぶやきながら、きれいにノートを取っていた。
ちなみに、イーアのノートは今日はまだ真っ白だ。今までのページもけっこう白くて、ところどころにかわいい精霊の絵が描いてある。
さて、オレン先生は、再び問いかけた。
「では、次に、契約方法について。召喚契約には大きく分けて2種類あるが、それは何と何だろうか?」
また、ケイニス、ユウリ、マーカスの3人が手をあげた。
このクラスでは、この3人が断然、優等生だった。
ケイニスとユウリは最初から超優秀だけど、マーカスは入学した時の成績は良くなかったのに、いつのまにかすっかり優等生の仲間入りをしていた。でも、マーカスの性格はあいかわらずだ。
オレン先生はユウリをあてた。
「では、次は、エルツ」
ユウリは近頃、学校でエルツと呼ばれている。
ホーヘンハインのユウリの師匠が、魔導士名としてその名前を使うことをすすめ、
そしてユウリはあっさり名前をエルツに変えてしまった。
魔導士が魔導士名を名乗るのはよくあることだけど、イーアはなんかおもしろくない。
ユウリの師匠は勉強に必要な本や道具はもちろん、服までユウリに買ってあげていて、最近はユウリが着ている服のほとんどが師匠からのプレゼントだ。
だから、最近ユウリはすっかり育ちのいいお上品な少年に見える。
ユウリが師匠に気に入られているのはいいことだ。
お金のないユウリにたくさんプレゼントしてくれる師匠はいい人だ。
と、頭では思っても、イーアはなんか気に食わない。
だから、名前の話を聞いた時もイーアは、「ユウリはユウリなのに」と文句を言った。
だけど、「ぼくの名前はもともと親がつけたものじゃないから」と言ってユウリはあっさり名前を変えてしまったのだ。
さて、先生にあてられたユウリはすぐに答えた。
「個別の精霊と契約を結ぶ方法と、種族全体と契約を結ぶ方法です。それぞれ契約に使う<召喚契約書>の種類がちがいます」
オレン先生はうなずいた。
「その通り。個体と契約をした場合は、必ずその精霊があらわれるが、種族と契約した場合は、その種族の中の誰かが出現することになる。通常の契約は、種族との契約だ。そして、召喚されるものはさっきの召喚の3要素で変わる。つまり、同じ種族の精霊を呼んでも、召喚者によって、出てくる召喚獣が変わるのだ」
そこで、オレン先生は言った。
「それでは、例として、だれか二人に召喚してもらおう。やってみたい人はいるかね?」
いつものように、ケイニス、ユウリ、マーカスの3人が手をあげた。
(召喚するだけならできそう)
と思ったけど、イーアは手はあげなかった。
オレン先生は教室の中を見渡しながら言った。
「では、まず、マーカス。それから、もうひとりは……イーア」
手はあげなかったのに、先生に指名されてしまった。
でも、召喚術だから、イーアはこっそり自信があった。
「がんばってね。イーア」
隣に座っていたキャシーが小声で応援してくれた。
イーアの後ろの席にいたオッペンは、わりと大きな声で応援した。
「よっしゃ! マーカスなんて、ふっとばしちまえ!」
その声が聞こえていたらしく、マーカスがこっちを睨んだ。
オレン先生は言った。
「では、ふたりはこの教卓のところに」
イーアとマーカスは教室の前の方に移動した。
オレン先生は<召喚契約書>を2枚とりだしてイーアとマーカスに言った。
「では、ふたりとも。まずはこの召喚獣と契約を」
それは『小豚人』という召喚獣との契約書だった。
ちなみに、初級召喚獣の<召喚契約書>はグランドールの近くにある魔導書のお店でも売っているけれど、どれもけっこう高い。
イーアはお金がないから、こんなふうに無料でもらえるのはラッキーだった。
イーアは先生に言われた通りにコプタンの<召喚契約書>にサインをして、魔導語の契約呪文を唱えた。
これが召喚契約の儀式だ。
呪文を唱え終えると召喚契約書は一瞬光って、契約済みのマークが浮かんだ。
この召喚契約は、ガリが嫌う魔術による強制的な契約だけど、普通、学校で習う召喚術はこれだ。
マーカスとイーアはコプタンとの召喚契約を済ませた。
