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第1部 グランドール魔術学校 ~亡国の古城と地底竜の守るもの~
第51話 別の入り口
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翌日、イーアは昨日林の中で聞いた会話のことをユウリ達に報告した。
「後で林の中を歩き回ってみたら、別の林道が近くを通ってた。だから、たぶん、誰かがその道を歩きながら会話してたんだよ」
ユウリは少し考えてから言った。
「誰かが今も地下を歩き回っているなら、あの地下への入り口を監視すれば、犯人を見つけられるかもしれない」
だけど、オッペンが言った。
「でもよ。こないだ、おれ、犯人を見つけようと思って、あの場所で張りこみしたんだぜ? だけど、あそこは魔導人形がみはっててさ。しかも、先生たちの見回りがくんだよ。だから、おれ、マジーラ先生につかまっちまって、むちゃくちゃしかられて、散々だったぜ」
ユウリは考えこみながら言った。
「じゃあ、どうやって地下に入ってるんだろう。一番いいのは、ぼくらで学校の地下に行って見張ることだけど……」
「じゃ、地下に入れてくれって、シャヒーン先生にお願いしてみようぜ」
オッペンがそう言ったので、イーア達はとりあえずシャヒーン先生の部屋にむかった。
ドアをノックすると、いつものようにボサボサ頭のシャヒーン先生が迎え入れてくれた。
部屋に入ってすぐ、ユウリが「先生、あの階段下の結界をあけて、ぼくらを地下に入れてもらえませんか?」とたずねると、シャヒーン先生は断言した。
「あの結界をあける? むりだね。あたしにそんな権限はないよ」
イーアは思わず言ってしまった。
「やっぱり、そうですよね」
イーアに続いてオッペンが力強く言った。
「シャヒーン先生だもんな! やっぱ信用されてねぇよな!」
(オッペン! そんなに力強く言っちゃだめだよ! わたしまでそう思ってるみたいになっちゃうじゃん!)とイーアは心の中で叫んだけど、実はイーアもそう思っていた。
シャヒーン先生は3人の顔を見まわしながら言った。
「なんだい! その不信感に満ちた目は! ……まぁ、たしかに、あたしはあんまり他の教職員に信用されてないさね。だけど、あたしだけじゃなくてね。あの地下への入り口は誰も開けちゃいけないことになっているんだよ」
「地下には保管庫があるのにですか?」
ユウリがたずねると、シャヒーン先生は言った。
「あの倉庫は古いものでね。普段使わない貴重品しか入ってないのさ。あの事件があるまで存在を知らない者だって多かったくらいだよ。昔は教職員は許可をとれば地下に入れたんだけどね。だいぶ前に教員がひとり、地下で行方不明になっちまって。そのまま見つかってないから、どこかで死んじまったのかもって噂さ。で、それ以来、教職員も立ち入り禁止になったんだよ」
イーアとユウリは思わず聞き返した。
「先生が行方不明!?」
「行方不明で、そのままなんですか?」
シャヒーン先生はうなずいた。
「そうだよ。なにしろ、グランドールの地下ってのは、大昔の白骨がちょくちょく発見されるようなところでね。魔物や亡霊でもいるんじゃないかとか、古城だった時の名残で危ない仕掛けでもあるんじゃないかって噂されてるんだよ。何が起こるかわかったもんじゃないのさ」
それを聞いてオッペンが叫んだ。
「本物のおばけ屋敷じゃねーか! おれら、んなとこの上で毎日勉強してたのかよ!」
イーアも同じ感想だった。
シャヒーン先生は言った。
「だから、立ち入り禁止なんだよ。といっても、こないだまでは、その気になりゃ、こっそり結界を解除して入れたんだけどね。だけど、学園祭の一件で厳しくなったから、今は絶対に無理さ」
「じゃ、やっぱり、地下には誰も入れないんだ……」
イーアがつぶやくと、シャヒーン先生は力強く言った。
「いんや、地下に入る方法はあるよ」
「え!? あるんですか!?」
シャヒーラ先生はニヤリと笑った。
「ああ。別の入り口がね」
イーアは思わず叫んでしまった。
「別の入り口!?」
そんなものがあるなら、犯人たちはそこから出入りしているに決まっている!
