公爵様は幼馴染に夢中のようですので別れましょう

カミツドリ

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51話 剥奪 2

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「イオン国王陛下、失礼致します」

「失礼致します、父上」

「はいは~い、またね~~!」


 私とシグレ様は挨拶をしてイオン国王陛下の元から離れた。最後まで国王陛下は明るい表情を崩さなかったけれど、本当に不思議な人だったわ……。

「どうだった? レミーラとしても、妙な父親に映っただろう?」

「な、なんと言えば良いのでしょうか……ええと……」


 言いにくい質問がシグレ様から来てしまった。なんて答えれば良いか迷ってしまうわ。ええと、なんて言おうかしら……。

「こ、答えにくいです……シグレ様」

「いまさらじゃないか? 私達の関係性もそこまで薄いものではないだろう?」

「そ、それはそうかもしれませんが……相手は国王陛下ですし」

「なるほど、そういうものか」

「はい、そういうものだと思います」


 シグレ様は怪訝な様子だったけれど、これはおそらく王子殿下という立場のお方には感じづらいことなのだと思う。例え、不敬な発言をしても許される場だとしても……イオン国王陛下への態度は考えるものだ。

「しかし、私よりも歳下に映ったんじゃないか?」

「そうですね、それは確かに」


 イオン国王陛下が幼く見えたのは事実なので、そこは頷いておく。これも不敬な発言になりかねないけれど……。

「でも、当たり前ですけど国王陛下らしい雰囲気は感じ取れました」

「まあ、見た目で損をしているからな……父上は」


 見た目で損……か。確かにあまり表舞台に出ない理由は分かった気がする。前から聞いてはいたけれど、今回で確信に変わったというか……。

「でも、良かったです。マグロ様の爵位が剥奪される流れになったことは」

「そうだな、それは確かに同感だ。彼が公爵では、本当にマズイからな」

「ええ、そうですよね……」


 シグレ様もおそらく、私と同じくらいマグロ様が情けない人物だと映っているはずだ。他の何を見逃したとしても、マグロ様だけは見逃してはいけない……そんな想いが私の中を駆け巡っていた。今回のイオン国王陛下とのお話で彼の爵位がなくなるようで本当に良かったと思う。

「マグロ殿もこれから大変だろうな……彼の両親からはどれだけ責められることか……」

「それは……確かに……」


 フォルクス公爵家は今後、誰を跡取りにするかで非常に揉めることになるだろう。自業自得とはいえ、マグロ様は大変だと思う。一時的に彼のお父様が公爵に戻られるということも考えられるわね……とりあえず注視していきたいと思う。
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