姫君の憂鬱―悪の姫君と3人の王子共―

Chiyuki.

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#初めての〇〇〇

Ep.32 見せつけてやるのよ

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次の日の昼休み、学校の中庭。

レンガ調の小道の何箇所かに点在する丸く縁取られたベンチ兼花壇の中央には、季節の花が彩りよく植えられている。
その中心には植樹もされているから、ベンチは程よい木陰になっていて心地の良い空間となっている。

ここは生徒たちの憩いの場――その一角に、私と榛名聖は隣り合って座っていた。

「ご指名は嬉しいけど、なんで俺なの~?」

私と榛名聖のツーショットを、そこにいる生徒たちがヒソヒソと何か言いながら見ている。

こっそり様子を伺っているつもりなんだろうけど、何度も見てくるからバレバレだ。
そんな中でも私は飄々としているし、榛名聖はふわふわにこにことしている。

「榛名聖が1番協力してくれそうだったから。」

榛名聖の質問に、間髪入れずに回答する。

「近江涼介はくだらねーとか言いそうだし、広瀬真は口うるさく騒ぐでしょ。
榛名聖が1番こういうことに口出ししなくて1番ノってくれそうだったから。」

話を聞いている今だって相変わらずの気の抜けた笑顔で、どうでもいいです感がビシバシ伝わってくる。

表情も機嫌も態度もいつも一定の生ぬるさだから、会話してて楽な時は楽だしモヤッとくるときはモヤッとする。今は前者だ。

「あの2人はなんだかんだ言って、……なんというか、いい奴、だけど、榛名聖は私のこと割とどうでもいいと思ってるでしょ。」

近江涼介は私を褒めてくれる。広瀬真はお人好し。

だけど榛名聖はどうだろう?
私のピンチに3人一緒に現れるけど、たまに私より私の心をわかってるけど。
感情が読めなくてたまに近江涼介よりロボット感ある時がある。


「ひどいなぁ。ひーちゃんのことはちゃんと友達だと思ってるよ~?」

榛名聖は身を屈めて、私の顔を下から間近に覗き込む。

男なのに華奢で色を感じる指先が、クッと私の顎を掴んだ。

――傍目にはキスしてるように見えているのかもしれない。

周りの奴らが息を呑む音が聞こえる。
女共の視線はナイフのよう。

先端同士が掠めた鼻が甘いのに清涼感のある香りを察知する。見下ろした榛名聖の微笑みは、珍しく彼の噂と合致する妖艶さを感じる。

低く静かに囁いた言葉が、その色気を助長させた。

「不器用に足掻いちゃうところも面白くて好きだし。」

見つめ合い。しばらく沈黙の時間が流れる。

心の中で30秒くらい経ったかというところで、榛名聖の肩を軽く押して自分は顔を逸らして顔同士の距離を離した。

「さっ、これでH2Oを全員落としたことはアピールできたでしょ。
見なさい、あの女どもの悔しそうな顔!アンタたちが嫌がらせすればするだけ、私はこいつらと仲良くなるのよ~!」


小指を立てた掌を口の横に当てて、お嬢様みたいな高笑いをする。
榛名聖は「すごい、何事もなかったかのように。」と笑った。
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