27 / 40
蛇石の封印
9
しおりを挟む
「タマちゃんなんか大泣きしてたしね」
あの後、田所珠代とひみかの仲は急速に良くなった。
ぶつかりそうになったいまりとも和解し「タマちゃん」という愛称でよぶような間柄になっていた。しかし彼女はひみか、いまりと別の私立高校に進学。
だから学校で会えるのは卒業式が最後となる。
「本当だね。いまりが泣かして以来、何度彼女の涙をみたことかわからないけど」
「泣かしたって人聞きわるいな~。ちょっと言い過ぎたって思ってるのに。いじわる」
いまりが頬を膨らませていうと、
「はは。でも、私の為にいってくれたことだったじゃない?嬉しかったんだよ」
膨らませた頬を指でツンツンプニプニさせながらひみかが言う。
「も、もう~。やめてよ~」
対していまりも嫌がるような口ぶりを見せるが顔は満更でもなさそうな顔で返した後、続ける。
「泣かせた女の数でいえばひみの方が圧倒的じゃない」
「それこそ人聞きが悪いよ。惜しんでくれた人がたくさんいたのは事実だけどさ」
「ボタンとかネクタイくださいって迫られたりもしてたじゃん」
「といっても数がないからね。一つはタマちゃんに。もう一つはいまり、君にあげただろ」
「まあ、誰かにあげたっていった方が渡せない理由になるもんね。弾除けにされたわけだ。タマちゃんだけに」
「……………………」
二人だけの部屋に天使が舞い降りる。
一瞬の間があってひみかが咳ばらいをした後に答えた。
「こほんっ。そんなつもりはないんだけどね。タマちゃんにも君にも目一杯親愛の情を込めて渡したつもりさ」
「それなら嬉しいけどね。アタシはひみからボタン貰えてうれしかったよ。宝物いれに大事にしまってあるんだ。こないだも取り出して眺めちゃった」
「そっか、じゃあ渡して正解だったな。離れている時もそれで私の事をそばに感じてくれているなら、それだけで幸せだよ」
「ん、もう~。しゅきしゅき~。大しゅき~」
いまりはひみかへの愛情がマックス全開となりそのままダイブ。
「おっと。気にかけてくれてありがとう」
対してひみかは優しく抱きとめ、いまりのウェイブがかった髪を撫で上げる。
「ふみゅ~」
いまりは謎の言葉をあげながら至福の顔で暫くその手に身を任せていた、その撫でる手が止まり最後ポンポンっと軽く叩かれる。彼女は一瞬その時間が終わるのを惜しむかのような顔を見せた後、話題を変える。いや、戻すといった方がいいか。
「で、ネクタイはあゆにあげたんでしょ」
「上げたというより交換だね。あゆみのネクタイは私がもらって、私のを上げたんだ」
「因みになんだけど、女子からネクタイのプレゼントってどういう意味かしってる? 」
「ああ、意味とかあったんだっけ。聞いたことあるようなきがするけどなんだったかな? 」
「あなたに首ったけ。片時も離したくないって意味なんだって」
「なら、よかった。私の想いと大きく変わらないからね」
いつもこれだ。ひみかにあゆみへの想いを聞くと好意があるとの返答が100%返ってくる。
しかし、
「ぶっちゃけて聞くけどさ。あゆのこと男の子としてちゃんと見てるの?」
そここそが確信。ひみかが自分の立場に悩むことは分かる。
あゆみとの関係が微妙なのも理解できる。
更に自分は、漫画や映画で見たことのある焦れったい恋模様を見るのが大好きだ。
それにしたって、じれったい。
せめてひみかの想いをはっきり知りたかった。
そもそも、あゆみが知るべきことなのかもしれないし、二人の関係だ。
誰かが首を突っ込むことでもない。
でも、流石に聞きたかった。中学から高校に変わるこの時期だ。
一旦はっきりさせておきたいという衝動が抑えられないのだ。
「勿論、男の子だっていうのはわかってるさ」
ひみかは表面上落ち着いているようだった。
「じゃあ、こ、恋の相手として意識したりは……」
ごくりっ。
唾を飲みこむ。
「それは……」
と、そこで突然。
「キャー」
表から悲鳴が聞こえてくる。
