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4話 対面 1
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「よし、では行くぞ。レミーラ」
「畏まりました、ルック兄さま」
私とルック兄さまはダースハルク宮殿に向かう為に、屋敷を後にした。
「気を付けていってらっしゃい」
「行ってまいります、母上」
見送ってくれたのはお母様だ。お父様は仕事で出掛けているらしい。私達を乗せた馬車はそのまま走り去り、屋敷はあっという間に見えなくなった。
「ルック兄さま、ダースハルク宮殿でドレーク兄さまと王子殿下が待っているということなんですが……どういうことなんですか?」
「話した通りさ。2週間くらい前に、ドレーク兄さんが副団長のツテを利用して、お前に気があるお方を探すと言っていただろう?」
「そういえば、そんなことおっしゃってましたね」
「つまりはそういうことさ」
「えっ、そういうことって……まさか……!」
それしか考えられなかった……だって、ドレーク兄さま以外で宮殿で私を待っているのは王子殿下だけなんだから。
「意外と察しが悪いんだな、レミーラは。まあ、そういうことだ。第五王子殿下であられる、シグレ・クエイルン様がお前のことを気に入っているらしい。と、いうわけで会いに行くということだな」
「そうだったのですか……」
第五王子殿下のシグレ・クエイルン様とは確かに面識はあるけれど、そこまで仲が深かったとは思っていない。いきなり気に入っていると言われても困ってしまう。確かに王子殿下に好かれている? のは光栄なことではあるけれど。
「どうした? やはり嫌だったか?」
「いえ、そういうわけではないですが、戸惑っています……」
「まあ、婚約解消があったばかりだからな。それに伴う噂話でストレスが溜まっているのも分かる。本日は気分転換のつもりで臨めばいいさ」
「ルック兄さま、もしかして私の気分転換がメインなのですか?」
「いや、どっちもメインではあるよ。シグレ様がお前のことを気に入っているのは事実のようだし。とにかく、会ってみればわかるさ」
「畏まりました」
既に馬車はダースハルク宮殿目指して進んでいる。どういう理由であれ、第五王子殿下がお待ちしている状況で、それを反故にするわけにはいかないだろう。途中で帰るという選択肢はなかった。
ダースハルク宮殿に到着したのはそれから、数時間後のことだった。
----------------------
「レミーラ、ルック。来てくれたか、ありがとうよ」
「いえ、ドレーク兄さま。とんでもないことでございます」
「ドレーク兄さん、王子殿下はいらっしゃらないのですか?」
宮殿内に入った私達を出迎えてくれたのは、宮殿の使用人たちではなく……ドレーク兄さま本人と、騎士団員の方々だった。わざわざ、ドレーク兄さまが私を出迎える為に集めてくれたのかな? だとすると悪い気がしてしまう。
「シグレ王子殿下は客室で待っておられる。では、失礼のないようにな」
私とルック兄さまは騎士団員に囲まれてそのまま進んだ。物々しい雰囲気だ。
そして、ドレーク兄さまが案内してくれた客室の扉をノックし、挨拶を済ませた後、私は中へと入る。そこには……紛れもなく第五王子殿下のシグレ様がいた。
「シグレ・クエイルンだ。本日は私の為に、ご足労を掛けて済まなかった。来てくれたことに感謝する」
明朗快活、ルック兄さまやドレーク兄さまとは別の意味で明るい印象を持ったお方だった。私は彼の一言を聞いただけで、引き込まれた気分になってしまった。
魅力的な兄が二人いるので、それに似た雰囲気を持つ方には弱いのかもしれない。
「畏まりました、ルック兄さま」
私とルック兄さまはダースハルク宮殿に向かう為に、屋敷を後にした。
「気を付けていってらっしゃい」
「行ってまいります、母上」
見送ってくれたのはお母様だ。お父様は仕事で出掛けているらしい。私達を乗せた馬車はそのまま走り去り、屋敷はあっという間に見えなくなった。
「ルック兄さま、ダースハルク宮殿でドレーク兄さまと王子殿下が待っているということなんですが……どういうことなんですか?」
「話した通りさ。2週間くらい前に、ドレーク兄さんが副団長のツテを利用して、お前に気があるお方を探すと言っていただろう?」
「そういえば、そんなことおっしゃってましたね」
「つまりはそういうことさ」
「えっ、そういうことって……まさか……!」
それしか考えられなかった……だって、ドレーク兄さま以外で宮殿で私を待っているのは王子殿下だけなんだから。
「意外と察しが悪いんだな、レミーラは。まあ、そういうことだ。第五王子殿下であられる、シグレ・クエイルン様がお前のことを気に入っているらしい。と、いうわけで会いに行くということだな」
「そうだったのですか……」
第五王子殿下のシグレ・クエイルン様とは確かに面識はあるけれど、そこまで仲が深かったとは思っていない。いきなり気に入っていると言われても困ってしまう。確かに王子殿下に好かれている? のは光栄なことではあるけれど。
「どうした? やはり嫌だったか?」
「いえ、そういうわけではないですが、戸惑っています……」
「まあ、婚約解消があったばかりだからな。それに伴う噂話でストレスが溜まっているのも分かる。本日は気分転換のつもりで臨めばいいさ」
「ルック兄さま、もしかして私の気分転換がメインなのですか?」
「いや、どっちもメインではあるよ。シグレ様がお前のことを気に入っているのは事実のようだし。とにかく、会ってみればわかるさ」
「畏まりました」
既に馬車はダースハルク宮殿目指して進んでいる。どういう理由であれ、第五王子殿下がお待ちしている状況で、それを反故にするわけにはいかないだろう。途中で帰るという選択肢はなかった。
ダースハルク宮殿に到着したのはそれから、数時間後のことだった。
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「レミーラ、ルック。来てくれたか、ありがとうよ」
「いえ、ドレーク兄さま。とんでもないことでございます」
「ドレーク兄さん、王子殿下はいらっしゃらないのですか?」
宮殿内に入った私達を出迎えてくれたのは、宮殿の使用人たちではなく……ドレーク兄さま本人と、騎士団員の方々だった。わざわざ、ドレーク兄さまが私を出迎える為に集めてくれたのかな? だとすると悪い気がしてしまう。
「シグレ王子殿下は客室で待っておられる。では、失礼のないようにな」
私とルック兄さまは騎士団員に囲まれてそのまま進んだ。物々しい雰囲気だ。
そして、ドレーク兄さまが案内してくれた客室の扉をノックし、挨拶を済ませた後、私は中へと入る。そこには……紛れもなく第五王子殿下のシグレ様がいた。
「シグレ・クエイルンだ。本日は私の為に、ご足労を掛けて済まなかった。来てくれたことに感謝する」
明朗快活、ルック兄さまやドレーク兄さまとは別の意味で明るい印象を持ったお方だった。私は彼の一言を聞いただけで、引き込まれた気分になってしまった。
魅力的な兄が二人いるので、それに似た雰囲気を持つ方には弱いのかもしれない。
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