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3話 一般人の視察 2
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「リュシュナ様……現在のコーンス王国の一般人の生活レベルは資料にある通りでございます」
「なるほど……なかなか、見やすいわね。ありがたいわ」
「いえ、とんでもないことでございます」
メイドのルクレが私に資料を見せて、王都ガリレオの一般人の生活レベルについて、説明をしてくれる。私はこの歳になるまで、情けないことだけれど、一般人との接触はほとんどなかった。それだけに、ルクレの説明と出してくれた資料の見やすさは相当に助かっている。
「ルクレ……私は今、婚約破棄をされたショックで人間不信になりかけているわ……」
「はい、お察し致します」
「ありがとう。だから、今回の一般人の生活レベルの視察が、私にとってプラスに働いてくれることを、心から願っているのだけれど」
「なるほど、そういうことですか……どうなるかは分かりませんが、私は個人的には、リュシュナ様のお考え通りになることを祈っております」
「そう、ありがとう」
馬車で王都の街並みを散策していく……本当なら、もっと早くこういう行為は必要だったかと思うけれど、ザロッグ様との婚約などがあって、後回しになっていた。
「馬車の窓から見ているだけでも感じてしまうわ……私、いえ私達貴族がいかに贅沢を出来ているかということを……」
「リュシュナ様……それは事実かと思われます。ですが、そのことをリュシュナ様が罪悪感を覚える必要はないです。リュシュナ様が罪悪感を覚えるのだとしたら、より高位の王族の皆様はもっと罪悪感を覚える必要がありますから」
「それは確かにそうなるわね」
「はい」
ルクレは平民出身だと聞いている。だからこそ、今回の私の視察にピッタリだとして同行してくれたわけだけれど……。貴族は一般人の収めている多額の税金で暮らしている。勿論、それぞれが収める領地での事業などで、収益を増加させてはいるけれど、その元になっているお金は国民の税金になっている。
私達はもっと彼らに感謝しなければならないはず……でも、現状を見る限り、そこまで殊勝な貴族は少ないように感じる。少なくとも、このコーンス王国内では……。
「リュシュナ様、如何でございますか? 婚約破棄をされたお心は晴れますでしょうか?」
「そうね……晴れるわけではないけれど、私の生活よりはるかに低い生活環境の人々が居るのは、なんとなく理解できたわ。私の悩みなんて、甘えの象徴なのかもしれないわね……」
「いえ、それはないかと思われますが……」
「フォローをしなくても大丈夫よ、ルクレ。自分で感じていることだし」
「左様でございますか……」
ルクレはおそらく、本心でフォローをしてくれたのだと思うけれど、今の私にとっては不要なものだった。私はザロッグ様との一方的な婚約破棄を忘れる為に行動しているのだから。その事実を些細なものだと思いたいのだ……こういう考えは一般人の人々にとっては冒涜に映るかもしれないけれど……そうでもしないと、私は悲しみの渦に巻き込まれそうだったから。
と、そんな時だった。私の乗っている馬車が急に停車したのは……。
「どうかしたの?」
私は御者に何が起きたのかを尋ねる。
「申し訳ありません、リュシュナ様……貴族の方の馬車とかち合ってしまいました……少々、狭い道を通っておりましたので……」
「ああ、そういうこと」
どうやら、私と同じく王都の街を視察していたお方が居るようだ。まあ、目的は別にあるのかもしれないけれど……。私は窓から顔を出してかち合った馬車に目を通した。
「……! あれって……」
「馬車の外見から察するに、ウィンド・エルクドイ辺境伯の馬車に相当するかと思われます」
「た、確かにそうよね……」
ウィンド・エルクドイ辺境伯は、コーンス王国内でも相当に有名な貴族に該当する。しまった……そんなお方の馬車とかち合ってしまうなんて。私は責められる覚悟を持って、馬車から降りることにした。
「なるほど……なかなか、見やすいわね。ありがたいわ」
「いえ、とんでもないことでございます」
メイドのルクレが私に資料を見せて、王都ガリレオの一般人の生活レベルについて、説明をしてくれる。私はこの歳になるまで、情けないことだけれど、一般人との接触はほとんどなかった。それだけに、ルクレの説明と出してくれた資料の見やすさは相当に助かっている。
「ルクレ……私は今、婚約破棄をされたショックで人間不信になりかけているわ……」
「はい、お察し致します」
「ありがとう。だから、今回の一般人の生活レベルの視察が、私にとってプラスに働いてくれることを、心から願っているのだけれど」
「なるほど、そういうことですか……どうなるかは分かりませんが、私は個人的には、リュシュナ様のお考え通りになることを祈っております」
「そう、ありがとう」
馬車で王都の街並みを散策していく……本当なら、もっと早くこういう行為は必要だったかと思うけれど、ザロッグ様との婚約などがあって、後回しになっていた。
「馬車の窓から見ているだけでも感じてしまうわ……私、いえ私達貴族がいかに贅沢を出来ているかということを……」
「リュシュナ様……それは事実かと思われます。ですが、そのことをリュシュナ様が罪悪感を覚える必要はないです。リュシュナ様が罪悪感を覚えるのだとしたら、より高位の王族の皆様はもっと罪悪感を覚える必要がありますから」
「それは確かにそうなるわね」
「はい」
ルクレは平民出身だと聞いている。だからこそ、今回の私の視察にピッタリだとして同行してくれたわけだけれど……。貴族は一般人の収めている多額の税金で暮らしている。勿論、それぞれが収める領地での事業などで、収益を増加させてはいるけれど、その元になっているお金は国民の税金になっている。
私達はもっと彼らに感謝しなければならないはず……でも、現状を見る限り、そこまで殊勝な貴族は少ないように感じる。少なくとも、このコーンス王国内では……。
「リュシュナ様、如何でございますか? 婚約破棄をされたお心は晴れますでしょうか?」
「そうね……晴れるわけではないけれど、私の生活よりはるかに低い生活環境の人々が居るのは、なんとなく理解できたわ。私の悩みなんて、甘えの象徴なのかもしれないわね……」
「いえ、それはないかと思われますが……」
「フォローをしなくても大丈夫よ、ルクレ。自分で感じていることだし」
「左様でございますか……」
ルクレはおそらく、本心でフォローをしてくれたのだと思うけれど、今の私にとっては不要なものだった。私はザロッグ様との一方的な婚約破棄を忘れる為に行動しているのだから。その事実を些細なものだと思いたいのだ……こういう考えは一般人の人々にとっては冒涜に映るかもしれないけれど……そうでもしないと、私は悲しみの渦に巻き込まれそうだったから。
と、そんな時だった。私の乗っている馬車が急に停車したのは……。
「どうかしたの?」
私は御者に何が起きたのかを尋ねる。
「申し訳ありません、リュシュナ様……貴族の方の馬車とかち合ってしまいました……少々、狭い道を通っておりましたので……」
「ああ、そういうこと」
どうやら、私と同じく王都の街を視察していたお方が居るようだ。まあ、目的は別にあるのかもしれないけれど……。私は窓から顔を出してかち合った馬車に目を通した。
「……! あれって……」
「馬車の外見から察するに、ウィンド・エルクドイ辺境伯の馬車に相当するかと思われます」
「た、確かにそうよね……」
ウィンド・エルクドイ辺境伯は、コーンス王国内でも相当に有名な貴族に該当する。しまった……そんなお方の馬車とかち合ってしまうなんて。私は責められる覚悟を持って、馬車から降りることにした。
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