あの後、田所珠代とひみかの仲は急速に良くなった。
ぶつかりそうになったいまりとも和解し「タマちゃん」という愛称でよぶような間柄になっていた。しかし彼女はひみか、いまりと別の私立高校に進学。
だから学校で会えるのは卒業式が最後となる。
「本当だね。いまりが泣かして以来、何度彼女の涙をみたことかわからないけど」
「泣かしたって人聞きわるいな~。ちょっと言い過ぎたって思ってるのに。いじわる」
いまりが頬を膨らませていうと、
「はは。でも、私の為にいってくれたことだったじゃない?嬉しかったんだよ」
膨らませた頬を指でツンツンプニプニさせながらひみかが言う。
「も、もう~。やめてよ~」
対していまりも嫌がるような口ぶりを見せるが顔は満更でもなさそうな顔で返した後、続ける。
「泣かせた女の数でいえばひみの方が圧倒的じゃない」
「それこそ人聞きが悪いよ。惜しんでくれた人がたくさんいたのは事実だけどさ」
「ボタンとかネクタイくださいって迫られたりもしてたじゃん」
「といっても数がないからね。一つはタマちゃんに。もう一つはいまり、君にあげただろ」
「まあ、誰かにあげたっていった方が渡せない理由になるもんね。弾除けにされたわけだ。タマちゃんだけに」
「……………………」
二人だけの部屋に天使が舞い降りる。
一瞬の間があってひみかが咳ばらいをした後に答えた。
「こほんっ。そんなつもりはないんだけどね。タマちゃんにも君にも目一杯親愛の情を込めて渡したつもりさ」
「それなら嬉しいけどね。アタシはひみからボタン貰えてうれしかったよ。宝物いれに大事にしまってあるんだ。こないだも取り出して眺めちゃった」
「そっか、じゃあ渡して正解だったな。離れている時もそれで私の事をそばに感じてくれているなら、それだけで幸せだよ」
「ん、もう~。しゅきしゅき~。大しゅき~」
いまりはひみかへの愛情がマックス全開となりそのままダイブ。
「おっと。気にかけてくれてありがとう」
対してひみかは優しく抱きとめ、いまりのウェイブがかった髪を撫で上げる。
「ふみゅ~」
いまりは謎の言葉をあげながら至福の顔で暫くその手に身を任せていた、その撫でる手が止まり最後ポンポンっと軽く叩かれる。彼女は一瞬その時間が終わるのを惜しむかのような顔を見せた後、話題を変える。いや、戻すといった方がいいか。
「で、ネクタイはあゆにあげたんでしょ」
「上げたというより交換だね。あゆみのネクタイは私がもらって、私のを上げたんだ」
「因みになんだけど、女子からネクタイのプレゼントってどういう意味かしってる? 」
「ああ、意味とかあったんだっけ。聞いたことあるようなきがするけどなんだったかな? 」
「あなたに首ったけ。片時も離したくないって意味なんだって」
「なら、よかった。私の想いと大きく変わらないからね」
いつもこれだ。ひみかにあゆみへの想いを聞くと好意があるとの返答が100%返ってくる。
しかし、
「ぶっちゃけて聞くけどさ。あゆのこと男の子としてちゃんと見てるの?」
そここそが確信。ひみかが自分の立場に悩むことは分かる。
あゆみとの関係が微妙なのも理解できる。
更に自分は、漫画や映画で見たことのある焦れったい恋模様を見るのが大好きだ。
それにしたって、じれったい。
せめてひみかの想いをはっきり知りたかった。
そもそも、あゆみが知るべきことなのかもしれないし、二人の関係だ。
誰かが首を突っ込むことでもない。
でも、流石に聞きたかった。中学から高校に変わるこの時期だ。
一旦はっきりさせておきたいという衝動が抑えられないのだ。
「勿論、男の子だっていうのはわかってるさ」
ひみかは表面上落ち着いているようだった。
「じゃあ、こ、恋の相手として意識したりは……」
ごくりっ。
唾を飲みこむ。
「それは……」
と、そこで突然。
「キャー」
表から悲鳴が聞こえてくる。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる