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第1部 グランドール魔術学校 ~亡国の古城と地底竜の守るもの~
第56話 水晶占い
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今日の占術の授業は水晶占いだ。
シャヒーン先生は教室に入ってくるなり、オッペンと数人の男子生徒を呼んだ。
しばらくして、オッペン達は箱一杯の水晶玉を運んできた。
オッペンが自分の席に戻ってくると、座ったオッペンにキャシーがたずねた。
「そういえば、オッペン。シャヒーン先生に猛烈直訴して占星術部を復活させたって本当?」
「はぁ? おれは、んなことしてねーよ。シャヒーン先生が強引におれらを部員にしたんだよ」
シャヒーン先生が教卓の前でしゃべりだした。
「今日は見ての通り水晶占いだよ。やり方は教科書に書いてあるとおりだから、読んでおくれ。たいして難しいことは書いてないさね」
シャヒーン先生の言う通り、教科書に書いてあるやり方は簡単だ。
水晶玉を抱えるように両手をかざして、集中して呪文を唱えるだけ。
成功すれば、水晶玉の中に探し求めているものが見える、という占いだ。
「今日の課題は探し物を占いで探すこと。探すものはなんでも好きな物でいいよ。でも、最初に言っておくけど、水晶玉占いってのは、シンプルな分、とっても難しくてね。やり方があってたって見えない者は何千回やっても見えないってもんさ。ここだけの話、あたしもめったに見えないね。ま、見えないのが普通さね。だから、気楽にやっておくれ。さ、ひとりひとつ水晶玉を持っていきな」
こうして、水晶占いの練習が始まった。
イーアは何度やっても何も見えなかった。
ユウリもだめだった。キャシーもアイシャも、みんな、何度やっても見えなかった。
イーアは自分の占いはあきらめて、オッペンにたずねた。
「オッペン、見えた?」
オッペンはぼりぼりと頭をかいた。
「いんや。なんも見えねぇ。やっぱ、おれに占いの才能なんてねーんだな」
キャシーが指摘した。
「オッペンはやり方も呪文もまちがってるわよ。そんなにベタベタ手で水晶玉さわるんじゃないの。ほら、まず、教科書のここ見て。手の位置はこう。それから、呪文の順番は……」
「あん? わけわかんねぇよ」
キャシーはオッペンの横に移動して、手をとってオッペンに占いの手順をとってもわかりやすく教えた。
それから、オッペンは、もう一度水晶占いを開始した。
一度呪文をまちがえて、キャシーにダメだしをされて、もう一回やり直した時。オッペンは両手を水晶玉にかざしながら、つぶやいた。
「……あ、見えた」
イーアは思わず叫んでしまった。
「見えたの!?」
オッペンはイーアの方に振り返って言った。
「イーアが叫ぶから、消えちまったぜ」
キャシーは自分の席に戻りながら早口にぶつぶつと言った。
「集中力を切らしたオッペンがわるいんじゃない。……でも、くやしい。あたしは何度やっても何も見えないのに。なんで、オッペンは見えるの? なんでオッペンなんかに占いの才能があるの? 猫に小判もいいとこじゃない。あたしの小さな頃の夢は占術師だったのに……」
アイシャが落ちこむキャシーをなぐさめていたけど、イーアはいそいで小声でオッペンにたずねた。
「なにが見えたの? アレを探したんだよね?」
オッペンは、ドラゴンの模様が刻まれたあの扉のカギを探していたはずだ。
「ああ。でも、いっぱい水晶玉が見えただけだぜ。さっきおれがたくさん水晶玉運んだから、水晶玉が見えたんだろ。やっぱ占いなんて、あてになんねぇよ」
オッペンはそう言って、腕を頭の後ろでくんだ。
「水晶玉がいっぱい……?」
占術の授業が終わった後、イーアは片付けのボランティアを申し出た。オッペンとユウリもさそって。
3人で水晶玉の箱を運びながら、イーアはオッペンにたずねた。
「オッペンが見た水晶玉がたくさんある場所って、きっと、この箱が置いてある場所だよね?」
「おう。たぶん占術準備室だぜ。でも、それがなんだってんだよ」
イーアとユウリは、言うまでもなく同じことを考えている。
占術準備室には、箱に入った水晶玉の他にも、棚にたくさん水晶玉が置いてあった。
