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第1部 グランドール魔術学校 ~亡国の古城と地底竜の守るもの~
第32話 学園祭のゲスト
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学園祭の開会式は10時からだったけど、朝ごはんを食べ終わった後ひまなので、開始時刻前からイーアはユウリとオッペンと一緒に学校の中をあちこち見て回った。
まだ開いていないところも多いけど、魔石同好会とか妖精愛好会とかの展示は開いていたからのぞかせてもらった。
そんなこんなで出入口近くの廊下を歩いていると、突然、オッペンが言った。
「あれ、シャヒーン先生じゃね?」
オッペンの言う通り、廊下の隅でシャヒーン先生がマジーラ先生と何かを話していた。
イーア達は何気なくシャヒーン先生たちの近くをゆっくりと通過した。
マジーラ先生の声が聞こえた。
「言っただろ。シャヒーン。学園祭の警備は私と担当職員でちゃんと行う。たしかに学園祭の日はしき地を囲う結界をはずしているから普段より危険だが。今日は大臣の警護連中や警察もおおぜい来てるんだ。めったなことは起こらない」
「いんにゃ。信じられないね。あたしはあたしでパトロールさせてもらうよ」
「好きにすればいい。だが、頼むから、これ以上大臣の警護ともめないでくれ」
そんな会話が聞こえた。
どうやらシャヒーン先生は学園祭ゲストの大臣、ギルフレイ卿の警護の人達ともめ事を起こしたらしい。それで学園祭の警備を担当しているマジーラ先生と話し合い中だったようだ。
何気なくそのまま通過してから、先生たちから十分離れたところでユウリはつぶやいた。
「やっぱりシャヒーン先生は何かおこると信じているみたいだ」
イーアはうなずいた。
「そうだね。……だいじょうぶかな」
「シャヒーン先生の占いだぜ? だいじょうぶだって。当たるわけねーよ」
オッペンが明るくそう言うのを聞きながら、イーアは(そういえば、オッペンの占いも不吉だったような)と思いだした。
その後、イーア達はいったん外に出てぶらぶらと講堂の方に歩いて行った。
講堂付近には制服姿の警官が何人もいた。
さらに、講堂の周囲には剣、槍、銃などの武器を持った目つきの鋭い男たちがところどころにいた。
異様な光景だ。
ふだんグランドールの校内に武器を持った人はいない。あんな怖い視線を周囲に振りまく人達はいない。
イーアは平和でのんびりした学校が好きなので、ちょっと嫌な気分になった。
ユウリが言った。
「あれが、ゲストのギルフレイ卿の警備の人達だね。ギルフレイ卿は講堂で行われる開会式に出席してスピーチをするらしいよ。見に行く? 開会式は先着順って聞いたけど、まだ入れそうだ」
「開会式? んなつまんなさそーなの、興味ねぇよ」
オッペンはきっぱりそう言い、イーアも同意した。
「偉い人の話って、つまんないよね」
生徒の大半がそう思っているみたいで、学園祭の開会式が行われる講堂に向かう人はあまりいない。講堂では、開会式の後に魔導語のスピーチコンテストも行われるはずだけど。
「じゃあ、別の場所に行こうか?」
ユウリがそう言った時、イーアは、目つきの鋭い武装した男たちに囲まれ、銀髪の魔導士が校舎の方から講堂の方へと歩いて行くのに気が付いた。
とたんにイーアは体の芯から冷たい震えを感じた。なぜか心臓が激しく脈打ちはじめていた。
イーアは恐怖を感じていた。
「あの人がギルフレイ卿……?」
キャシー達の話を聞いた時、イーアはもっと高齢の人を予想していた。だけど、横顔しか見えなかったけど、ギルフレイ卿はたぶんまだ40代前半くらいだ。
なぜだろう。
武装した屈強な男達ごしにギルフレイ卿の後ろ姿を見ながらイーアは思った。
どこかで会ったことがあるような気がする。
会ったことがあるはずないのに。
まるで心臓が握りつぶされそうに胸の奥が痛い。
ユウリはイーアの言葉にうなずいた。ユウリは特に何も感じていないようだった。
「きっとそうだよ。もうすぐ開会式の時間だから、講堂に移動しているんだ。ギルフレイ卿はとても優秀な人らしいから、どんなスピーチをするのかちょっと気になるけど。でも、ふたりが興味ないなら、他に行こうか?」
オッペンが力強く言った。
「おう。あの大臣、むっちゃ堅苦しくて眠くなるスピーチしそうだぜ。もっと楽しそうな所へ行こうぜ? おばけやしき、すげーらしいぞ」
「ぼくもおばけ屋敷はグランドールの学園祭名物だって聞いたよ。幻を見せる魔法や物体を動かす魔法がたくさん使われていて、すごいらしいね。イーア、おばけ屋敷に行ってみる?」
イーアはユウリにたずねられて、ギルフレイ卿の後ろ姿から目を離した。
「え? うん」
