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第2部 バララセ東部 ~密林の巨鳥と水竜の島
第108話 白装束の魔導士との戦い2
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白装束の魔道士がこのまま何もしないとは思えなかった。
解放されたランがこちらにむかって走ってくる中、イーアはオッペンに「ランといっしょに逃げて。ジャングルの中へ」と指示をだした。
そして、イーアは白装束の魔導士の方へとゆっくり数歩近づいた。オッペンとランが逃げる時間をつくるためにあえてゆっくりと。
白装束の魔導士が再び手を伸ばした。
「さぁ、早くその石をよこせ」
イーアは、オッペンとランが密林へと駆けて行く気配を感じながら、うなずいた。
「わかった」
イーアは石板の欠片を、白装束の男の方に放り投げた。
ほぼ同じ瞬間に、白装束の魔導士は呪文を唱えながら、禍々しい呪符のはられたビンをイーアの方にむかって投げていた。
どうせ攻撃してくるだろうと予想していたイーアは、投げつけられたビンを走ってよけた。
地面に落ちたビンからは、禍々しい紫色のドロドロした物体が流れ出て広がり、モンスターのように盛り上がっていく。
その紫色のドロドロに触れた草は、とたんに枯れて溶けていった。
広がっていく毒にやられて草原の草がどんどんと枯れて消えていく。
石板の欠片を拾い手にした<白光>の魔導士は、高笑いをあげた。
「その猛毒はどんどん広がっていくぞ。骨まで溶かされ消えるがいい。愚かな蛮族め!」
白装束の魔道士がそう叫んだ時、イーアは『今だ!』と精霊語で叫んでいた。
その瞬間、白装束の魔導士が立つ地面に大きな穴があき、白装束の魔導士は、叫び声だけ残して穴の中へと落ちていった。
実はイーアは、まだオーロンガロンにのっている時にすでに『掘削の王獣グモーチ』に指示をだしていた。
あの魔導士たちの足下に深い穴を掘るように。そして、『今だ!』と言ったら、地上にいる白装束の人間を落とし穴に落とすように。
穴の中には敵を拘束するために巨大な針金のような精霊ドズミリミルと、人を石にしてしまう石サソリ、ついでに猛毒の毛が全身にはえたゲギンピピも召喚しておいた。
イーアは走って、どんどんと大きくなる猛毒の怪物から逃げながら、『エラスシオ、あの怪物の中心にあるビンを白装束の魔導士に、穴に向かって押し流して』と叫んだ。
『まったく。我を呼ぶには霊力が足りていないぞ』
そう文句を言いながら、オーロラ色の美しい水竜エラスシオが、上半身だけあらわれた。
イーアの魔力不足で、エラスシオの首から上しか呼び出せなかった。これが召喚術のテストだったら失敗だけど。
『まぁ、よい。十分だ』
そう言いながら、エラスシオは激しい水流を一直線に、巨大な紫色の毒の塊の中心に、その中にある呪符のはられたビンに当てた。巨大な毒の塊は、ビンごとグモーチが掘った穴の中、白装束の魔道士の頭の上へと流し落とされた。
穴の中から、白装束の魔道士が、解呪の呪文らしきものを叫ぶ声が聞こえた。さすがに自分の放った毒で溶かされるほど、敵は間抜けではなさそうだ。
その間に、イーアはエラスシオの前に呼んでいた大勢のモンペルに指示を出していた。
『モンペル、急いであの穴をふさいで、白装束の魔導士を閉じこめて』
何もない状態なら、白装束の魔導士は、浮遊魔法で簡単に地上に上がることができるはずだ。
だけど、ドズミリミルに襲われ、さらに自ら放った猛毒が上から降ってきた中、白装束の魔導士は、モンペルが入り口をふさぐ前に穴から脱出することはできなかった。
作戦通り。閉じ込めた。
あとは石サソリの毒で敵が石になるのを待つ。
イーアは警戒しながら待った。
簡単にいくとは思っていなかった。
<白光>の魔導士は、ティロモサの攻撃に対して行ったような身代わりの魔法を使うかもしれない。転移魔法で逃げるかもしれない。あるいは、強力な魔法でモンペルのつくった蓋を破壊するかもしれない。
モンペルが覆った穴の中から悲鳴と叫び声が聞こえた。「やめろぉ! ケダモノ! 近寄るな!」と。
それから、悲鳴と痛みに悶えるような唸り声が響き続けた。
たぶん、白装束の魔導士は、触れると激痛が走る毒のトゲが全身にはえたゲギンピピのフレンドリーな抱擁を受けたのだろう。
ただのさみしがりのゲギンピピに全く悪意のないことを知っているイーアは、笑ってしまいそうになるけれど。ゲギンピピの毒は、気を失いそうになるほど痛いし、動けなくなる。
やがて、穴の中は静かになった。モンペルの蓋はまだ破壊されていない。
『友契の書。ドズミリミル、石サソリ、ゲギンピピは残ってる?』
イーアがたずねると、『友契の書』は、『ドズミリミル2名、すべて帰還、石サソリは40名召喚したうち、30名帰還しました。ゲギンピピ1名は残っています』と答えた。
ほとんど倒された。でも、石サソリは全滅していない。意外なことに、ゲギンピピも。
『ってことは……成功?』
<白光>の魔導士相手に?
それとも、敵は逃げた?
