転生しました。

さきくさゆり

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第三章

気持ち悪いとキモいだったら、気持ち悪いと言われたほうが辛くないっすか?

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 うーん……マジか……。

 とりあえずすぐ落ち着いて周りを見回す。
 やっぱ誰もいないな……。
 つかここどこだ?

 ステンドグラスの窓に、等間隔に並んでいる椅子。
 壁は石のようだ。
 俺が立っているのは椅子が置いてある床から少しだけ高くなってるステージみたいなところだ。
 うーんなんとなく前世のネットで見たことがある教会の中みたいだな。

 そして、そのステージの後ろの真ん中にデッカイ像がある。

 口の周りは髭だらけで首元まで伸びている。
 そして、全裸。
 無駄にガチムチ。
 その状態でグ○コのポーズ。
 背中には俺の身長ほどもあるくらいデカイ翼が左右から見えていた。

 端的に言えばクソジジイの変態像だ。

 何を崇めてるんだ……。


「やっときおったなあああああ!!!!」

 変態像を眺めていたら後ろからかん高い絶叫が飛んできた。
 慌てて後ろを見ると、均等に並んでる椅子の上に玉虫色の非常に長い髪をしたスレンダーな女が浮いていた。
 気持ち悪い髪の色だな。

「気持ち悪い髪の色だな」
「なんじゃと!!お主、前と全く同じことを言いおったな!!」
「あ、声に出てた。って前?前ってなんだ?」
「あーやはりか……」
「は?」
「あーよいよい。ちゃんと説明するから。とりあえずその辺に座れ」
「その辺って……うわっ」

 気がつくと俺の横に畳とちゃぶ台に座布団が用意されていた。
 ちゃぶ台の上には煎餅の入った皿が置いてある。

 教会と畳……なんて風情の無い光景……。

 とりあえず言われた通り座って、煎餅を食う。

「なあ、お茶なーい?気分的に熱いほうじ茶飲みてえんだけど」
「おーおーほうじ茶じゃな?ワシは緑茶にしようかの」
「あざーす。……っふう、落ち着くわー」

 やっぱ日本人はこうでなくちゃねー。

「おうこらっ。こういうお約束はいいから本題に入れや」
「お主が始めたんじゃろうが!!あーもう!とにかく、お主をワシは待っておったんじゃ」
「ほーう、じゃあ一から話せ」
「なんでそんな上から目線なんじゃ?」
「なんか文句ある?」
「お主は前に会った時もそうじゃがなんでそうストレートなんじゃ……」
「さっきから前前って俺は初対面じゃねえの?」
「いや、ワシと会うのはこれで二度目じゃ」
「フーン」
「フーンってなんじゃその興味のなさそうな態度は」
「どーでもいいっつーか、髪キモいっつーか、名前もうタマムシ女でいいよなっつーか」
「また、キモいと言いおったの!つかタマムシ女とはなんじゃ!」

 マジでどうでもいいから、ここから帰してもらえませんかね。

「まず、俺からしたら初対面なんで名前教えろタマムシ女」 
「とことんマイペースなやつじゃな……」
「つか帰りたい帰して」
「ホントにマイペースじゃな!」
「名前は?」
「あ、はい。わしの名前はヘトリーと申します」
「フムフム。ヘトリーさんの年齢は?」
「えーワシは神の一柱のため、年齢という概念が存在しません」
「じゃあ、ご職業を教えて下さい」
「職業というか仕事は、簡単に言うと転生させる魂の選定と転生先の指定です。転生先の存在バランスを崩さないようにすることがワシたちの仕事です」
「なるほどなるほど……わかりました。では、長所と短所を教えて下さい」
「えーワシの長所は…っていつまでコレを続ける気じゃ!」

 ソコソコ乗ってくれるなコイツ。
 ちょっとおもしれえ。

「あーもう話ができん!」
「ハハハ、ウケるー」
「お主のせいじゃ!」
「そんな怒んなって。ほら、お茶飲んで」
「お、おう。ありがとうの。……っアッツ!」

 バカなんだろうか。

「バカなんだろうか」
「ムキイイイイイイ」

 やば、また声に出てた。

「つか、マジで話が進まねえからサッサと本題に入ろうぜ」
「誰のせいじゃ!」
「タマムシ女」
「お前じゃあ!ちゅーか名前教えたのに名前呼ばんのか!」
「ヘタレーさん、話を聞かせて」
「ヘトリーじゃ!!!」
「どっちでもいいよそんなの。つかホントに終わらないから真面目に話そうぜ、ヘンリーちゃん」
「……もう何も言わんぞ」

