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1話 妹に奪われた婚約者
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「リュシュナ姉さん、私はサロッグ・エフィシエント伯爵と婚約することにしたから!」
「ど、どういうこと……?」
私はサロッグ様の私室で意味の分からないことを聞かされていた……妹のエヴァ・クロードが来ていたかと思えば、いきなり私の婚約者の膝の上に座っていたのだから。
考えが追い付かない……。
「サロッグ様……どういうことでしょうか?」
「あ、ああ……エヴァの言う通りだ、私は彼女と婚約をしようと思っていてな」
「こ、婚約ですか……? エヴァと……?」
サロッグ様の膝の上に乗りながら、彼の首に両腕を回しているエヴァ……その段階で私は察知することが出来た。エヴァもサロッグ様も、私を差し置いて浮気をしているのだと。
「浮気……ですよね?」
「ま、待ってくれリュシュナ……別にそういうわけではない……」
「いえ、そういう風にしか見えないのですが……」
現状の光景を見る限り、そうとしか思えなかった。私の婚約者のはずのサロッグ様がエヴァを引き離さないのが何よりの証拠だ。それに加えて妹と婚約すると言ったのだから。
「姉さん、浮気とは少し違うわよ? 姉さんの魅力ではサロッグ様の心を射止めることが出来なかったというだけの話。私みたいな完璧な女性でないと、サロッグ様の心を鷲掴みには出来ないのよ」
「完璧……」
完璧という言葉は他人から言われるのであって、自分からは決して言うものではない……その時点で、エヴァは有頂天になっており、まともな思考が出来ていないのだと理解することが出来る。確かにエヴァの外見は完璧に近いと言えるけれど、中身の話をするとなると……かなり疑問が出て来てしまう。
「だって私って完璧でしょ? 外見上で、姉さんに負けているところなんてないんだし!」
「それは確かにそうかもしれないわね……」
私とエヴァは3歳離れている。エヴァが15歳で私は18歳だ。若気の至りと言えばそれまでなのかもしれないけれど、それにしてもザロッグ様を誘惑するなんてあり得なかった。もしかしたら二人は肉体関係にまでなっているのかもしれない。
「それはともかくだ、リュシュナ……済まないが、私とは婚約破棄をしてもらう。これは決定事項だ」
「……そうですか」
婚約が決まってからの4か月……私はザロッグ様を見てきたつもりだ。その目つきを見るだけで、彼の真剣度合いが分かってしまう。おそらく、ザロッグ様の中ではエヴァとの婚約は決定事項になっているわね。
「本当に残念です……ザロッグ様」
「私もだよ、リュシュナ……まさか、こんな形で婚約がなくなってしまうとはな」
どの口が言っているのだろうか? 小一時間、問い詰めたいところではあったけれど、そんなものは時間の無駄だ。現実はただ1つ……私とザロッグ様の婚約は破棄されたということなんだから。
「ど、どういうこと……?」
私はサロッグ様の私室で意味の分からないことを聞かされていた……妹のエヴァ・クロードが来ていたかと思えば、いきなり私の婚約者の膝の上に座っていたのだから。
考えが追い付かない……。
「サロッグ様……どういうことでしょうか?」
「あ、ああ……エヴァの言う通りだ、私は彼女と婚約をしようと思っていてな」
「こ、婚約ですか……? エヴァと……?」
サロッグ様の膝の上に乗りながら、彼の首に両腕を回しているエヴァ……その段階で私は察知することが出来た。エヴァもサロッグ様も、私を差し置いて浮気をしているのだと。
「浮気……ですよね?」
「ま、待ってくれリュシュナ……別にそういうわけではない……」
「いえ、そういう風にしか見えないのですが……」
現状の光景を見る限り、そうとしか思えなかった。私の婚約者のはずのサロッグ様がエヴァを引き離さないのが何よりの証拠だ。それに加えて妹と婚約すると言ったのだから。
「姉さん、浮気とは少し違うわよ? 姉さんの魅力ではサロッグ様の心を射止めることが出来なかったというだけの話。私みたいな完璧な女性でないと、サロッグ様の心を鷲掴みには出来ないのよ」
「完璧……」
完璧という言葉は他人から言われるのであって、自分からは決して言うものではない……その時点で、エヴァは有頂天になっており、まともな思考が出来ていないのだと理解することが出来る。確かにエヴァの外見は完璧に近いと言えるけれど、中身の話をするとなると……かなり疑問が出て来てしまう。
「だって私って完璧でしょ? 外見上で、姉さんに負けているところなんてないんだし!」
「それは確かにそうかもしれないわね……」
私とエヴァは3歳離れている。エヴァが15歳で私は18歳だ。若気の至りと言えばそれまでなのかもしれないけれど、それにしてもザロッグ様を誘惑するなんてあり得なかった。もしかしたら二人は肉体関係にまでなっているのかもしれない。
「それはともかくだ、リュシュナ……済まないが、私とは婚約破棄をしてもらう。これは決定事項だ」
「……そうですか」
婚約が決まってからの4か月……私はザロッグ様を見てきたつもりだ。その目つきを見るだけで、彼の真剣度合いが分かってしまう。おそらく、ザロッグ様の中ではエヴァとの婚約は決定事項になっているわね。
「本当に残念です……ザロッグ様」
「私もだよ、リュシュナ……まさか、こんな形で婚約がなくなってしまうとはな」
どの口が言っているのだろうか? 小一時間、問い詰めたいところではあったけれど、そんなものは時間の無駄だ。現実はただ1つ……私とザロッグ様の婚約は破棄されたということなんだから。
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