シャヒーラ先生は得意そうに言った。
「昨日みつけたのさ」
「昨日?」
「あたしゃね、あの階段の他にも地下への入り口があるんじゃないかとずっと思ってたんだ。それで、ずっと探してたんだよ。これを使ってね」
シャヒーン先生は紫色の石でできたペンデュラムをじゃらんと手からぶら下げた。
それを見て、ユウリが言った。
「ペンデュラム・ダウジングですか?」
ペンデュラム・ダウジングは占いの一種だ。昔から水脈や金脈、宝を見つけるのに使われてきた……と占術の授業で習った。
「そうだよ。あたしはこれで地下への入り口を探したのさ」
オッペンが感心したように言った。
「そういや、シャヒーン先生、占い師だったもんな」
「忘れるんじゃないよ! 毎週あんたらに占術を教えてやってるじゃないかい!」
オッペンにむかって叫ぶシャヒーン先生に、ユウリは冷静にたずねた。
「それで、地下への入り口はどこに?」
「林の中さ。ちょうどいい。いっしょに行こうじゃないかい。昨日は見つけただけで、まだ中には入ってないんだよ」
シャヒーン先生はそう言ってペンデュラムをポケットにしまい、立ち上がってランプを手に取った。
イーア達はシャヒーン先生の後に続いて、校舎を出て、林の中の道へと進んでいった。
林の中の道を少し進んだところで、シャヒーン先生は、なんの道もない木々の間を進みだした。
ずんずんと進んで行くシャヒーン先生にむかって、オッペンが言った。
「先生。こんなところ歩いて、帰れなくなったとか言わねぇでくれよ? 学校で遭難とか勘弁だぜ?」
シャヒーン先生は言った。
「大丈夫だよ。その辺の木に目印のひもが結んであるだろ?」
言われてみれば、木の枝にカラフルなひもが結びつけられていた。
冬枯れの草をかき分けながら、シャヒーン先生とイーア達はどんどんと進んでいった。
しばらくすると、丈の高い草がびっしりと生える小さな草原についた。
「ほら、あれさ」
草の中に何かの壁の残骸のような岩が突き出ていた。
シャヒーン先生がその岩の近くの草をかきわけると、下に続く階段のようなものが見えた。
「ほんとにあった!」
「先生、すげぇぜ!」
イーアとオッペンが叫ぶと、シャヒーン先生はうれしそうに笑った。
「あたしのダウジングはたいしたもんだろ? あたしゃ、ダウジングは得意なんだよ。占いはめったにあたらないけどね」
シャヒーン先生はそう言ってから、ランプに明かりをつけ、先に立って石段をおりて行った。
石段をおりて少し進んだ先の床には、崩れた石の破片がつもっていて、青銅の扉らしきものが床に落ちていた。まるで、内側から粉砕されたかのように。
その先には、地下通路が続いていた。
シャヒーン先生は後ろにいるイーア達の方へ振り返った。
「さぁ、地下に入るよ」
暗がりの中でランプを持つシャヒーン先生は、不気味に見えた。
一瞬、まるで先生が危険な場所へ子ども達を招きいれる悪い魔女のように見えた。
でも、オッペンは、何も感じなかったようで、元気よく叫んだ。
「おう。今度こそ地下の探検だ!」
「後で林の中を歩き回ってみたら、別の林道が近くを通ってた。だから、たぶん、誰かがその道を歩きながら会話してたんだよ」
ユウリは少し考えてから言った。
「誰かが今も地下を歩き回っているなら、あの地下への入り口を監視すれば、犯人を見つけられるかもしれない」
だけど、オッペンが言った。
「でもよ。こないだ、おれ、犯人を見つけようと思って、あの場所で張りこみしたんだぜ? だけど、あそこは魔導人形がみはっててさ。しかも、先生たちの見回りがくんだよ。だから、おれ、マジーラ先生につかまっちまって、むちゃくちゃしかられて、散々だったぜ」
ユウリは考えこみながら言った。
「じゃあ、どうやって地下に入ってるんだろう。一番いいのは、ぼくらで学校の地下に行って見張ることだけど……」
「じゃ、地下に入れてくれって、シャヒーン先生にお願いしてみようぜ」
オッペンがそう言ったので、イーア達はとりあえずシャヒーン先生の部屋にむかった。
ドアをノックすると、いつものようにボサボサ頭のシャヒーン先生が迎え入れてくれた。
部屋に入ってすぐ、ユウリが「先生、あの階段下の結界をあけて、ぼくらを地下に入れてもらえませんか?」とたずねると、シャヒーン先生は断言した。
「あの結界をあける? むりだね。あたしにそんな権限はないよ」
イーアは思わず言ってしまった。
「やっぱり、そうですよね」
イーアに続いてオッペンが力強く言った。
「シャヒーン先生だもんな! やっぱ信用されてねぇよな!」
(オッペン! そんなに力強く言っちゃだめだよ! わたしまでそう思ってるみたいになっちゃうじゃん!)とイーアは心の中で叫んだけど、実はイーアもそう思っていた。
シャヒーン先生は3人の顔を見まわしながら言った。
