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憑き従われたその先に
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「で、でも。どういう風にしたらいいんだ。ここから飛び降りればいいのかい」
未だ想いは定まらないまま彼はそんな言葉を口にした。
「いいえ。闘うって言ったでしょ。だから、呼び出すのよ」
「呼び出す? どうやって?」
「あなたの首を絞めたロープがあるでしょ。ズボンのポケットを探ってみなさい」
「え、そんなもの……」
言われてパジャマのポケットを探ると見慣れないロープが出てきた。
「こ、これを使うのか」
「ええ。それで首を吊る事によって、あいつらをおびき出せる。その時二人で反撃するのよ」
「……わかった。このまま生きてても先は望めない。いっそ君と一緒にいられる方がずっといいさ」
「ふふふ、決断してくれたのね。ありがとう。さ、行きましょう」
言われて、彼はフェンス1メートル程の金網フェンスにロープの結び目を固定した。
と、そこへ、
「田村さん。そいつの声に耳を傾けないでください!」
金鞠あゆみの声が響き渡った。
「うるさいよ! 小僧が、邪魔すんじゃない。さあ、田村さん。あなたこそあいつなんかの声に耳を傾けないで」
聞きなれた彼女の声から発せられた言葉。しかし、その中に耳慣れない一言が彼をとらえた。
「……田村さん?」
「お前……。誰だ? リオナは僕をそんな風には呼ばないはずだ」
「んふっふッふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ。もう遅いわよ」
首にキュッと縄が嵌る感覚がしたかと想うとその影が後ろから羽交い絞めにされ……浮遊感。身体が空中に投げ出されたのだ。
(ああ、これで僕の命もいよいよ終わりだな……リオナ、君にせめて一目会いたかった)
想ったと同時だろうか、
「させるかよっ」
夜の静寂を引き裂くような声が聞こえて、ザスッっという鈍い音が響いた。
その声の主は鎌池修二のものだ。
彼は元の鎌イタチ姿に戻りするりと田村の傍に近寄っていた。そして、彼が投げ出されたと同時に自らの手に付いた鎌で首を吊り上げる縄を切り離していたのだ。
しかし、そのまま行けばいずれにせよ田村は自由落下に身を任せる事になる筈。だが、そうはならない。その身体を何者かが空中で受け止めたのだ。
「おっと。兄ちゃん、あまり動かないどくれよ。そのまま身をまかせてくれりゃいい」
月を背にして立派な翼をはためかせ、赤い目をランランと輝かせながら彼女はそう言った。吸血鬼ハーフ、メアリークレイトソンだ。
「は、はい……」
空中で金髪碧眼美人で後ろから羽交い絞めされるような状態。
彼は自分に起きていることが理解できなかったが、命が助かったことだけは分かった。
そして、首に未だ首にまきついているそれに気づき慌てて外して放り投げる。
彼女の足にはイタチ状態の修二もしがみついていた。
「へ、変なとこ触るんじゃないよ。相変わらずスケベなイタチだね」
「し、しょうがないだろ。捕まる所がないんだから。そもそも、褒めて欲しいくらいだよ」
「まあ、あんたにしちゃ上出来だが、今までしてきた事にくら……」
未だ想いは定まらないまま彼はそんな言葉を口にした。
「いいえ。闘うって言ったでしょ。だから、呼び出すのよ」
「呼び出す? どうやって?」
「あなたの首を絞めたロープがあるでしょ。ズボンのポケットを探ってみなさい」
「え、そんなもの……」
言われてパジャマのポケットを探ると見慣れないロープが出てきた。
「こ、これを使うのか」
「ええ。それで首を吊る事によって、あいつらをおびき出せる。その時二人で反撃するのよ」
「……わかった。このまま生きてても先は望めない。いっそ君と一緒にいられる方がずっといいさ」
「ふふふ、決断してくれたのね。ありがとう。さ、行きましょう」
言われて、彼はフェンス1メートル程の金網フェンスにロープの結び目を固定した。
と、そこへ、
「田村さん。そいつの声に耳を傾けないでください!」
金鞠あゆみの声が響き渡った。
「うるさいよ! 小僧が、邪魔すんじゃない。さあ、田村さん。あなたこそあいつなんかの声に耳を傾けないで」
聞きなれた彼女の声から発せられた言葉。しかし、その中に耳慣れない一言が彼をとらえた。
「……田村さん?」
「お前……。誰だ? リオナは僕をそんな風には呼ばないはずだ」
「んふっふッふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ。もう遅いわよ」
首にキュッと縄が嵌る感覚がしたかと想うとその影が後ろから羽交い絞めにされ……浮遊感。身体が空中に投げ出されたのだ。
(ああ、これで僕の命もいよいよ終わりだな……リオナ、君にせめて一目会いたかった)
想ったと同時だろうか、
「させるかよっ」
夜の静寂を引き裂くような声が聞こえて、ザスッっという鈍い音が響いた。
その声の主は鎌池修二のものだ。
彼は元の鎌イタチ姿に戻りするりと田村の傍に近寄っていた。そして、彼が投げ出されたと同時に自らの手に付いた鎌で首を吊り上げる縄を切り離していたのだ。
しかし、そのまま行けばいずれにせよ田村は自由落下に身を任せる事になる筈。だが、そうはならない。その身体を何者かが空中で受け止めたのだ。
「おっと。兄ちゃん、あまり動かないどくれよ。そのまま身をまかせてくれりゃいい」
月を背にして立派な翼をはためかせ、赤い目をランランと輝かせながら彼女はそう言った。吸血鬼ハーフ、メアリークレイトソンだ。
「は、はい……」
空中で金髪碧眼美人で後ろから羽交い絞めされるような状態。
彼は自分に起きていることが理解できなかったが、命が助かったことだけは分かった。
そして、首に未だ首にまきついているそれに気づき慌てて外して放り投げる。
彼女の足にはイタチ状態の修二もしがみついていた。
「へ、変なとこ触るんじゃないよ。相変わらずスケベなイタチだね」
「し、しょうがないだろ。捕まる所がないんだから。そもそも、褒めて欲しいくらいだよ」
「まあ、あんたにしちゃ上出来だが、今までしてきた事にくら……」
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