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#テストの結果と夏休み
Ep.27 まっさらな夏休み
しおりを挟む待ちに待った夏休み!
夏休みといえば、海に行ったりお祭りに行ったり、友達との楽しい予定がいっぱいあって……。
「なーんの予定もない。」
夏休み3日目。自宅の自室、ベッドの上で、枕に顔を埋めてバタ足する。
兄曰く友達との予定というものは約束をしないと発生しないものだったらしい。
冷静に考えればそりゃそうだ、約束しなきゃどこで待ち合わせていいかわかんないもん。っていうか連絡先も知らないし。
「………まぁ、別にいいか。」
はた、と足の動きが止まって、ついでに全身の力も抜ける。
暑いの嫌いだし人混み嫌いだし。日焼けもしたくないし。海も祭りも、行ったところでゲンナリするだけですわ。
「涼しい家の中でのんびりするのが正解ね。」
枕にめり込んだ顔は、言葉とは裏腹の不満そうな顰めっ面だ。無理やり目を瞑ると、そのまま眠りに落ちてしまった。
――――
――……
「夏休みが…!終わる…っ!」
ベッドの上でダラダラ過ごしていたというのに、驚愕の事実に跳ね起きた。
寝て食べて宿題してを繰り返して、気づけば8月も終わろうとしている。スマホの日付を見てびっくりした。後3日しかないもん、夏休み。
H2Oとの予定がないとかぼやいていたあの頃が懐かしい。このままでは本当に何もせず夏休みが終わってしまう…!
ベッドから降りるとものすごい勢いで着替え、バッグに財布やらポーチやらを詰め込む。
そのまま乱暴にドアを開けると真っ直ぐに玄関を目指した。
「――あれ?姫、出かけるの?」
騒々しい姫の足音を聞いて、兄が自室から顔を覗かせる。その間にも私は靴を履いて、玄関のドアノブに手をかけている。
「うん、ちょっと夏休みをしに!」
言い終わるが早いか、ドアが閉まって外へ繰り出す足音が遠のく。静かになった玄関ホールを見つめながら、「最近変わったなぁ。」と兄は呟くのだった。
***
100mも歩かないうちに暑さに嫌気がさした私は、近所の古い図書館に避難した。ちなみに家と高校の中間点くらいの場所に存在している。
家と学校は徒歩圏内。
つまり学校と図書館も近いから、うちの生徒もごく稀に利用している。
昼過ぎの外は、カンカン照りの太陽に照らされてウザいほど眩しい。
それに比べてここは天国、エアコンがばっちり効いていてひんやり快適だ。
窓際に並ぶ長テーブルの、1番窓から遠い席にどっかりと腰掛ける。
(なーにやってんだろ、私。)
勢いで家を出たはいいけど、ここではたっと冷静になる。
無鉄砲に飛び出したって、つまらない夏休みは変わらないのに。
「――あれ?」
自分の思考に立ち止まる。
そもそもなぜ“つまらない”と思ったのか。
予定のない夏休みなんて、毎年のことなのに。
ぼやっと旧校舎での日常が頭の中に思い浮かぶ。
4人で過ごす、うるさくて他愛のないいつもの光景だ。
(……うるさいのがいないから、ちょっと物足りなくなってるだけか。)
夏休みが明けたらまた広瀬真でも弄り倒そう。
そう思ってぼんやりと本棚に挟まれた正面の通路を見ると、その本棚から本を取り出す人が目に留まった。
「お・う・み・りょうすけぇえええ!」
一文字言うごとに見つけた奴の側に近づく。
気持ちは大声だが、ここは図書館なのでもちろん小声だ。
下の名前を言い始めたあたりで近江涼介は私の声に気付いてこちらを向く。
そしてわずかばかりギョッとすると、私が近づくスピードの2倍の速さで後退りしていった。
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