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番外編・央央アタック大作戦
五.央央は諦めない【1】
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端午節といえば粽、粽といえば端午節。央央が昨晩から泊まっている宿屋でも、明後日の朝餉と夕餉の両方に、粽が提供されると耳にした。しかも食べ放題だという。それを聞いた途端、央央は即決した。宿を選んだ決め手と言っても過言ではない。食事面が充実しているということは、央央にとって部屋の広さよりも重要なのだ。三畳しかない小さな板の間に、姉と長年、生活していたことがあるからか、部屋が狭くても問題ない。むしろ安心する。
晋高は、相変わらず央央を遠ざけていた。遠ざけているくせに、楚月の命令なのか央央のことを遠くから見守っているため、その姿は確認できる。
「琳哥哥。占ってあげようか?」
わざと路地に入り込み物陰に隠れると、晋高が急いで追いかけてくるので、近づいたところで腕を掴んだ。ところが、久しぶりに手相を見ようとしたのに、晋高に腕を振り解かれてしまった。
「不要だ!」
「わっ!」
「……央央!」
解かれた拍子に安定性が失われ、小柄な央央は体勢を崩して盛大に転んでしまった。晋高は、はっとして慌てて腕を掴もうとしたものの、間に合わなかった。尻餅を突いてしまった。
「いたた。琳哥哥。驚かせるつもりはなかったの。ごめんなさい」
「……いや」
転んだ拍子に足を挫いてしまったらしく、立ち上がろうとすると右足に鈍い痛みが走った。晋高の顔面は見る見るうちに蒼白になり、痛い思いをしたのはこちらだというのに、なんだか可哀想な気になってくる。
「このくらい平気よ?」
「……だが」
地面に座ったままの央央の前に跪き、右足を確認してくれる。痛みに顔を顰めると、慌てて手を引っ込めたので一つ提案した。
「それなら、おんぶしてほしい」
まるで弱みにつけ込むみたいだが、それで晋高の気が少しでも晴れるなら、と央央は微笑んでみせた。
「わかった」
拒絶することなく、体の向きを変えて背を向けてくれたので、遠慮することなく広い背中に抱きつく。晋高はゆっくりその場に立ち上がった。視線が一気に高くなる。頭一つ分違うため、ここまで見える景色が異なるのかと新鮮だった。
「わあい、高い! 琳哥哥の視界はこんなに上だったのね」
「大丈夫か?」
「うん。痛みなんてすぐに消えたわ!」
気にしている晋高には大変申し訳ないが、怪我の功名で密着する機会が生まれ、央央は密かに喜んだ。ただの知り合いという立場ゆえに、こんなことでもない限り、ここまで接近することは難しい。
「……って、どこに向かってるの?」
まだ行先も告げていないのに、町の中心部とは逆の方角に向かって歩いているので尋ねた。琳家の屋敷でもなく、知県である謝家の屋敷でもない。霜北府の外れにでも用事があるのだろうか。
「医院だ」
「医院ですって!? 嫌よ! 行かないわ!」
「暴れるな」
町外れの医者に診せると言われ、央央は手足をばたつかせて拒否した。軽く傷めただけで骨折したわけではない。大げさにしないでほしい。
「それよりも花火が見たい。端午節で今晩、打ち上げるでしょ? 琳哥哥の背中から見たら、もっと高いと思うの」
今年の端午節の夜には、煙火師(えんかし)と呼ばれる花火職人たちが腕を競い合い、夜空に大輪を咲かせると琳有から聞いている。本来ならば邪気払いとして、新年だったり、宮廷の祝賀行事や皇帝の生誕だったり、軍事勝利を祝ったり、婚礼などで打ち上げるものだが、たまたま煙火師が集まる酒の席で口論になったことがきっかけで、端午節の夜に腕試しをすることが決まったらしい。年にそう何度も目にすることはないため、まさに棚から牡丹餅だ。
「……それなら、楼閣がある」
晋高の視線の先には、階層を重ねた立派な建造物がお目見えする。高楼から花火を眺めればいいと言われ、央央は大きく首を振った。
「楼閣なんて嫌よ。琳哥哥が、普段見ている景色がいいの!」
「……そんなもの、大して変わらない」
「そんなことないわ! 見ることに意味があるんだから!」
却下されてしまったが、琳有の助言を参考に央央は粘った。すると、しつこく食い下がる央央にとうとう観念したのか、溜め息を吐き出しつつも晋高は歩みを止めた。
「……夜までは、まだ時間がある」
「それなら、やることは一つじゃない?」
露店に並ぶ料理を片っ端から食べたいと提案すると、怪我をさせた負い目があるらしい晋高は、また溜め息を吐き出しながらも従った。あれだけ避けられていたというのに、なんだか夢のようだ。