運んできた箱を床に置いてから、イーアは棚にびっしり並ぶ水晶玉を眺めた。
授業で使う練習用の水晶玉は無色透明だけど、棚には色とりどりの大小さまざまなサイズの水晶玉が置いてあった。
「水晶って色んな色があるんだね。きれい」
イーアはほこりのつもった棚から、手前の水晶玉をひとつずつ手にとって、観察した。
「紫、黄色、緑、……」
「イーア、その奥にある緑の玉」
ユウリにそう言われ、イーアはちょうど今手に取った水晶玉の奥にあった緑色の玉を見た。
他の水晶玉よりサイズが小さく、水晶玉にしては変な形だ。まん丸じゃなくてすこしつぶれている。
ユウリはイーアの後ろから手を伸ばしてその玉を取って観察した。
「これ、水晶玉じゃないよ。中に紋様が見える」
「あの扉のカギかも。さっすがオッペン。オッペンなら見つけられると思ってたよ。やっぱりオッペンは天才占い師だね!」
イーアが感動してほめると、オッペンは照れたように頭をかいて、でも、やっぱり言った。
「だからぁ、おれは占い師になんてならねぇって。占い師なんて戦闘力ゼロじゃん。おれは強い魔法戦士になりてーんだって」
放課後、イーア達は再び地下に入った。
イーア達3人は以前マーカスがいた双竜模様の扉まで進んで行った。
扉には3色の宝玉がはめこまれていて、それぞれの石から3色の光の線がのびている。
残りのくぼみは一つだけだ。
「この扉だね」
「早く、はめてみようぜ」
ユウリは、残りのくぼみに緑色の宝玉をはめこんだ。緑色の線がのびた。
でも、扉は開かなかった。
イーアとオッペンは、何度も扉を押したり引いたりしたけど、ちっとも動かない。
「開かないぜ」
「この宝玉はこの扉のカギでまちがいなさそうなのにね。いれる場所が違うのかな?」
イーアがそう言うと、ユウリは数歩後ろに下がって扉全体を眺めた。
「うん。そうだと思う。宝玉からのびてるこの線、きっと、魔法陣を描くはずなんだ」
ユウリはしばらく考えた後、もう一度扉に近づき、一度4色の宝玉を全て外し、違う場所にはめなおした。
4色の宝玉からのびる光の線がつながり、さらに、上下に配置されたドラゴンの彫刻の口に光の線がつながった。
そして、扉に魔法陣が浮かび上がり、ぎいっと重たい音をたてて双竜模様の大きな扉が開いていった。
シャヒーン先生は教室に入ってくるなり、オッペンと数人の男子生徒を呼んだ。
しばらくして、オッペン達は箱一杯の水晶玉を運んできた。
オッペンが自分の席に戻ってくると、座ったオッペンにキャシーがたずねた。
「そういえば、オッペン。シャヒーン先生に猛烈直訴して占星術部を復活させたって本当?」
「はぁ? おれは、んなことしてねーよ。シャヒーン先生が強引におれらを部員にしたんだよ」
シャヒーン先生が教卓の前でしゃべりだした。
「今日は見ての通り水晶占いだよ。やり方は教科書に書いてあるとおりだから、読んでおくれ。たいして難しいことは書いてないさね」
シャヒーン先生の言う通り、教科書に書いてあるやり方は簡単だ。
水晶玉を抱えるように両手をかざして、集中して呪文を唱えるだけ。
成功すれば、水晶玉の中に探し求めているものが見える、という占いだ。
「今日の課題は探し物を占いで探すこと。探すものはなんでも好きな物でいいよ。でも、最初に言っておくけど、水晶玉占いってのは、シンプルな分、とっても難しくてね。やり方があってたって見えない者は何千回やっても見えないってもんさ。ここだけの話、あたしもめったに見えないね。ま、見えないのが普通さね。だから、気楽にやっておくれ。さ、ひとりひとつ水晶玉を持っていきな」
こうして、水晶占いの練習が始まった。
イーアは何度やっても何も見えなかった。
ユウリもだめだった。キャシーもアイシャも、みんな、何度やっても見えなかった。
イーアは自分の占いはあきらめて、オッペンにたずねた。
「オッペン、見えた?」
オッペンはぼりぼりと頭をかいた。
「いんや。なんも見えねぇ。やっぱ、おれに占いの才能なんてねーんだな」
キャシーが指摘した。
「オッペンはやり方も呪文もまちがってるわよ。そんなにベタベタ手で水晶玉さわるんじゃないの。ほら、まず、教科書のここ見て。手の位置はこう。それから、呪文の順番は……」
「あん? わけわかんねぇよ」
