もふもふ精霊に愛された召喚士、実はエルフだった!? ~精霊の森の生き残りはやがて英雄となる~

しゃぼてん

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第4部 帝国の終焉 ~滅亡をもたらすダークエルフ~

第173話 要塞内

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 要塞の中に入ると、ゲオがやってきたときに一度姿を消したティトが、イーアの横にあらわれた。

『予定通りだな』

『うん。ゲオ先生には悪いことしちゃったけど』

 イーアはティトと一緒にひたすら要塞内を進んでいった。
 「工場」と名乗ってはいるけれど、工場労働者はいない。ここはあくまであの新型兵器のための施設のようだ。
 どこもかしこもきれいで最新鋭の技術が使われていた。ここだけ近未来の世界みたいに思えてくる。

『ボンペール商会はすごいね』

 魔導技術のすごさにイーアは素直に感心した。
 地上の守りは固そうだったけれど、イーアが侵入した地下の最下層は不思議なほどに警備が手薄だった。軍の正式な施設ではないせいか、秘密を守るためにあまり人をいれないようにしているのか、理由はよくわからないけれど。
 たぶん、地下最下層からの侵入は想定していなかったのだろう。

 ただ、イーアは透明ローブを着ているけれど、ところどころにそれを無効にする装置があるらしい。何度か見つかってしまった。
 だけど、結果的にそれはイーアにとってはむしろ幸運だった。
 通路の幅いっぱいに膨らんだドプープクは、おもしろいほど簡単に集まってきた警備兵を気絶させ、気絶した警備兵から、イーアは扉を開ける鍵となるカードを手にいれることができた。

 廊下を遮る扉を手に入れたカードで開けてどんどんと進んでいくと、やがて大きな扉の前に出た。
 扉の前に魔動人形2体が立っていた。
 マーカスのような人間そっくりな人形ではなく、顔や長い手足は金属のパーツがむき出しで、一目で人ではないとわかる姿形の魔動人形だ。戦闘に特化した作りになっていそうだ。

 イーアは壁に身を隠しながらティトにささやいた。

『ボンペール商会がつくった戦闘用魔動人形だよ』

『歯ごたえありそうなボディだな』

『マーカスも腕の中に魔道具をしこんで魔法を使えるようにしてるけど、きっと、あの魔動人形は魔法攻撃もあるよ』

『わかってる』

 そう言うと、ティトは壁のかげからおどりでて、魔動人形に襲いかかった。
 魔動人形は金属の腕でティトの牙を受けた。

「危険生物の侵入を確認! 駆除します」

 魔動人形のもう片方の手から細長い光の剣があらわれ、魔動人形はその剣をティトに向かって振った。
 ティトはすばやくとびのいたけれど、即座に、今度は魔動人形の手首から先が落ちて、腕から炎の弾が撃ちだされた。
 ティトはひらりと炎弾を避け、光輝く爪で魔動人形を切り裂いた。

 イーアはティトの戦闘を見ながら、召喚をしていった。

『モンペル! オルゾロ! パラオーチ!』

 召喚を終えた瞬間、イーアも魔動人形に見つかってしまった。

「侵入者を確認! 制圧します!」

 魔動人形は両手から剣を出し、イーアめがけて跳躍した。
 イーアは透明ローブを着ていたけれど、この魔動人形に効果はないみたいだった。
 青いモンペルの壁が、魔動人形の攻撃を食い止め、魔動人形の背後にまわりこんだ双頭の狼オルゾロが氷のブレスをまとった牙で噛みついた。
 さらに炎の鎖のようなパラオーチが魔動人形にまきつき、魔動人形の動きをとめた。

 その時には、ティトはすでに魔動人形一体をしとめていた。
 だけど、ティトは叫んだ。

『まずい。こいつ、爆発するぞ!』

『モンペル以外みんな戻って!』

 イーアは叫びながら、全速力で走って逃げた。
 激しい爆音が背後で轟いた。
 その爆発に誘爆され、イーア達が戦っていたほうの魔動人形も爆発した。
 イーアの後ろを跳びながらついてきていたモンペルたちが、壁となって爆風からイーアを守ろうとしたけれど、時間がなく不完全な壁にしかなれなかった。

 魔動人形の破片と爆風をあびたモンペルたちは、ぼろぼろと細かい破片になって崩れ落ち、消えていった。
 モンペルが遮ってくれたから、イーアへのダメージは小さな切り傷以外ほとんどなかった。
 イーアが着ていた透明ローブはずたずたになってしまったけれど。
 イーアは効果のなくなったローブを脱いでカバンにしまいながら思った。

(ローブはだめになっちゃったけど、被害はなくてよかった)

 岩の精霊モンペルは、小さく砕けてしまっても死ぬことはない。
 他の召喚獣たちは爆発の直前に元の世界に戻ったはずだから、たぶん大丈夫だろう。

 魔動人形も精霊もいなくなった静かな廊下の先には大きな扉が佇んでいた。
 イーアが大扉の前に立つと、その扉は勝手に開いていった。
 扉の先は広い部屋だった。奥の方に長い机が並んでいて、そのデスクの向こうの壁いっぱいに、いくつかの映像が映し出されていた。

 イーアはゆっくりと室内に足を踏み入れた。
 室内はほとんど無人だった。
 だけど、完全に無人ではなかった。
 突然、背後の上方から声が聞こえた。

「さすがはダークエルフ。こともなさげに指令室までたどりつくとはな。だがここまでだ」

 そこには、白装束の魔導士が待ち構えていた。

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