二人が契約をすませると、オレン先生は教卓の上に金属製の召喚道具を2つ置いた。
「これから二人にこの同じ召喚具を使って同じように召喚を行ってもらう。呼びだすのはコプタンという無害な精霊だ。では、まず、マーカス。この召喚具の下にさっきの契約書を置いて、召喚を」
「はい」
まずはマーカスが教卓のところに出て、契約書と召喚道具の上に手を置き呪文を唱えた。
マーカスが呪文の詠唱を終えた。数秒後、30センチくらいの豚みたいな小人がどんっと出てきた。
でてきたコプタンは教卓の上にでんと座ったまま、精霊語で文句を言っていた。
『ブーブー。なんだよ、いきなりこんなところに呼びやがって。このバカ面! なんか食べ物よこせよ。ブーブー!』
コプタンは悪態をついていたけど、イーア以外の皆は精霊語を聞きとれなくて、よくわかっていないみたいだった。
マーカスは両手で重たそうなコプタンをつかんで持ち上げ、自慢げに教室のみんなに見せた。
クラスのみんなはあまり熱心じゃない感じでパラパラと拍手をした。
オレン先生はうなずき、言った。
「うむ。呼びだせたね。では、次はイーア」
今、イーアは教室に座って、召喚術の授業を受けている。
教室の前の方でオレン先生が話している。
「では、まずは、これまでの授業の復習からだ。契約と呪文の他に、召喚の成功を決める3要素はなんだったかね?」
ケイニス、ユウリ、マーカスの3人が手をあげた。
「では、ケイニス」
オレン先生はケイニスをあてた。
ケイニスはすらすらと答えた。
「召喚は主に<呼ぶ力>、魔力、召喚ゲート、の3つの大きさで決まります。どれか一つが欠けても召喚は失敗します。<呼ぶ力>と魔力は召喚を行う人間の能力、召喚ゲートの大きさは召喚に使う魔道具の影響が大きいといわれます」
ケイニスが間違えることはまずない。オレン先生はうなずいた。
「その通り。<呼ぶ力>、魔力、召喚ゲートの3つが召喚を決めると言ってよい。この3つのどれかが足りない場合は、呼んでも召喚獣が出現しないか、本来より弱い状態で出現する。<呼ぶ力>の大きさとは、精霊によびかける声の大きさのことだ。といっても、実際の声の大きさではない。精霊語は霊的な言語だから、<呼ぶ力>は音の大きさとは関係がない」
ちなみに、これまでのオレン先生の授業によると、精霊語は霊的な言語だから、人によっては、そもそも精霊の言葉が聞こえないらしい。
イーアには精霊の言葉は普通に人がしゃべっているのと同じように聞こえるけれど。
オレン先生は説明を続けていた。
「魔力については説明は不要だろう。だが、おぼえておかないといけないのは、召喚に必要な魔力の量は一定ではなく、様々な条件によって変わるということだ。召喚ゲートについてはさっきケイニスが説明してくれた通り」
イーアの後ろでは、オッペンが「ごちゃごちゃしててまじわかんねー」と嘆いていた。
イーアの左隣では、キャシーが「こういうところって、テストにでそう」とつぶやきながら、きれいにノートを取っていた。
ちなみに、イーアのノートは今日はまだ真っ白だ。今までのページもけっこう白くて、ところどころにかわいい精霊の絵が描いてある。
さて、オレン先生は、再び問いかけた。
「では、次に、契約方法について。召喚契約には大きく分けて2種類あるが、それは何と何だろうか?」
また、ケイニス、ユウリ、マーカスの3人が手をあげた。
このクラスでは、この3人が断然、優等生だった。
ケイニスとユウリは最初から超優秀だけど、マーカスは入学した時の成績は良くなかったのに、いつのまにかすっかり優等生の仲間入りをしていた。でも、マーカスの性格はあいかわらずだ。
オレン先生はユウリをあてた。
「では、次は、エルツ」
ユウリは近頃、学校でエルツと呼ばれている。
ホーヘンハインのユウリの師匠が、魔導士名としてその名前を使うことをすすめ、
そしてユウリはあっさり名前をエルツに変えてしまった。
魔導士が魔導士名を名乗るのはよくあることだけど、イーアはなんかおもしろくない。