 さすがにもう無理か。

「今度こそ真面目に話そう」
「わかったのじゃ。では、時間も限られておるしサクサク話すぞ」


 *****


 まず大きな誤解を一つ解こう。お主はあの世界に転生したと思っておるじゃろうが、正確には違う。
 お主はパストという体に憑依しておるだけじゃ。

 お主はとある理由で意識不明の重体に陥ったのじゃが、その時お主は死ぬはずじゃった。
 のじゃが……お主は魂のみで逃げ出しおったんじゃよ。
 無意識なのじゃろうが、死にたくなかったんじゃろうな。
 そのままお主はここに来たんじゃよ。

 ワシは驚いてのぉ。
 ココに連れてくる奴自体がまれなんじゃぞ?
 そんなとこにお主は自力で来てしまったんじゃよ。

 そしてお主はワシを見て第一声が、「気持ち悪い髪の色だな」じゃぞ。
 酷すぎるじゃろ。
 そしてそのままお主は魂のままそこの扉から飛び出して消えたんじゃ。
 ワシはショックでそれを見逃してしまったんじゃ……。

 気がついたときにはすでにお主は生まれるはずのなかったパストの体に憑依してしまったんじゃ……。
 そこまでになると、ワシはそう簡単に手が出せなくなってな。
 しょうがないから監視してたんじゃ。
 手が出せる瞬間を狙っての。

 そして手が出せる時が来た。
 それは教会でお主が鑑定を受けた時じゃ。
 その時、お主をここに呼び出そうとしたんじゃがな、無理じゃった。
 呼び出すためには相手の魔力を基準にして、精神だけをここに呼び出すのじゃが……。
 お主は魔力が全く無かった。
 というよりも魔力を生みだす器官自体がなかったんじゃよ。

 そこでわかったんじゃよ。
 お主はあの世界の異物だったんじゃよ。
 正規の手順での転生ではないからの。
 しかも生まれるはずのなかったパストの体に憑依しての転生。
 更に言うと、まだ体に魔力を生み出す器官ができる前の憑依じゃ。
 そのまま魂に引っ張られるかのように中途半端に地球の体と同じ状態になっていった。

 恐らく、その中途半端な成長のせいで、中途半端に記憶が引き継がれてしまい、ここでの記憶や地球での記憶の一部が無くなったんじゃろうな。

 ま、それはおいといてじゃ。
 そこで、しょうがないからワシはお主が転移魔法を使った時にここに転移するようにと設定のようなものをお主の身体に打ち込んでおいたんじゃ。
 そして、お主にはその設定と一緒にいわゆるチートスキルとやらである、時空魔法の才能とあらゆる言語を理解し操るまあ多言語翻訳スキルのようなものもお主に設定したんじゃ。

 この、設定は魂に刻むためにほとんど無意識に使えるようになるし、意識すれば凄まじい能力に発展する。
 実際お主は意識して両方共使っておったしな。

 じゃがな。

 なぜお主は転移魔法を全く使わんのじゃ!
 普通思いつくじゃろ!
 それなのに他のオリジナルの魔術ばっか作りおって!
 そんだけポンポンポンポン思いついといて転移魔法だけ思いつかないってどういう頭の構造してるんじゃ!!

 お陰で全くここに連れてこれなかったではないか!
 ぶっちゃけもう諦めとったわ!
 確かに運要素もあったもしれん……でもじゃ!
 いくらなんでもありえんじゃろ!

 しかもやっと来たと思ったら一言目が髪キモいじゃと?!
 記憶が無いのにそう思ったってことはもう根っからじゃろうが!
 ワシはこう見えて神の一柱じゃぞ!
 今までここに呼んだ奴は男も女も大体は顔を赤らめて緊張したり、たまに変なやつが来たとしてもただ無反応を装った痛いやつだったり、心から興味がないくらいのもんじゃ!
 キモいってなんじゃああああ!!!


 *****


 神の一柱らしいタマムシ女はしまいにゃ号泣しながら、ちゃぶ台を両手でバンバン叩き出した。

「聞いとるのかああ!!」
「あー聞いてる聞いてる」

 なんかもう俺に関係ない他の神の悪口まで言い出した。
 しょうがないからしばらく付き合うことにした。

「聞いとるのかああ!!」
「聞いとるわああ!!」

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