公爵様は幼馴染に夢中のようですので別れましょう

カミツドリ

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46話 国王陛下とマグロ様 2

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【マグロ・フォルクス公爵視点】

「マグロ・フォルクス参りました……」

「良く来てくれたね、フォルクス公爵。まあ、適当に楽にしていいよ」

「畏まりました、ありがとうございます」


 イオン国王陛下は話し方も幼いというか……ラフな印象を受ける。特別幼い話し方ではないが、そう見えるのは少年のようなその見た目からだろう。シグレ王子殿下やネルファ王女殿下の父上だとは、見た目からではとても判別が出来ない。

「こうして国王陛下にお会いできましたこと、至上の喜びであります」

「いいよいいよ、そんな杓子定規な挨拶は不要さ。まあ、フォルクス公爵の立場からすれば、仕方ないのかもしれないけどね」

「いえ、とんでもないことでございます」

「国王陛下への謁見とは言っても、君は身内みたいなものなんだし、そんなに固くならなくて大丈夫だよ」

「あ、ありがとうございます……陛下」


 身内か……とても良い響きだ。イオン国王陛下を味方に付けられる可能性が増えたのかもしれない。シエナの奴はこの謁見に反対していたけれど……やっぱり来て良かった。あの女は僕の婚約者には向かないな。

「陛下……もう少し厳格な態度を取っていただかないと、他の者に示しが付きませんが……」

「大丈夫だよ、ヴァイス大臣。フォルクス公爵は信用できる……私の目に狂いはないはずだから。心配はないさ」

「し、しかし……」

「まったく心配性だね、大臣は……あはははは」


 ジノトール・ヴァイス大臣参謀も頭を抱えている……なかなか大変そうだな。でも、僕となら気が合う仲間になりそうだ。ふふ……もしも、この国王陛下を上手く操れたりすれば……王国の実権は僕が握れるかもしれない。

「陛下、ヴァイス大臣が困っていらっしゃいますよ……はははっ」

「あはは、これはいけないや……ヴァイス大臣、ごめんね」

「いえ、特に構いませんが……」


 イオン国王陛下との謁見はほとんど経験がないけれど、やはりというのか……幼い印象は拭えないな。なんとなくシンパシーを感じたし、味方に付けるのは簡単かもしれない。ふふふふ……。

「そういえば、本日の用件だけれど……フォルクス家の管理下について、取り消し要望だったっけ? ふ~ん……」

「は、はい……実はその通りでございまして……」


 僕は事前に国王陛下に渡していた資料を、彼が読んでいることを確認していた。イオン国王陛下の適当さ、幼さを考慮すれば、このくらいの嘆願書はすぐに納得してもらえるはず……。

「……」


 あれ? なんだろうおかしいな……さっきまでは確かに、適当さを感じていたんだけれど。資料を読んでいる彼の姿はまさしく「国王」の態度だった……。う、上手くいくよね……?
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