キャシーはオッペンの横に移動して、手をとってオッペンに占いの手順をとってもわかりやすく教えた。
それから、オッペンは、もう一度水晶占いを開始した。
一度呪文をまちがえて、キャシーにダメだしをされて、もう一回やり直した時。オッペンは両手を水晶玉にかざしながら、つぶやいた。
「……あ、見えた」
イーアは思わず叫んでしまった。
「見えたの!?」
オッペンはイーアの方に振り返って言った。
「イーアが叫ぶから、消えちまったぜ」
キャシーは自分の席に戻りながら早口にぶつぶつと言った。
「集中力を切らしたオッペンがわるいんじゃない。……でも、くやしい。あたしは何度やっても何も見えないのに。なんで、オッペンは見えるの? なんでオッペンなんかに占いの才能があるの? 猫に小判もいいとこじゃない。あたしの小さな頃の夢は占術師だったのに……」
アイシャが落ちこむキャシーをなぐさめていたけど、イーアはいそいで小声でオッペンにたずねた。
「なにが見えたの? アレを探したんだよね?」
オッペンは、ドラゴンの模様が刻まれたあの扉のカギを探していたはずだ。
「ああ。でも、いっぱい水晶玉が見えただけだぜ。さっきおれがたくさん水晶玉運んだから、水晶玉が見えたんだろ。やっぱ占いなんて、あてになんねぇよ」
オッペンはそう言って、腕を頭の後ろでくんだ。
「水晶玉がいっぱい……?」
占術の授業が終わった後、イーアは片付けのボランティアを申し出た。オッペンとユウリもさそって。
3人で水晶玉の箱を運びながら、イーアはオッペンにたずねた。
「オッペンが見た水晶玉がたくさんある場所って、きっと、この箱が置いてある場所だよね?」
「おう。たぶん占術準備室だぜ。でも、それがなんだってんだよ」
イーアとユウリは、言うまでもなく同じことを考えている。
占術準備室には、箱に入った水晶玉の他にも、棚にたくさん水晶玉が置いてあった。
運んできた箱を床に置いてから、イーアは棚にびっしり並ぶ水晶玉を眺めた。
授業で使う練習用の水晶玉は無色透明だけど、棚には色とりどりの大小さまざまなサイズの水晶玉が置いてあった。
「水晶って色んな色があるんだね。きれい」
イーアはほこりのつもった棚から、手前の水晶玉をひとつずつ手にとって、観察した。
「紫、黄色、緑、……」
「イーア、その奥にある緑の玉」
ユウリにそう言われ、イーアはちょうど今手に取った水晶玉の奥にあった緑色の玉を見た。
他の水晶玉よりサイズが小さく、水晶玉にしては変な形だ。まん丸じゃなくてすこしつぶれている。
ユウリはイーアの後ろから手を伸ばしてその玉を取って観察した。
「これ、水晶玉じゃないよ。中に紋様が見える」
「あの扉のカギかも。さっすがオッペン。オッペンなら見つけられると思ってたよ。やっぱりオッペンは天才占い師だね!」
イーアが感動してほめると、オッペンは照れたように頭をかいて、でも、やっぱり言った。
「だからぁ、おれは占い師になんてならねぇって。占い師なんて戦闘力ゼロじゃん。おれは強い魔法戦士になりてーんだって」
放課後、イーア達は再び地下に入った。
イーア達3人は以前マーカスがいた双竜模様の扉まで進んで行った。
扉には3色の宝玉がはめこまれていて、それぞれの石から3色の光の線がのびている。
残りのくぼみは一つだけだ。
「この扉だね」
「早く、はめてみようぜ」
ユウリは、残りのくぼみに緑色の宝玉をはめこんだ。緑色の線がのびた。
でも、扉は開かなかった。
イーアとオッペンは、何度も扉を押したり引いたりしたけど、ちっとも動かない。
「開かないぜ」
「この宝玉はこの扉のカギでまちがいなさそうなのにね。いれる場所が違うのかな?」
イーアがそう言うと、ユウリは数歩後ろに下がって扉全体を眺めた。
「うん。そうだと思う。宝玉からのびてるこの線、きっと、魔法陣を描くはずなんだ」
ユウリはしばらく考えた後、もう一度扉に近づき、一度4色の宝玉を全て外し、違う場所にはめなおした。
4色の宝玉からのびる光の線がつながり、さらに、上下に配置されたドラゴンの彫刻の口に光の線がつながった。
そして、扉に魔法陣が浮かび上がり、ぎいっと重たい音をたてて双竜模様の大きな扉が開いていった。
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