しばらく待ってから、イーアは召喚獣たちを帰還させ、穴の中の様子を確認した。
穴の中には、銀色の仮面が落ちていた。そして、白装束の魔導士が、絶叫しているような顔のまま、しっかりと石になっていた。
『勝てた……?』
自力で、<白光>の魔導士相手に。この半年くらいでイーアの魔力は以前より上がり、今はバララセの強力な精霊たちも協力してくれているけれど、それでも信じられなかった。
解放されたランがこちらにむかって走ってくる中、イーアはオッペンに「ランといっしょに逃げて。ジャングルの中へ」と指示をだした。
そして、イーアは白装束の魔導士の方へとゆっくり数歩近づいた。オッペンとランが逃げる時間をつくるためにあえてゆっくりと。
白装束の魔導士が再び手を伸ばした。
「さぁ、早くその石をよこせ」
イーアは、オッペンとランが密林へと駆けて行く気配を感じながら、うなずいた。
「わかった」
イーアは石板の欠片を、白装束の男の方に放り投げた。
ほぼ同じ瞬間に、白装束の魔導士は呪文を唱えながら、禍々しい呪符のはられたビンをイーアの方にむかって投げていた。
どうせ攻撃してくるだろうと予想していたイーアは、投げつけられたビンを走ってよけた。
地面に落ちたビンからは、禍々しい紫色のドロドロした物体が流れ出て広がり、モンスターのように盛り上がっていく。
その紫色のドロドロに触れた草は、とたんに枯れて溶けていった。
広がっていく毒にやられて草原の草がどんどんと枯れて消えていく。
石板の欠片を拾い手にした<白光>の魔導士は、高笑いをあげた。
「その猛毒はどんどん広がっていくぞ。骨まで溶かされ消えるがいい。愚かな蛮族め!」
白装束の魔道士がそう叫んだ時、イーアは『今だ!』と精霊語で叫んでいた。
その瞬間、白装束の魔導士が立つ地面に大きな穴があき、白装束の魔導士は、叫び声だけ残して穴の中へと落ちていった。
実はイーアは、まだオーロンガロンにのっている時にすでに『掘削の王獣グモーチ』に指示をだしていた。
あの魔導士たちの足下に深い穴を掘るように。そして、『今だ!』と言ったら、地上にいる白装束の人間を落とし穴に落とすように。
穴の中には敵を拘束するために巨大な針金のような精霊ドズミリミルと、人を石にしてしまう石サソリ、ついでに猛毒の毛が全身にはえたゲギンピピも召喚しておいた。
イーアは走って、どんどんと大きくなる猛毒の怪物から逃げながら、『エラスシオ、あの怪物の中心にあるビンを白装束の魔導士に、穴に向かって押し流して』と叫んだ。
『まったく。我を呼ぶには霊力が足りていないぞ』
そう文句を言いながら、オーロラ色の美しい水竜エラスシオが、上半身だけあらわれた。
イーアの魔力不足で、エラスシオの首から上しか呼び出せなかった。これが召喚術のテストだったら失敗だけど。
『まぁ、よい。十分だ』
そう言いながら、エラスシオは激しい水流を一直線に、巨大な紫色の毒の塊の中心に、その中にある呪符のはられたビンに当てた。巨大な毒の塊は、ビンごとグモーチが掘った穴の中、白装束の魔道士の頭の上へと流し落とされた。
穴の中から、白装束の魔道士が、解呪の呪文らしきものを叫ぶ声が聞こえた。さすがに自分の放った毒で溶かされるほど、敵は間抜けではなさそうだ。
その間に、イーアはエラスシオの前に呼んでいた大勢のモンペルに指示を出していた。
『モンペル、急いであの穴をふさいで、白装束の魔導士を閉じこめて』
何もない状態なら、白装束の魔導士は、浮遊魔法で簡単に地上に上がることができるはずだ。
だけど、ドズミリミルに襲われ、さらに自ら放った猛毒が上から降ってきた中、白装束の魔導士は、モンペルが入り口をふさぐ前に穴から脱出することはできなかった。
作戦通り。閉じ込めた。
あとは石サソリの毒で敵が石になるのを待つ。
イーアは警戒しながら待った。
簡単にいくとは思っていなかった。
<白光>の魔導士は、ティロモサの攻撃に対して行ったような身代わりの魔法を使うかもしれない。転移魔法で逃げるかもしれない。あるいは、強力な魔法でモンペルのつくった蓋を破壊するかもしれない。
モンペルが覆った穴の中から悲鳴と叫び声が聞こえた。「やめろぉ! ケダモノ! 近寄るな!」と。
それから、悲鳴と痛みに悶えるような唸り声が響き続けた。
たぶん、白装束の魔導士は、触れると激痛が走る毒のトゲが全身にはえたゲギンピピのフレンドリーな抱擁を受けたのだろう。
ただのさみしがりのゲギンピピに全く悪意のないことを知っているイーアは、笑ってしまいそうになるけれど。ゲギンピピの毒は、気を失いそうになるほど痛いし、動けなくなる。
やがて、穴の中は静かになった。モンペルの蓋はまだ破壊されていない。
『友契の書。ドズミリミル、石サソリ、ゲギンピピは残ってる?』
イーアがたずねると、『友契の書』は、『ドズミリミル2名、すべて帰還、石サソリは40名召喚したうち、30名帰還しました。ゲギンピピ1名は残っています』と答えた。
ほとんど倒された。でも、石サソリは全滅していない。意外なことに、ゲギンピピも。
『ってことは……成功?』
<白光>の魔導士相手に?
それとも、敵は逃げた?
しばらく待ってから、イーアは召喚獣たちを帰還させ、穴の中の様子を確認した。
穴の中には、銀色の仮面が落ちていた。そして、白装束の魔導士が、絶叫しているような顔のまま、しっかりと石になっていた。
『勝てた……?』
自力で、<白光>の魔導士相手に。この半年くらいでイーアの魔力は以前より上がり、今はバララセの強力な精霊たちも協力してくれているけれど、それでも信じられなかった。
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