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新入居
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翌日は仕事がなく一日ゆっくりと過ごす。そんな日に限って夜までは何もおきない。
結局、時刻は日付が変わる0時少し前に布団に入って眠りについたのだが、
3時間程してからだろうか。
「ねえ、ねえ。寝てるの? 」
耳元から聞こえる女性の声に起こされた。
「はい。どちらさん? 」
無意識に返事をしたが、すぐ異変に気付き覚醒した。部屋の中に誰かがいるのだ。でも、自分は一人暮らし。声をかける人などいない筈。
しかも、鍵はかけた筈だ。誰かが侵入したとは思えない。となると、
「あら、起きた? 」
目を開けると二十代前半の女性が立っている。茶がかった髪をたなびかせ小首をかしげていた。
「き、君は誰だ? 」
「あなたこそだあれ? 」
ぱっちりとした大きな目にすっと通った鼻梁。中々の美人に見えた。が、
「ぼ、ボクはこの部屋の住人だよ。君は、幽霊なのか? 」
いいながら自分は随分と間抜けな質問をしているなとも思う。
彼女の見た感じから死んだ人間とは想えない姿かたちをしていたからだ。
「そうね。私、生きている人間ではないと想うわ」
「想うって、記憶がないってこと? 」
「うん。はっきり覚えていないの」
「じゃあ、今まで部屋に潜んで物を動かしていたのは君なのか? 」
「そうよ。私がここにいるって知らせたかったんだけど、誰も気づいてくれなかったの」
「一体なにを伝えたかったんだい? そもそも君は誰なんだ」
「私が誰なのか私もわからない。でも、多分ここに住んでいたんだと想うの」
「そう言われても、今はボクがここの主なんだ。まさか、出てけっていうんじゃないだろうね」
「ううん。そんな事いわないわ。私も常に出てこれるわけじゃないの。でも、見えなくてもいるっていうのは分かっててほしい。後、物を動かすことがあるけど、気にしないで欲しいの」
「動かさない訳にはいかないのかな」
「無意識にしちゃうこともあるみたい。私ってきっと死んでるのよね。前にここに住んでいたんだと想う。そして多分触っていたものとか、していたことを繰り返しちゃってるんだと想う」
彼女も自分が無茶な提案をしていることは理解しているらしく、恐る恐るというような顔を見ていた。
しかし、田村はあっさりと返事をする。
「そっか。それだけならまあ、いいよ」
「本当に? 本当にいいの?」
彼女は彼女で言ってみた物の、許可がおりると思わなかったらしく面食らった顔をみせる。
以前の田村なら断っていたかもしれない。でも既に彼が経験してきた出来事が彼の判断力を鈍らせていた。
「いつもいるわけじゃいんだろ。ボクも行くところがないしお互い似たような身の上みたいだからね。ボクは君を気にしない。君もボクを気にしないってことにしよう」
「ありがとう。じゃあ、もう一つお願いしていい? 」
「な、なに? 出来る事と出来ないことがあるけど」
「また、こうしてお話してくれない? こういう状態でお話できたのはあなたが始めてなの」
「そっか、まあいいよ。毎日は困るけど、偶になら構わない」
まだ、現実味がないということもあったかもしれない。山口からこの部屋についての調査をたのまれているということもあるかもしれない。でも何より彼自身が今孤独な身だった。
だから幽霊とはいえ美人と同居できるのが嬉しいという下心が沸いたというのもある。
「ありがとう。じゃあ、また声をかけるわね。お休みなさい」
彼女がそういったかと思うと意識が途切れた。
気づくとアラームが鳴っている。いつの間にか朝が来ている。
夜更けに話しかけて来た不思議な女性のことは記憶に残っている。
が、夢かもしれないとも思う。だって幽霊と会話を交わすなんてありえのか。
あんなにはっきりした幽霊などいるのだろうか。
そんなことを考えながら枕元の目覚まし時計に目をやる。
するとそこにメモ用紙が置いてあることに気づいた。しかし眠る前にそんなものを自分で用意した記憶がない。
不審に思いながら紙に目を落とすとそこには見慣れない筆跡で、
