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第1部 グランドール魔術学校 ~亡国の古城と地底竜の守るもの~
第28話 ドルボッジ4
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ダモン、ガボー、グドロは不敵に笑い、3人同時にボールの方へ手を向けた。
3人同時に移動魔法をかけているみたいだった。
「トリプルストリームアタック!!!」
必殺技っぽい3人の声とともに放たれたボールは、不規則に変化しながら飛んできた。
ボールはオクスバーンに打ち返されてもすぐに向きを変えて飛び続け、オクスバーンの枝をかいくぐり続け、ついにオッペンにぶつかった
「ぐごっ」
得点はまた逆転されて5対6になった。
「見たか! 俺達のトリプルストリームアタック!」
グドロが叫んだ。
技はたしかにすごいけど、必殺技っぽい名前をつけてよろこんでいる先輩たちがちょっと子どもっぽいな、とイーアは冷静に思った。
「ああいう協力プレーもあるんだね」とユウリが言うのを聞いて、イーアは思いついた。
(そうだ。他の召喚獣も呼ぼう!)
イーアが同時に召喚できるのは一体だけじゃない。
『モキュッチ! 来て!』
モキュッチは、ガネンの森の、ボールみたいな実がなる木によくいる、手の大きな小型のサルみたいな霊獣で、とてもすばしっこくて、物をつかんだり投げたりするのが得意だ。
物を盗んで食べたり投げて遊んだりするから、大人には迷惑がられていたけれど、イーアは昔モキュッチとよくキャッチボールをして遊んでいた。
数秒後、オクスバーンの枝の上にあらわれたモキュッチは、キョロキョロしながらたのしそうに『キュキュッ キュキュッ』と声をあげた。
イーアがルールを説明すると、モキュッチは枝の上でジャンプして、顔の数倍くらいある大きな手を『了解』というように打ち合わせた。
ガボーがぶつぶつと言った。
「また何か呼びだしたんだな」
ダモンは不敵に笑った。
「かまわん。行くぞ、トリプルストリームアタック!」
ダモンが浮かせたボールに、ガボーとグドロが移動魔法を重ね合わせていく。
そして、3人の力を合わせたボールが放たれた。
『打ち返すぞい!』
オクスバーンの枝が激しく動いた。モキュッチをのせた枝も、モキュッチが落ちるんじゃないかと心配なぐらいに激しく動いている。
動き回るボールはオクスバーンの枝をかいくぐった……かと思えたけど、ボールは枝からぶらさがったモキュッチが、がっしりとおなかのところでつかんでいた。
モキュッチは枝にしっぽでつかまっていて、ボールの勢いが強かったから、枝のまわりをくるくる回っていた。
『キュキュ!』
モキュッチはオクスバーンの枝の上にのぼると、すぐに相手の陣地へボールを投げた。
でも、ただ投げただけだったから、ガボーに片手でキャッチされてしまった。
オクスバーンが言った。
『モキュッチよ。ふつうに投げても取られてしまうぞい』
『キュ? キュキュ!』
モキュッチは何か思いついたように、枝の上でジャンプをしながら両手を打ちあわせた。
再び、ダモン達が協力技でボールを放った。
枝から跳びあがったモキュッチは、そのボールを空中で見事にキャッチした。
ボールの勢いが強いため、モキュッチはそのままボールごとオッペンの方へ飛んでいった。
「うおぉ!?」
オッペンはモキュッチを体の正面でキャッチして、後ろに倒れた。
「よ、よし! 失点なしで守りきったぜ!」
ボールをつかんだモキュッチはすぐにオクスバーンをするすると登っていた。
モキュッチはオクスバーンに小声で何かささやいたようだ。
『ふむふむ。よかろう。投げてやるわい!』
モキュッチをのせたオクスバーンの枝が大きくスイングした。
モキュッチは敵陣めがけてロケットのように飛んでいった!
『キュキュ―!』
モキュッチは空中に浮かぶグドロを通り過ぎかけたところで、至近距離からボールをグドロの後頭部に打ちつけた。
「いてっ!」
モキュッチは壁に手足をついてから床に降りて、うれしそうに両手をあげてジャンプした。
得点板の数字が動いた。
6対6。
頭をさわりながらグドロが叫んだ。
「こんなのありかよ!」
ガボーも、トコトコ歩いて行くモキュッチを指さしながら叫んだ。
「このサル、こっちの陣地に入ってるんだな! どう見てもルール違反なんだな!」
ダモンは冷静にボールを引き寄せながら言った。
「だが、ドルボッジ・コートの判定では、このサルは魔法扱いのようだ」
モキュッチはのんびりドルボッジ・コートの中を歩いて、センターラインの透明な光の壁をしっかり通り抜け、むこうの陣地からこっちの陣地に帰ってきた。たしかにドルボッジ・コートは何も言わなかった。
こうして、暴風吹き荒れ、大樹の枝が踊り狂い、小猿が飛びまわるドルボッジが続いた。
得点は9対7。イーア達のボールになった。
次の攻撃で点をとれば、勝利が決まる。
だけど、イーアはその時、ものすごい疲労を感じていた。
「う……ん……。この、感覚って……」
体の中が空っぽになった感じがする。頭がクラクラする。
これは、魔力切れだ。
『チルチル?』
チルランが心配そうにイーアの傍で点滅していた。
呼び出したチルランが少しずつ魔力の回復をしてくれていた。
でも、これ以上、オクスバーンとモキュッチの召喚状態を維持することはできない。
イーアは心の中で魔力消費の計算をしなかったことを反省した。
そもそも、自分にどれくらい魔力があるのかも、オクスバーンやモキュッチの召喚にどれくらい魔力が必要なのかも、まったくわかっていなかった。
今日のはただのスポーツだからよかったけれど。
召喚のタイミング、組み合わせ、魔力の量の把握と時間の計算……もしも召喚術で戦うなら、考えるべきことがたくさんある。
『そろそろわしは帰る時間かな? それじゃ、人の子どもたち。楽しかったぞぉー』
『キュキュ!』
オクスバーンとモキュッチはそう言って、満足げに帰っていった。
オッペンが叫んだ。
「げっ、かべが消えちまった!」
いままでずっとオッペンとイーアの前でかべのようにそびえ立ってボールを防いでくれていたオクスバーンがいなくなると、急に心細くなる。
でも、ボールを手に持ち、ユウリが落ち着いた声で言った。
「だいじょうぶだよ。イーアの召喚のおかげで、残りはあと一点。次の攻撃で終わらせる」
3人同時に移動魔法をかけているみたいだった。
「トリプルストリームアタック!!!」
必殺技っぽい3人の声とともに放たれたボールは、不規則に変化しながら飛んできた。
ボールはオクスバーンに打ち返されてもすぐに向きを変えて飛び続け、オクスバーンの枝をかいくぐり続け、ついにオッペンにぶつかった
「ぐごっ」
得点はまた逆転されて5対6になった。
「見たか! 俺達のトリプルストリームアタック!」
グドロが叫んだ。
技はたしかにすごいけど、必殺技っぽい名前をつけてよろこんでいる先輩たちがちょっと子どもっぽいな、とイーアは冷静に思った。
「ああいう協力プレーもあるんだね」とユウリが言うのを聞いて、イーアは思いついた。
(そうだ。他の召喚獣も呼ぼう!)
イーアが同時に召喚できるのは一体だけじゃない。
『モキュッチ! 来て!』
モキュッチは、ガネンの森の、ボールみたいな実がなる木によくいる、手の大きな小型のサルみたいな霊獣で、とてもすばしっこくて、物をつかんだり投げたりするのが得意だ。
物を盗んで食べたり投げて遊んだりするから、大人には迷惑がられていたけれど、イーアは昔モキュッチとよくキャッチボールをして遊んでいた。
数秒後、オクスバーンの枝の上にあらわれたモキュッチは、キョロキョロしながらたのしそうに『キュキュッ キュキュッ』と声をあげた。
イーアがルールを説明すると、モキュッチは枝の上でジャンプして、顔の数倍くらいある大きな手を『了解』というように打ち合わせた。
ガボーがぶつぶつと言った。
「また何か呼びだしたんだな」
ダモンは不敵に笑った。
「かまわん。行くぞ、トリプルストリームアタック!」
ダモンが浮かせたボールに、ガボーとグドロが移動魔法を重ね合わせていく。
そして、3人の力を合わせたボールが放たれた。
『打ち返すぞい!』
オクスバーンの枝が激しく動いた。モキュッチをのせた枝も、モキュッチが落ちるんじゃないかと心配なぐらいに激しく動いている。
動き回るボールはオクスバーンの枝をかいくぐった……かと思えたけど、ボールは枝からぶらさがったモキュッチが、がっしりとおなかのところでつかんでいた。
モキュッチは枝にしっぽでつかまっていて、ボールの勢いが強かったから、枝のまわりをくるくる回っていた。
『キュキュ!』
モキュッチはオクスバーンの枝の上にのぼると、すぐに相手の陣地へボールを投げた。
でも、ただ投げただけだったから、ガボーに片手でキャッチされてしまった。
オクスバーンが言った。
『モキュッチよ。ふつうに投げても取られてしまうぞい』
『キュ? キュキュ!』
モキュッチは何か思いついたように、枝の上でジャンプをしながら両手を打ちあわせた。
再び、ダモン達が協力技でボールを放った。
枝から跳びあがったモキュッチは、そのボールを空中で見事にキャッチした。
ボールの勢いが強いため、モキュッチはそのままボールごとオッペンの方へ飛んでいった。
「うおぉ!?」
オッペンはモキュッチを体の正面でキャッチして、後ろに倒れた。
「よ、よし! 失点なしで守りきったぜ!」
ボールをつかんだモキュッチはすぐにオクスバーンをするすると登っていた。
モキュッチはオクスバーンに小声で何かささやいたようだ。
『ふむふむ。よかろう。投げてやるわい!』
モキュッチをのせたオクスバーンの枝が大きくスイングした。
モキュッチは敵陣めがけてロケットのように飛んでいった!
『キュキュ―!』
モキュッチは空中に浮かぶグドロを通り過ぎかけたところで、至近距離からボールをグドロの後頭部に打ちつけた。
「いてっ!」
モキュッチは壁に手足をついてから床に降りて、うれしそうに両手をあげてジャンプした。
得点板の数字が動いた。
6対6。
頭をさわりながらグドロが叫んだ。
「こんなのありかよ!」
ガボーも、トコトコ歩いて行くモキュッチを指さしながら叫んだ。
「このサル、こっちの陣地に入ってるんだな! どう見てもルール違反なんだな!」
ダモンは冷静にボールを引き寄せながら言った。
「だが、ドルボッジ・コートの判定では、このサルは魔法扱いのようだ」
モキュッチはのんびりドルボッジ・コートの中を歩いて、センターラインの透明な光の壁をしっかり通り抜け、むこうの陣地からこっちの陣地に帰ってきた。たしかにドルボッジ・コートは何も言わなかった。
こうして、暴風吹き荒れ、大樹の枝が踊り狂い、小猿が飛びまわるドルボッジが続いた。
得点は9対7。イーア達のボールになった。
次の攻撃で点をとれば、勝利が決まる。
だけど、イーアはその時、ものすごい疲労を感じていた。
「う……ん……。この、感覚って……」
体の中が空っぽになった感じがする。頭がクラクラする。
これは、魔力切れだ。
『チルチル?』
チルランが心配そうにイーアの傍で点滅していた。
呼び出したチルランが少しずつ魔力の回復をしてくれていた。
でも、これ以上、オクスバーンとモキュッチの召喚状態を維持することはできない。
イーアは心の中で魔力消費の計算をしなかったことを反省した。
そもそも、自分にどれくらい魔力があるのかも、オクスバーンやモキュッチの召喚にどれくらい魔力が必要なのかも、まったくわかっていなかった。
今日のはただのスポーツだからよかったけれど。
召喚のタイミング、組み合わせ、魔力の量の把握と時間の計算……もしも召喚術で戦うなら、考えるべきことがたくさんある。
『そろそろわしは帰る時間かな? それじゃ、人の子どもたち。楽しかったぞぉー』
『キュキュ!』
オクスバーンとモキュッチはそう言って、満足げに帰っていった。
オッペンが叫んだ。
「げっ、かべが消えちまった!」
いままでずっとオッペンとイーアの前でかべのようにそびえ立ってボールを防いでくれていたオクスバーンがいなくなると、急に心細くなる。
でも、ボールを手に持ち、ユウリが落ち着いた声で言った。
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