ユウリの師匠は勉強に必要な本や道具はもちろん、服までユウリに買ってあげていて、最近はユウリが着ている服のほとんどが師匠からのプレゼントだ。
だから、最近ユウリはすっかり育ちのいいお上品な少年に見える。
ユウリが師匠に気に入られているのはいいことだ。
お金のないユウリにたくさんプレゼントしてくれる師匠はいい人だ。
と、頭では思っても、イーアはなんか気に食わない。
だから、名前の話を聞いた時もイーアは、「ユウリはユウリなのに」と文句を言った。
だけど、「ぼくの名前はもともと親がつけたものじゃないから」と言ってユウリはあっさり名前を変えてしまったのだ。
さて、先生にあてられたユウリはすぐに答えた。
「個別の精霊と契約を結ぶ方法と、種族全体と契約を結ぶ方法です。それぞれ契約に使う<召喚契約書>の種類がちがいます」
オレン先生はうなずいた。
「その通り。個体と契約をした場合は、必ずその精霊があらわれるが、種族と契約した場合は、その種族の中の誰かが出現することになる。通常の契約は、種族との契約だ。そして、召喚されるものはさっきの召喚の3要素で変わる。つまり、同じ種族の精霊を呼んでも、召喚者によって、出てくる召喚獣が変わるのだ」
そこで、オレン先生は言った。
「それでは、例として、だれか二人に召喚してもらおう。やってみたい人はいるかね?」
いつものように、ケイニス、ユウリ、マーカスの3人が手をあげた。
(召喚するだけならできそう)
と思ったけど、イーアは手はあげなかった。
オレン先生は教室の中を見渡しながら言った。
「では、まず、マーカス。それから、もうひとりは……イーア」
手はあげなかったのに、先生に指名されてしまった。
でも、召喚術だから、イーアはこっそり自信があった。
「がんばってね。イーア」
隣に座っていたキャシーが小声で応援してくれた。
イーアの後ろの席にいたオッペンは、わりと大きな声で応援した。
「よっしゃ! マーカスなんて、ふっとばしちまえ!」
その声が聞こえていたらしく、マーカスがこっちを睨んだ。
オレン先生は言った。
「では、ふたりはこの教卓のところに」
イーアとマーカスは教室の前の方に移動した。
オレン先生は<召喚契約書>を2枚とりだしてイーアとマーカスに言った。
「では、ふたりとも。まずはこの召喚獣と契約を」
それは『小豚人』という召喚獣との契約書だった。
ちなみに、初級召喚獣の<召喚契約書>はグランドールの近くにある魔導書のお店でも売っているけれど、どれもけっこう高い。
イーアはお金がないから、こんなふうに無料でもらえるのはラッキーだった。
イーアは先生に言われた通りにコプタンの<召喚契約書>にサインをして、魔導語の契約呪文を唱えた。
これが召喚契約の儀式だ。
呪文を唱え終えると召喚契約書は一瞬光って、契約済みのマークが浮かんだ。
この召喚契約は、ガリが嫌う魔術による強制的な契約だけど、普通、学校で習う召喚術はこれだ。
マーカスとイーアはコプタンとの召喚契約を済ませた。
二人が契約をすませると、オレン先生は教卓の上に金属製の召喚道具を2つ置いた。
「これから二人にこの同じ召喚具を使って同じように召喚を行ってもらう。呼びだすのはコプタンという無害な精霊だ。では、まず、マーカス。この召喚具の下にさっきの契約書を置いて、召喚を」
「はい」
まずはマーカスが教卓のところに出て、契約書と召喚道具の上に手を置き呪文を唱えた。
マーカスが呪文の詠唱を終えた。数秒後、30センチくらいの豚みたいな小人がどんっと出てきた。
でてきたコプタンは教卓の上にでんと座ったまま、精霊語で文句を言っていた。
『ブーブー。なんだよ、いきなりこんなところに呼びやがって。このバカ面! なんか食べ物よこせよ。ブーブー!』
コプタンは悪態をついていたけど、イーア以外の皆は精霊語を聞きとれなくて、よくわかっていないみたいだった。
マーカスは両手で重たそうなコプタンをつかんで持ち上げ、自慢げに教室のみんなに見せた。
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