『私はリオナ』と書かれていた。
それ以降、田村と幽霊の女の子リオナと奇妙だが、穏やかな同棲生活が始まった。
結局、時刻は日付が変わる0時少し前に布団に入って眠りについたのだが、
3時間程してからだろうか。
「ねえ、ねえ。寝てるの? 」
耳元から聞こえる女性の声に起こされた。
「はい。どちらさん? 」
無意識に返事をしたが、すぐ異変に気付き覚醒した。部屋の中に誰かがいるのだ。でも、自分は一人暮らし。声をかける人などいない筈。
しかも、鍵はかけた筈だ。誰かが侵入したとは思えない。となると、
「あら、起きた? 」
目を開けると二十代前半の女性が立っている。茶がかった髪をたなびかせ小首をかしげていた。
「き、君は誰だ? 」
「あなたこそだあれ? 」
ぱっちりとした大きな目にすっと通った鼻梁。中々の美人に見えた。が、
「ぼ、ボクはこの部屋の住人だよ。君は、幽霊なのか? 」
いいながら自分は随分と間抜けな質問をしているなとも思う。
彼女の見た感じから死んだ人間とは想えない姿かたちをしていたからだ。
「そうね。私、生きている人間ではないと想うわ」
「想うって、記憶がないってこと? 」
「うん。はっきり覚えていないの」
「じゃあ、今まで部屋に潜んで物を動かしていたのは君なのか? 」
「そうよ。私がここにいるって知らせたかったんだけど、誰も気づいてくれなかったの」
「一体なにを伝えたかったんだい? そもそも君は誰なんだ」
「私が誰なのか私もわからない。でも、多分ここに住んでいたんだと想うの」
「そう言われても、今はボクがここの主なんだ。まさか、出てけっていうんじゃないだろうね」
「ううん。そんな事いわないわ。私も常に出てこれるわけじゃないの。でも、見えなくてもいるっていうのは分かっててほしい。後、物を動かすことがあるけど、気にしないで欲しいの」
「動かさない訳にはいかないのかな」
「無意識にしちゃうこともあるみたい。私ってきっと死んでるのよね。前にここに住んでいたんだと想う。そして多分触っていたものとか、していたことを繰り返しちゃってるんだと想う」
彼女も自分が無茶な提案をしていることは理解しているらしく、恐る恐るというような顔を見ていた。
しかし、田村はあっさりと返事をする。
「そっか。それだけならまあ、いいよ」
「本当に? 本当にいいの?」
彼女は彼女で言ってみた物の、許可がおりると思わなかったらしく面食らった顔をみせる。
以前の田村なら断っていたかもしれない。でも既に彼が経験してきた出来事が彼の判断力を鈍らせていた。
「いつもいるわけじゃいんだろ。ボクも行くところがないしお互い似たような身の上みたいだからね。ボクは君を気にしない。君もボクを気にしないってことにしよう」
「ありがとう。じゃあ、もう一つお願いしていい? 」
「な、なに? 出来る事と出来ないことがあるけど」
「また、こうしてお話してくれない? こういう状態でお話できたのはあなたが始めてなの」
「そっか、まあいいよ。毎日は困るけど、偶になら構わない」
まだ、現実味がないということもあったかもしれない。山口からこの部屋についての調査をたのまれているということもあるかもしれない。でも何より彼自身が今孤独な身だった。
だから幽霊とはいえ美人と同居できるのが嬉しいという下心が沸いたというのもある。
「ありがとう。じゃあ、また声をかけるわね。お休みなさい」
彼女がそういったかと思うと意識が途切れた。
気づくとアラームが鳴っている。いつの間にか朝が来ている。
夜更けに話しかけて来た不思議な女性のことは記憶に残っている。
が、夢かもしれないとも思う。だって幽霊と会話を交わすなんてありえのか。
あんなにはっきりした幽霊などいるのだろうか。
そんなことを考えながら枕元の目覚まし時計に目をやる。
するとそこにメモ用紙が置いてあることに気づいた。しかし眠る前にそんなものを自分で用意した記憶がない。
不審に思いながら紙に目を落とすとそこには見慣れない筆跡で、
『私はリオナ』と書かれていた。
それ以降、田村と幽霊の女の子リオナと奇妙だが、穏やかな同棲生活が始まった。
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