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2話 一般人の視察 1
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「お父様……どういうことでしょうか!? なぜ、妹のエヴァと私の婚約者であるはずのザロッグ・エフィシエント伯爵が婚約するという流れになっているのですか?」
「う、うむ……それはだな、私も関与していないところで、そういう話が進んでしまったようなのだ」
「お父様が与り知らないところでですか……?」
「そ、そういうことだ……」
そんなことあり得るのだろうか……? 家系同士の婚約は当主であるお父様の承認が絶対に必要なはずだし……その本人であるお父様が詳細を知らないなんて考えられなかった。考えられるとすれば……妹のエヴァを甘やかしたとしか考えられない。
「お父様……エヴァに上手く丸め込まれましたね?」
「な、何を言っているんだ!? リュシュナ……滅多なことを言うものでないぞ……!?」
「いえ、その反応だけで十分でございます……」
「リュシュナ……!」
今更、お父様を責めたところで意味がなかった。妹のエヴァに婚約者であるザロッグ様を奪われたのは事実なのだし……。お父様を叱責したところで、その事実が覆ることはないだろう……まあ、今更、ザロッグ様とヨリを戻したいなんて思わないけれど。
「もういいです、お父様。個人的には非常に不愉快ですが、クロード伯爵家を守りたいと思うお父様の気持ちも分かります」
お父様こと、ロウグスト・クロード伯爵の考えも分からないわけではない。立場的には同列だけれど、エフィシエント伯爵家の方が古参ということもあり、お父様が摩擦を控えたい気持ちは分かる。家の存続を第一に考えるのは当然だし、私が現在、一般人と比較して贅沢な暮らしが出来ているのも、お父様の賜物なのは言うまでもないから。
現在の私は所詮はクロード伯爵家の娘という肩書きがなければ生きていけない存在……それは嫌という程、分かっていた。
「分かってくれるか、リュシュナよ……」
「そうですね、現在の私があるのはお父様やお母様のおかげであることは承知しております」
「おお、分かってくれたか! それならば、妹のエヴァとザロッグ様との婚約についても納得してもらえるな?」
「はい……非常に不愉快ではありますが、納得いたします」
今の私が何を言ったところでどうにもならない……その事実は受け入れなければならないだろう。
「その代わりと言ってはなんですが、お父様。1つお願いをしてもよろしいですか?」
「ん? 一体、どうしたのだ?」
「はい……私に一般人の生活を視察させていただけませんでしょうか?」
「なに? 一般人の生活の視察とな……?」
「左様でございます」
私は婚約者と妹に裏切られて人間不信になりかけている……それを払拭する事柄として、すぐに考え付いたのが一般人の視察業務だった。お父様は目を丸くしていたけれど、私は本気だ。
自分の生活がいかに恵まれているかを確認することで、心の中に生まれてしまった人間不信という感情を払拭出来ると考えたからだ。実際にはどのようになるかは分からないけれど、試してみる価値は十分にあると言えた。
「う、うむ……それはだな、私も関与していないところで、そういう話が進んでしまったようなのだ」
「お父様が与り知らないところでですか……?」
「そ、そういうことだ……」
そんなことあり得るのだろうか……? 家系同士の婚約は当主であるお父様の承認が絶対に必要なはずだし……その本人であるお父様が詳細を知らないなんて考えられなかった。考えられるとすれば……妹のエヴァを甘やかしたとしか考えられない。
「お父様……エヴァに上手く丸め込まれましたね?」
「な、何を言っているんだ!? リュシュナ……滅多なことを言うものでないぞ……!?」
「いえ、その反応だけで十分でございます……」
「リュシュナ……!」
今更、お父様を責めたところで意味がなかった。妹のエヴァに婚約者であるザロッグ様を奪われたのは事実なのだし……。お父様を叱責したところで、その事実が覆ることはないだろう……まあ、今更、ザロッグ様とヨリを戻したいなんて思わないけれど。
「もういいです、お父様。個人的には非常に不愉快ですが、クロード伯爵家を守りたいと思うお父様の気持ちも分かります」
お父様こと、ロウグスト・クロード伯爵の考えも分からないわけではない。立場的には同列だけれど、エフィシエント伯爵家の方が古参ということもあり、お父様が摩擦を控えたい気持ちは分かる。家の存続を第一に考えるのは当然だし、私が現在、一般人と比較して贅沢な暮らしが出来ているのも、お父様の賜物なのは言うまでもないから。
現在の私は所詮はクロード伯爵家の娘という肩書きがなければ生きていけない存在……それは嫌という程、分かっていた。
「分かってくれるか、リュシュナよ……」
「そうですね、現在の私があるのはお父様やお母様のおかげであることは承知しております」
「おお、分かってくれたか! それならば、妹のエヴァとザロッグ様との婚約についても納得してもらえるな?」
「はい……非常に不愉快ではありますが、納得いたします」
今の私が何を言ったところでどうにもならない……その事実は受け入れなければならないだろう。
「その代わりと言ってはなんですが、お父様。1つお願いをしてもよろしいですか?」
「ん? 一体、どうしたのだ?」
「はい……私に一般人の生活を視察させていただけませんでしょうか?」
「なに? 一般人の生活の視察とな……?」
「左様でございます」
私は婚約者と妹に裏切られて人間不信になりかけている……それを払拭する事柄として、すぐに考え付いたのが一般人の視察業務だった。お父様は目を丸くしていたけれど、私は本気だ。
自分の生活がいかに恵まれているかを確認することで、心の中に生まれてしまった人間不信という感情を払拭出来ると考えたからだ。実際にはどのようになるかは分からないけれど、試してみる価値は十分にあると言えた。
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