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13話 ササリアの本音 2

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 ササリアの本音をずっと考えている。

 私は一つの結論に辿り着いたような気がした。彼女がわざと何も言わないのだとしたら、考えられることは一つしかない。その状態こそが、彼女が狙っている状態、ということになる。


「兄上、確かに私は間違っておりました……本当に申し訳ないと思っています」

「本当に反省しているのか?」

「もちろんでございます……いくら、ササリアのことが好きになってしまったとはいえ、フリージアとの婚約破棄について謝罪もせず、慰謝料の支払いもせずでは……王子失格でございます……」

「ボルドー……ふむ」


 急に180度、態度を変え始めたボルドー様だった。おそらくこれは、これ以上、自分に注目が集まるのを危惧してのことだと思われる。あまり今の状況が長引くことを避けているのだろう。


「兄上……今更であることは、非常に申し訳ないことは承知しております。ですが、もう少しだけ時間をいただけませんか? 必ず、それなりの誠意を見せてごらんに入れます!」

「ボルドー、お前……」


 ジスパ様としてもこれ以上責めることは難しいのかもしれない。ボルドー様も大した役者だ。この場を収める為に時間をくれって言っているんだから……確かにそう言ってしまえば、彼へのこれ以上の糾弾は難しくなるし、この場もすぐに収まるだろう。ササリアの狙いさえなければ。

「ジスパ様、1つよろしいでしょうか?」

「どうした、フリージア嬢。何か引っかかることがあるのか?」

「はい、先ほどからのササリアの表情がとても気になります」


 私はそのように発言し、ジスパ様やボルドー様の視線をササリアに向けた。


「ササリアは先ほど、婚約に関して特に問題ないと発言しておりましたが……私にはとても信じられません」

「ほう、それはつまりどういうことだ?」

 私の発言に反応するようにササリアの顔が明るくなったのが、確かに見えた。彼女もこういう状況を狙っていたはず。

「お、おい、フリージア……! 余計な発言は……」

「ボルドーは黙っていろ。先ほどの反省はどこへ言ったのだ?」

「それは……すみませんでした……」

「それで、フリージア嬢。どういうことか話してくれるかな?」


 よし……ここまで来たら、あとは人事を尽くして天命を待つだけよ。

「ササリアはボルドー様に脅迫されて、何も話せない状況になっていると思われます。彼女のあの辛そうな表情、真実を話したいのに話せない苦悩や苦痛は、姉である私にひしひしと伝わって来るようです……!」

「な、なんだと……!? おい、ボルドー、どういうことだ……!?」


 実際問題として、ササリアはそこまでの表情はしていなかったと思う。ただ、こういうことは大袈裟に言った方が良い。ボルドー様への反撃は私達の勝利になりそうだった。
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