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第三章
なぜ転移魔法を使おうとしなかったのだろうか……
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「おーし全員揃ったなぁー」
「あのー先生」
「なんだチェニック」
「この女の子は誰なんでしょうか。生徒じゃないですよね」
「パストの弟子だそうだ。詳しくは知らん」
「そうですか……。パ、パスト君、その子は君の弟子ってホントかい?」
「あ?そうだよ。俺は師匠兼保護者だ」
「えーと……つ、強いのかい?」
「少なくともお前を一秒で殺せる」
「へ?」
「もういいだろ。先生の許可は得てるんだから文句言うな黙れ」
あーうっさ。
なんで俺、コイツのことこんなに嫌いなんだろうか。
つかなんでコイツも俺と同じことしてんだよ真似すんなよ。
「んで先生、どこに行くんすか?」
「あ、言ってなかったな」
それでいいのか。
聞かなかった俺が悪いのか。
「えーでは、これより長期休暇の宿題をまともにやらなかった罰として、『自由都市ラルクエン』にて、ダンジョン攻略をしてもらう!」
わーてんぷらーじゃなかった、テンプレー。
*****
自由都市ラルクエン。
ものすごくざっくばらんに言うと、永世中立国みたいなところで、この都市にはいかなる政治的、武力的抑圧などを禁止している都市だ。
そしてこの都市には八つのダンジョンがある。
八つのダンジョンの内七つは、偉くて凄い魔法使いが、後世の人々を育てるために作った。
そして、その七つのダンジョンはとあるダンジョンを元に魔法使いが作ったものだ。
そのダンジョンは都市の中央にあるオリジナルダンジョンで、通称『ゼロの塔』と言われている。
ゼロの塔と他のダンジョンとの違いは、死ぬか死なないかということ。
ゼロの塔では殺されたら死ぬが、魔法使いが作ったダンジョンは死ぬと転移することになる。
まあ、ゲームみたいなもんだな。
ただ、死なない分難易度はオリジナルよりも、高いらしく、最上階まで行けるやつは今のところ数えるほどだとか。
詳しいことは知らん。
あと、オリジナルをクリアしたやつはその魔法使いとその弟子が二人だけだ。
こんなにも少ない理由。
死ぬから。
以上。
*****
「今回はダンジョンの中でも難易度最低の『ヨンの迷宮』に挑んでもらう」
ほおー。
つかヨンの迷宮って呼び方……魔法使いって日本人だろうか。
気になる……。
「ダンジョンについての資料とかって、ラルクエンにあるんですかね。図書館とかあります?」
「もちろんあるぞ。差し当たってまずは、初日に行けるところまで行ってもらうが、最終日までに最低二十階までは行ってもらうぞ」
「うーわ……」
めんどくせぇ……。
「大丈夫だよパスト君!みんなでがんばろう!」
「なあ、アオ。とりあえず向こうについたら、情報収集で二、三日潰れるけどいいよな」
「わかりました。私も手伝いましょうか?」
「んー……いや、お前はとにかく瞑想な。取り込む量を少しでも増やせ」
「承知しました!」
そこでリーシャが初めて口を開いた。
いたのか。
「先生、どうやってラルクエンに行くんですか?」
「ああ、距離があるから転移魔法陣の使用許可をもらってるぞ。それで行く」
へぇ!
転移魔法陣とはまた便利なものを。
転移ができればホント楽だよなあ。
……………
俺なんで今まで転移魔法のことを忘れてたんだろう……。
テンプレ中のテンプレじゃねーか……。
まあ、ここで気がついたんだからいいさ。
それにこれから魔法陣を見ることができる。
仕組みを調べるのに丁度いい。
よし!
転移魔法取得したるぜー!
*****
転移魔法陣は学園にある『転移魔法陣部屋』という部屋にあった。
大きさは六畳くらいで、丸い円が何重にも書いてあり、その円の間間にいろいろな文字が書いてある。
床に直接彫り込んで書いてあった。
俺は、魔法陣の観察をしつつ、手で触れて同化魔法を使いながら魔力の通るであろう場所(俺は魔力回路と呼んでいる)を、調べた。
思ってたよりも単純だったため、回路自体はすぐ覚えられた。
とりあえずパパっとメモをする。
「……お前は入ってそうそう何をしとるんだ」
先生に頭をスパーンっとはたかれた。
振り向くと先生も含め全員が、俺にドン引きの視線を向けていた。
なんだよみんなしてさ……。
おい、リーシャとアオ。
お前ら俺を見ながら内緒話してんじゃねえよ。
つかいつの間に仲良くなってんだ。
「先生、俺はとても真面目な生徒なので、転移魔法陣なんて初めて見るものに興奮を隠せないだけです。可愛い生徒のちょっとしたオチャメということで許してくださいな」
「別にいいが、訂正させろ」
「はい?」
「お前は可愛くない」
ヒデェ先生だ……。
「おーし、お前ら全員、円の中央に立てー」
「座ってもい…くないですね立ちます」
ちょっとしたジョークじゃないか……。
怖いよ先生……。
「おーし転移魔法陣起動すっぞー。ちょっと酔うかもしれんがまあそこは諦めろ」
ん?
なんか寒気がする……。
いや、寒気というよりも……なんだこの気分?
