転生しました。

さきくさゆり

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第六章

復活祭(笑)

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「目が覚めて何よりだパストおおおおおお!!」

 マジで苦しい……。鯖折状態で壁に押し付けられてみろ。息できねぇ。

「ぐっ……ぐへっ」
「クーちゃんクーちゃん。また眠っちゃうから。しかも永遠……に……ぶふっぶふふふふ」

 なにわろとんねん。

「へ?あー!すまんつい!大丈夫かパスト!」
「へぶっ!」

 バッと離れた先生だが、俺はそのおかげで床に激突。頭を強打した。

「いっだい……」
「あわわわわ」

 あわわて……。キャラ崩壊してんぞ先生。

「クーちゃん落ち着け」
「いだっ!!ウーちゃん!髪を引っ張るなといつも言っているだろうが!」

 先生の後頭部の髪の毛を片手で引っ張ってるウジューヌ先生。
 つかいつもってなによ……。
 仲いいなおい。
 …………ふむ。

「く、クーちゃげぶっふぁっ!!」
「……次に呼んだら……」
「ふぁい……」

 この暴力教師め。


 *****


「え、留年は一年しかしてないの?」
「してないぞ。なんせ休学していたからな」
「留学などの理由で三年間は休学可能なんだよ。校則に書いてあっただろうが」
「…………あ」

 そいえばそうだったわ。

「よかったぁ…………」
「まあ進級試験を受けていないから留年はしてるけどな。休学期間が切れてしまったことで、今はウー……ジューヌ先生のクラスに在籍していることになっている。とりあえずはあと三年の猶予があるんだ。なんとか卒業はできるだろう」

 もうウーちゃんでいいよ。

 にしても良かったぁ……。
 焦った焦った……。

「んじゃ補習はしなくていいのか」
「いやそれは無いよ。しっかりさせてもらうよ」

 と言ったのはウジューヌ先生。

「でーすよねー。まあやるけどさ」

 卒業はしときたい。というかそのためにここまでやって来たんだ。面倒だけど。


「というわけで残りの長期休暇の間に、補習を受けることになった」
「そうですか。あ、そのお肉は私が育てたんですから取らないでくださいね」
「ホントどうでも良さげなだな。おい、その肉は俺のだ」
「いやあ久しぶりに三人で食べる夕食は楽しいものだな。おいパスト、人の肉を食べるな」

 家に帰ると、そのままの流れで俺復活焼肉パーティーを開催した。
 まあ肉は俺持ちなのだが。

 あとついでに前世の話をしてみたところ、ものすごーく慈愛に満ちた笑みで見つめられました。
 うん信じてないわ。別にいいけど。

 話は変わるが、地球産の肉とアルテ産の肉は味が少し違うようだった。
 微量ながら魔力が通っている肉と全く通っていない肉。
 なんかこう、アルテ産の方は上品な味で、地球産の方は血なまぐさいという感じだろうか。

 ちなみに俺は地球産の方が好きだ。
 アオも地球産、先生はアルテ産の方が好きらしい。


「ん?」

 庭先に煙と匂いが充満させていると、なにやら門の方が騒がしくなっていた。

「なんだ?」
「お、来たのか」

 先生が俺が置いた折りたたみテーブルの上に皿とグラスを置くと、門の方に小走りで向かう。

 遠目に門を開ける姿が見えると、数人が中に入ってきた。
 誰だ?

 すると、その中の一人が走ってきた。

「おにいちゃぁあん!!」
「げぶっふぁっ!!!」

 と思ったら鳩尾に衝撃。
 俺目が覚めてからこんなんばっかや……。

「だ、だれだよ……」
「おにいちゃんおはようございます!」

 視線を下ろすと金色の頭頂部。とりあえず両手で掴んでグリッと頭頂部を奥に倒すと、

「ってローレスじゃねぇか」

 号泣しているローレスの顔が俺を見上げていた。
 少し背が伸びて、幼女から少女に成長しているのがわかった。

「じんばいじまじだ」
「……お前そんな喋ってたか?」
「おはようございまず……ぐずん」
「鼻水垂れてんぞお嬢様よ」

 異空間からポケットティッシュを出して鼻に当てて拭ってやる。

「よしよし。まあとりあえず離れてくれんかね。どこかのジジイが俺の頭を潰してやろうかとばかりに掴んでいるから」

 あの執事のジジイは全く変わらず俺の後頭部を掴んでいた。
 なんでジジイか分かるかって?
 だってちょっと視線を横に向ければ、目をひん剥いて睨んでくるジジイの顔が見えるからね。

 ローレスを引き離し、テーブルの上に置いておいた俺の肉を口に入れてやりながら、視線をローレスの後ろに向ける。

 そこには…………

「どちらさまでせうか?」
「ちょっと?!」
「冗談です。流石に四年じゃ……うん変わらんね」
「アンタほどじゃないわよ。なんで全く変わってないのよ」

 アオのせいです。

「まあえーと……お久しぶりです。リーシャさん」

 赤い髪をバッサリとショートカットにしたリーシャは、四年前よりも顔立ちが少し大人っぽくなっていた。

「……さん付けしないでよ。気持ち悪いわね」
「いえいえ。リーシャさんは俺より四年も年上じゃないですか。タメ口聞くわけにはいかないですよ。あ、こちらの椅子どうぞ。肩でもお揉み致しましょうか?」
「あんたそんなキャラじゃなかったでしょうが!」
「久しぶりだからキャラブレてんだよ」
「意味わかんないこと言わないでくれない?」
「申し訳ございません先輩。あ、このジュースどうぞ」
「…………もういいわ。心配して損した」

 リーシャは呆れたようにため息をついて、アオの方に歩いて行った。

「パスト。どういう気分だ?」

 いつの間にか近づいていた先生に話しかけられる。

「聞き方が悪いことをした後みたいですね。……まあ悪い気はしないですけど」
「それはよかった。二人共大変心配していたからな」
「さいですか」
「あと手紙を預かっている」

 手紙?
 手渡された封筒を開くと一枚のハガキサイズの紙が入っていた。


『や、おはよう!顔を見に行きたいところだけど、彼女達が怖いから手紙だけとりあえず出したよ!また今度改めて顔出すから!

 ミリー』


 …………。

 ソっと手紙を異空間に入れて、俺は焼肉に手を伸ばした。
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