あかね色に染まる校舎に舞い落ちた君は

山井縫

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取り残された彼女が想う事は

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「ちょ、ちょっと待ってよ。それ、あんたがエリナに言って怒らせた奴じゃないの?」
「う、うん。そう……だと想う。だから私も驚いちゃったよ。そんな追い打ちかけるような事言うなんて思わなかったから」
「そ、それで、エリナは?」
「うん。信じられないくらい冷たい目になって言ったの」
【もういいよ。あなた達も疲れたでしょ。私の視界に入らない様にいったけど、それは撤回する。私の方からあなた達を視界にいれない事にするから】そう言うと、顔も向けずに立ち去ってしまったという。
「フーン。なるほど」
 それを聞いて私は話の深刻さと裏腹に納得の声を上げてしまう。
「私にだってわかるよ。それって完全に絶縁宣言じゃん。ああもうダメだって、嫌いになってすらなってくれないって事なんだって」
「まあ当然だろうね。麻衣はなんだってそんなこといったんだろう」
「【別に思ったこといっただけだけど、何が悪い訳】って。麻衣は麻衣で色々溜まってたものがあったんだと想う。自分が好きな真田君がエリナを好きっていう話が耳に入った上に、揉め事が起きてクラスの中で孤立するようになっちゃって」
「そりゃ自業自得じゃない。エリナを怒らせた原因は彼女だったんでしょ」
「そりゃそうかもしれないけど、でも、割り切れないじゃん。多分、そんな中で彼女パパ活を始めてるんだよ」
「そんな中でっていうのもよくわからんけど」
「好きな真田君とも上手くいかないし、教室にいても私とかしか喋れないし。それで……」
 つまり諸々のストレスを抱える中で自分をちやほやしてくれる存在を求めたとかそういう事だろうか。だからといってそれが肯定されるわけでもないが。
「むしゃくしゃしてやった。でも反省はしてないって?」
「それが良いことだとは言わないけど、流れとしてはそんなところ。それにさ、エリナって特別だったじゃない」
「まあ、クラスの中でも特殊な位置にはいたよね」
「うん。ぶっちゃけるけど、私もそこに憧れたし、麻衣だって多かれ少なかれそういう部分があったと想う。でもさ、麻衣言ってたじゃん。パパ活したら大人の男の人が自分にちやほやしてくれるって。自分に価値がある様に思えるって。だから、そんな自分は特別だったエリナとも対等かそれ以上なんだって」
「でも、そんなもん錯覚だよ。逆に言えば相手の大人は多分この年代の女の子だったら誰でもいい筈だし……」
 そんな男は彼女の様にホイホイ乗っかってくる女の子を対等に扱う筈がない。本当に彼女の事を価値ある個人として絶対に見るはずがない、断言できる。
「私もそう思うし、麻衣もそれは分かってると想う。でも、それを認めたくないから、わざとエリナを怒らす様な事言ったのかなって」
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