「よし!起動!」
そして、魔法陣が一気に白く輝きはじめた。
眩しくて目を開けられなくなる……。
その瞬間、鳩尾と背中がくっつくような感覚が起きて……………。
目を開けると、なんかデッカイ石像の前に立っていた。
「へ?」
周りには誰もいない。
うん、俺一人だけ別の場所に転移したらしい。
「うそおおおおおおん!!!!」
めっちゃ声が響いた……。
「あのー先生」
「なんだチェニック」
「この女の子は誰なんでしょうか。生徒じゃないですよね」
「パストの弟子だそうだ。詳しくは知らん」
「そうですか……。パ、パスト君、その子は君の弟子ってホントかい?」
「あ?そうだよ。俺は師匠兼保護者だ」
「えーと……つ、強いのかい?」
「少なくともお前を一秒で殺せる」
「へ?」
「もういいだろ。先生の許可は得てるんだから文句言うな黙れ」
あーうっさ。
なんで俺、コイツのことこんなに嫌いなんだろうか。
つかなんでコイツも俺と同じことしてんだよ真似すんなよ。
「んで先生、どこに行くんすか?」
「あ、言ってなかったな」
それでいいのか。
聞かなかった俺が悪いのか。
「えーでは、これより長期休暇の宿題をまともにやらなかった罰として、『自由都市ラルクエン』にて、ダンジョン攻略をしてもらう!」
わーてんぷらーじゃなかった、テンプレー。
*****
自由都市ラルクエン。
ものすごくざっくばらんに言うと、永世中立国みたいなところで、この都市にはいかなる政治的、武力的抑圧などを禁止している都市だ。
そしてこの都市には八つのダンジョンがある。
八つのダンジョンの内七つは、偉くて凄い魔法使いが、後世の人々を育てるために作った。
そして、その七つのダンジョンはとあるダンジョンを元に魔法使いが作ったものだ。
そのダンジョンは都市の中央にあるオリジナルダンジョンで、通称『ゼロの塔』と言われている。
ゼロの塔と他のダンジョンとの違いは、死ぬか死なないかということ。
ゼロの塔では殺されたら死ぬが、魔法使いが作ったダンジョンは死ぬと転移することになる。
まあ、ゲームみたいなもんだな。
ただ、死なない分難易度はオリジナルよりも、高いらしく、最上階まで行けるやつは今のところ数えるほどだとか。
詳しいことは知らん。
あと、オリジナルをクリアしたやつはその魔法使いとその弟子が二人だけだ。
こんなにも少ない理由。
死ぬから。
以上。
*****
「今回はダンジョンの中でも難易度最低の『ヨンの迷宮』に挑んでもらう」
ほおー。
つかヨンの迷宮って呼び方……魔法使いって日本人だろうか。
気になる……。
「ダンジョンについての資料とかって、ラルクエンにあるんですかね。図書館とかあります?」
「もちろんあるぞ。差し当たってまずは、初日に行けるところまで行ってもらうが、最終日までに最低二十階までは行ってもらうぞ」
「うーわ……」
めんどくせぇ……。
「大丈夫だよパスト君!みんなでがんばろう!」
「なあ、アオ。とりあえず向こうについたら、情報収集で二、三日潰れるけどいいよな」
「わかりました。私も手伝いましょうか?」
「んー……いや、お前はとにかく瞑想な。取り込む量を少しでも増やせ」
「承知しました!」
そこでリーシャが初めて口を開いた。
いたのか。
「先生、どうやってラルクエンに行くんですか?」
「ああ、距離があるから転移魔法陣の使用許可をもらってるぞ。それで行く」
へぇ!
転移魔法陣とはまた便利なものを。
転移ができればホント楽だよなあ。
……………
俺なんで今まで転移魔法のことを忘れてたんだろう……。
テンプレ中のテンプレじゃねーか……。
まあ、ここで気がついたんだからいいさ。
それにこれから魔法陣を見ることができる。
仕組みを調べるのに丁度いい。
よし!
転移魔法取得したるぜー!
*****
転移魔法陣は学園にある『転移魔法陣部屋』という部屋にあった。
大きさは六畳くらいで、丸い円が何重にも書いてあり、その円の間間にいろいろな文字が書いてある。
床に直接彫り込んで書いてあった。
俺は、魔法陣の観察をしつつ、手で触れて同化魔法を使いながら魔力の通るであろう場所(俺は魔力回路と呼んでいる)を、調べた。
思ってたよりも単純だったため、回路自体はすぐ覚えられた。
とりあえずパパっとメモをする。
「……お前は入ってそうそう何をしとるんだ」
先生に頭をスパーンっとはたかれた。
振り向くと先生も含め全員が、俺にドン引きの視線を向けていた。
なんだよみんなしてさ……。
おい、リーシャとアオ。
お前ら俺を見ながら内緒話してんじゃねえよ。
つかいつの間に仲良くなってんだ。
「先生、俺はとても真面目な生徒なので、転移魔法陣なんて初めて見るものに興奮を隠せないだけです。可愛い生徒のちょっとしたオチャメということで許してくださいな」
「別にいいが、訂正させろ」
「はい?」
「お前は可愛くない」
ヒデェ先生だ……。
「おーし、お前ら全員、円の中央に立てー」
「座ってもい…くないですね立ちます」
ちょっとしたジョークじゃないか……。
怖いよ先生……。
「おーし転移魔法陣起動すっぞー。ちょっと酔うかもしれんがまあそこは諦めろ」
ん?
なんか寒気がする……。
いや、寒気というよりも……なんだこの気分?
「よし!起動!」
そして、魔法陣が一気に白く輝きはじめた。
眩しくて目を開けられなくなる……。
その瞬間、鳩尾と背中がくっつくような感覚が起きて……………。
目を開けると、なんかデッカイ石像の前に立っていた。
「へ?」
周りには誰もいない。
うん、俺一人だけ別の場所に転移したらしい。
「うそおおおおおおん!!!!」
めっちゃ声が響いた……。
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