イーアは心の中で(ただの気のせいだよね。不吉な占いのせいで過敏になっちゃってるだけだよね)とつぶやいた。
心配する必要はないはずだ。
あの顔に見覚えはない。ギルフレイ卿は知らない人だ。
だけど、なぜだろう。
イーアの心は、けたたましく警報を打ち鳴らしていて、そして、涙がこみあげてくる。
まだ開いていないところも多いけど、魔石同好会とか妖精愛好会とかの展示は開いていたからのぞかせてもらった。
そんなこんなで出入口近くの廊下を歩いていると、突然、オッペンが言った。
「あれ、シャヒーン先生じゃね?」
オッペンの言う通り、廊下の隅でシャヒーン先生がマジーラ先生と何かを話していた。
イーア達は何気なくシャヒーン先生たちの近くをゆっくりと通過した。
マジーラ先生の声が聞こえた。
「言っただろ。シャヒーン。学園祭の警備は私と担当職員でちゃんと行う。たしかに学園祭の日はしき地を囲う結界をはずしているから普段より危険だが。今日は大臣の警護連中や警察もおおぜい来てるんだ。めったなことは起こらない」
「いんにゃ。信じられないね。あたしはあたしでパトロールさせてもらうよ」
「好きにすればいい。だが、頼むから、これ以上大臣の警護ともめないでくれ」
そんな会話が聞こえた。
どうやらシャヒーン先生は学園祭ゲストの大臣、ギルフレイ卿の警護の人達ともめ事を起こしたらしい。それで学園祭の警備を担当しているマジーラ先生と話し合い中だったようだ。
何気なくそのまま通過してから、先生たちから十分離れたところでユウリはつぶやいた。
「やっぱりシャヒーン先生は何かおこると信じているみたいだ」
イーアはうなずいた。
「そうだね。……だいじょうぶかな」
「シャヒーン先生の占いだぜ? だいじょうぶだって。当たるわけねーよ」
オッペンが明るくそう言うのを聞きながら、イーアは(そういえば、オッペンの占いも不吉だったような)と思いだした。
その後、イーア達はいったん外に出てぶらぶらと講堂の方に歩いて行った。
講堂付近には制服姿の警官が何人もいた。
さらに、講堂の周囲には剣、槍、銃などの武器を持った目つきの鋭い男たちがところどころにいた。
異様な光景だ。
ふだんグランドールの校内に武器を持った人はいない。あんな怖い視線を周囲に振りまく人達はいない。
イーアは平和でのんびりした学校が好きなので、ちょっと嫌な気分になった。
ユウリが言った。
「あれが、ゲストのギルフレイ卿の警備の人達だね。ギルフレイ卿は講堂で行われる開会式に出席してスピーチをするらしいよ。見に行く? 開会式は先着順って聞いたけど、まだ入れそうだ」
「開会式? んなつまんなさそーなの、興味ねぇよ」
オッペンはきっぱりそう言い、イーアも同意した。
「偉い人の話って、つまんないよね」
生徒の大半がそう思っているみたいで、学園祭の開会式が行われる講堂に向かう人はあまりいない。講堂では、開会式の後に魔導語のスピーチコンテストも行われるはずだけど。
「じゃあ、別の場所に行こうか?」
ユウリがそう言った時、イーアは、目つきの鋭い武装した男たちに囲まれ、銀髪の魔導士が校舎の方から講堂の方へと歩いて行くのに気が付いた。
とたんにイーアは体の芯から冷たい震えを感じた。なぜか心臓が激しく脈打ちはじめていた。
イーアは恐怖を感じていた。
「あの人がギルフレイ卿……?」
キャシー達の話を聞いた時、イーアはもっと高齢の人を予想していた。だけど、横顔しか見えなかったけど、ギルフレイ卿はたぶんまだ40代前半くらいだ。
なぜだろう。
武装した屈強な男達ごしにギルフレイ卿の後ろ姿を見ながらイーアは思った。
どこかで会ったことがあるような気がする。
会ったことがあるはずないのに。
まるで心臓が握りつぶされそうに胸の奥が痛い。
ユウリはイーアの言葉にうなずいた。ユウリは特に何も感じていないようだった。
「きっとそうだよ。もうすぐ開会式の時間だから、講堂に移動しているんだ。ギルフレイ卿はとても優秀な人らしいから、どんなスピーチをするのかちょっと気になるけど。でも、ふたりが興味ないなら、他に行こうか?」
オッペンが力強く言った。
「おう。あの大臣、むっちゃ堅苦しくて眠くなるスピーチしそうだぜ。もっと楽しそうな所へ行こうぜ? おばけやしき、すげーらしいぞ」
「ぼくもおばけ屋敷はグランドールの学園祭名物だって聞いたよ。幻を見せる魔法や物体を動かす魔法がたくさん使われていて、すごいらしいね。イーア、おばけ屋敷に行ってみる?」
イーアはユウリにたずねられて、ギルフレイ卿の後ろ姿から目を離した。
「え? うん」
イーアは心の中で(ただの気のせいだよね。不吉な占いのせいで過敏になっちゃってるだけだよね)とつぶやいた。
心配する必要はないはずだ。
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