(教えてくれた阿有には、お土産をたんまり買わなくちゃね♪)
身内からの助言で実現したので、央央はこっそり感謝した。彼女の好物である甘いものや、似合いそうな簪など見繕って渡すことにした。
あと少しで戌の正刻である二十時を迎える。町の中心部には花火を見物しようと大勢の市民で賑わっていた。人混みから離れ、晋高に背負われた央央も、今か今かと期待の眼差しを夜空に向けている。打ち上げ場所は、万が一を考えて霜北府の外にある平野に設けている。すぐに水が汲めるようにと川もある。準備は万端だ。
それほど待たずして、上空に向かってまっすぐ昇っていく光が見える。そして、ドンという破裂音の後に、真っ暗闇だった空を、ぱっと明るい大輪の花が照らした。とても綺麗だ。
「琳哥哥の背中から見る花火は絶景ね」
あちらこちらでは、花火に合わせてわあわあと拍手や歓声が沸き起こる。央央も晋高の背中で手を叩く。
晋高は、相変わらず央央を遠ざけていた。遠ざけているくせに、楚月の命令なのか央央のことを遠くから見守っているため、その姿は確認できる。
「琳哥哥。占ってあげようか?」
わざと路地に入り込み物陰に隠れると、晋高が急いで追いかけてくるので、近づいたところで腕を掴んだ。ところが、久しぶりに手相を見ようとしたのに、晋高に腕を振り解かれてしまった。
「不要だ!」
「わっ!」
「……央央!」
解かれた拍子に安定性が失われ、小柄な央央は体勢を崩して盛大に転んでしまった。晋高は、はっとして慌てて腕を掴もうとしたものの、間に合わなかった。尻餅を突いてしまった。
「いたた。琳哥哥。驚かせるつもりはなかったの。ごめんなさい」
「……いや」
転んだ拍子に足を挫いてしまったらしく、立ち上がろうとすると右足に鈍い痛みが走った。晋高の顔面は見る見るうちに蒼白になり、痛い思いをしたのはこちらだというのに、なんだか可哀想な気になってくる。
「このくらい平気よ?」
「……だが」
地面に座ったままの央央の前に跪き、右足を確認してくれる。痛みに顔を顰めると、慌てて手を引っ込めたので一つ提案した。
「それなら、おんぶしてほしい」
まるで弱みにつけ込むみたいだが、それで晋高の気が少しでも晴れるなら、と央央は微笑んでみせた。
「わかった」
拒絶することなく、体の向きを変えて背を向けてくれたので、遠慮することなく広い背中に抱きつく。晋高はゆっくりその場に立ち上がった。視線が一気に高くなる。頭一つ分違うため、ここまで見える景色が異なるのかと新鮮だった。
「わあい、高い! 琳哥哥の視界はこんなに上だったのね」
「大丈夫か?」
「うん。痛みなんてすぐに消えたわ!」
気にしている晋高には大変申し訳ないが、怪我の功名で密着する機会が生まれ、央央は密かに喜んだ。ただの知り合いという立場ゆえに、こんなことでもない限り、ここまで接近することは難しい。
「……って、どこに向かってるの?」
まだ行先も告げていないのに、町の中心部とは逆の方角に向かって歩いているので尋ねた。琳家の屋敷でもなく、知県である謝家の屋敷でもない。霜北府の外れにでも用事があるのだろうか。
「医院だ」
「医院ですって!? 嫌よ! 行かないわ!」
「暴れるな」
町外れの医者に診せると言われ、央央は手足をばたつかせて拒否した。軽く傷めただけで骨折したわけではない。大げさにしないでほしい。
「それよりも花火が見たい。端午節で今晩、打ち上げるでしょ? 琳哥哥の背中から見たら、もっと高いと思うの」
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「……それなら、楼閣がある」
晋高の視線の先には、階層を重ねた立派な建造物がお目見えする。高楼から花火を眺めればいいと言われ、央央は大きく首を振った。
「楼閣なんて嫌よ。琳哥哥が、普段見ている景色がいいの!」
「……そんなもの、大して変わらない」
「そんなことないわ! 見ることに意味があるんだから!」
却下されてしまったが、琳有の助言を参考に央央は粘った。すると、しつこく食い下がる央央にとうとう観念したのか、溜め息を吐き出しつつも晋高は歩みを止めた。
「……夜までは、まだ時間がある」
「それなら、やることは一つじゃない?」
露店に並ぶ料理を片っ端から食べたいと提案すると、怪我をさせた負い目があるらしい晋高は、また溜め息を吐き出しながらも従った。あれだけ避けられていたというのに、なんだか夢のようだ。
(教えてくれた阿有には、お土産をたんまり買わなくちゃね♪)
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