「なんだい! その不信感に満ちた目は! ……まぁ、たしかに、あたしはあんまり他の教職員に信用されてないさね。だけど、あたしだけじゃなくてね。あの地下への入り口は誰も開けちゃいけないことになっているんだよ」
「地下には保管庫があるのにですか?」
ユウリがたずねると、シャヒーン先生は言った。
「あの倉庫は古いものでね。普段使わない貴重品しか入ってないのさ。あの事件があるまで存在を知らない者だって多かったくらいだよ。昔は教職員は許可をとれば地下に入れたんだけどね。だいぶ前に教員がひとり、地下で行方不明になっちまって。そのまま見つかってないから、どこかで死んじまったのかもって噂さ。で、それ以来、教職員も立ち入り禁止になったんだよ」
イーアとユウリは思わず聞き返した。
「先生が行方不明!?」
「行方不明で、そのままなんですか?」
シャヒーン先生はうなずいた。
「そうだよ。なにしろ、グランドールの地下ってのは、大昔の白骨がちょくちょく発見されるようなところでね。魔物や亡霊でもいるんじゃないかとか、古城だった時の名残で危ない仕掛けでもあるんじゃないかって噂されてるんだよ。何が起こるかわかったもんじゃないのさ」
それを聞いてオッペンが叫んだ。
「本物のおばけ屋敷じゃねーか! おれら、んなとこの上で毎日勉強してたのかよ!」
イーアも同じ感想だった。
シャヒーン先生は言った。
「だから、立ち入り禁止なんだよ。といっても、こないだまでは、その気になりゃ、こっそり結界を解除して入れたんだけどね。だけど、学園祭の一件で厳しくなったから、今は絶対に無理さ」
「じゃ、やっぱり、地下には誰も入れないんだ……」
イーアがつぶやくと、シャヒーン先生は力強く言った。
「いんや、地下に入る方法はあるよ」
「え!? あるんですか!?」
シャヒーラ先生はニヤリと笑った。
「ああ。別の入り口がね」
イーアは思わず叫んでしまった。
「別の入り口!?」
そんなものがあるなら、犯人たちはそこから出入りしているに決まっている!
シャヒーラ先生は得意そうに言った。
「昨日みつけたのさ」
「昨日?」
「あたしゃね、あの階段の他にも地下への入り口があるんじゃないかとずっと思ってたんだ。それで、ずっと探してたんだよ。これを使ってね」
シャヒーン先生は紫色の石でできたペンデュラムをじゃらんと手からぶら下げた。
それを見て、ユウリが言った。
「ペンデュラム・ダウジングですか?」
ペンデュラム・ダウジングは占いの一種だ。昔から水脈や金脈、宝を見つけるのに使われてきた……と占術の授業で習った。
「そうだよ。あたしはこれで地下への入り口を探したのさ」
オッペンが感心したように言った。
「そういや、シャヒーン先生、占い師だったもんな」
「忘れるんじゃないよ! 毎週あんたらに占術を教えてやってるじゃないかい!」
オッペンにむかって叫ぶシャヒーン先生に、ユウリは冷静にたずねた。
「それで、地下への入り口はどこに?」
「林の中さ。ちょうどいい。いっしょに行こうじゃないかい。昨日は見つけただけで、まだ中には入ってないんだよ」
シャヒーン先生はそう言ってペンデュラムをポケットにしまい、立ち上がってランプを手に取った。
イーア達はシャヒーン先生の後に続いて、校舎を出て、林の中の道へと進んでいった。
林の中の道を少し進んだところで、シャヒーン先生は、なんの道もない木々の間を進みだした。
ずんずんと進んで行くシャヒーン先生にむかって、オッペンが言った。
「先生。こんなところ歩いて、帰れなくなったとか言わねぇでくれよ? 学校で遭難とか勘弁だぜ?」
シャヒーン先生は言った。
「大丈夫だよ。その辺の木に目印のひもが結んであるだろ?」
言われてみれば、木の枝にカラフルなひもが結びつけられていた。
冬枯れの草をかき分けながら、シャヒーン先生とイーア達はどんどんと進んでいった。
しばらくすると、丈の高い草がびっしりと生える小さな草原についた。
「ほら、あれさ」
草の中に何かの壁の残骸のような岩が突き出ていた。
シャヒーン先生がその岩の近くの草をかきわけると、下に続く階段のようなものが見えた。
「ほんとにあった!」
「先生、すげぇぜ!」
イーアとオッペンが叫ぶと、シャヒーン先生はうれしそうに笑った。
「あたしのダウジングはたいしたもんだろ? あたしゃ、ダウジングは得意なんだよ。占いはめったにあたらないけどね」
シャヒーン先生はそう言ってから、ランプに明かりをつけ、先に立って石段をおりて行った。
石段をおりて少し進んだ先の床には、崩れた石の破片がつもっていて、青銅の扉らしきものが床に落ちていた。まるで、内側から粉砕されたかのように。
その先には、地下通路が続いていた。
シャヒーン先生は後ろにいるイーア達の方へ振り返った。
「さぁ、地下に入るよ」
暗がりの中でランプを持つシャヒーン先生は、不気味に見えた。
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