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第六章
婿入りだってよ
しおりを挟む「暇だわ……」
お父さんもお母さんも仕事でいない昼間、齢四歳と半年の私はとりあえず近所の悪ガキ共をシメて遊んでいた。
とにかく暇だった。
そんな時である。
「あ」
とある金髪の男が森にかけていくのが見えた。
あそこは危ないから近寄るなと言われている森だ。
大人達がたまに狩りに出かけるのをたまに見かけることがある。
そんな森にあの男は割りとしょっちゅう出入りしているのは知っていた。
たまに家に帰ってきていないときさえある。
「…………それだけ何か楽しいことが?」
そう考えた私はその日初めて彼の後をつけることにした。
ただお母さん達に関わるなって言われてるから一応顔を隠していくことにした。
「どこまで行く気なの?」
あーもう!虫ウザイ!それに変な臭い……。なんなの?よく平気で歩けるわねこんな茨道。
「イッタ!」
うー……太もも切った……。
つかなんであいつあんなスイスイ歩けるわけ?
「とーちゃーく!」
「ひゃっ?!」
するといきなり大声でアイツが叫びだした。
びっくりしたぁ……。
なんなのよもおおおお!
「さてと……」
なんか変な動きしだしたわね。
右手を振り回して……
――――ガッ!
「ッッッ?!」
突然私の耳元で何かが刺さる音がした。
恐る恐る首を右にひねる。
「キャアッ!!」
そこにはナイフが一本刺さっていた。
「おろ?マジで人だったのか」
そしてそいつは無表情で私の目の前に立ち塞がっていた。
*****
面倒くさい妹をベッドにほっぽりこんで、救護室を後にすると、久しぶりに旧校舎に行くことにした。
「やあっ!」
「…………やあじゃねぇでございます」
何故かニーグンがいた。
ぐっ……背が伸びてる……。
イケメン具合に拍車がかかってやがる……。
ぢぐぜう……。
「久しぶり!元気だった?」
「四年間昏睡状態だったんですがね」
「あっはっはー」
あっはっはーじゃねぇよ……。
「いやあ顔を出せなくて申し訳ない。非常に忙しくて忙しくてねー」
「いや忙しいのは当たり前だろ。あんた王子だぞ。あ、やば」
「だからいいってば敬語なんか。忘れちゃったの?」
「…………もういいやめんどくさくなった。不敬罪とかやめてね」
「しないしない」
眩しい笑顔ですこと。
異空間からペットボトルのお茶を出して紙コップについでわたす。
「…………君こんなの持っていたかい?」
「持ってた持ってた」
気にすんなっ。
「…………ふぅ。どうだい調子は」
「ボチボチでんな」
「そっかー」
はぁ…………。
茶がうめぇ。
「お茶美味しいねぇ」
「だなー」
「…………」
「…………」
「四年間の話聞きたいかい?」
「いや別に」
「…………」
「…………」
「…………」
「ズズッ……」
「あの……パスト……」
「んー?」
「話したいことはあるかい?」
「いや別に」
「…………」
「…………」
すると突然ニーグンが立ち上がった。
「パスト!遊びに行こう!」
「嫌どす」
「なんで?!」
「いや仕事あるし」
「そ、そうか……」
「つか帰りなよ。忙しいんだろ?」
「つれないなぁ。確かに忙しいんだけど、今日は珍しく見張りとかを振り切れたんだから、少しくらい遊びたかったんだよ」
「いや駄目でしょ。仕事しろよ」
「そ、そうだよね……」
するとあからさまにシュンとした雰囲気を出してくる。
そんな悲しげな顔すんなよ……。
「………あーそのなんだ?またあの……今度な?」
「いや、正直次はいつになるか分からないんだよね。魔界の王女との婚約とかもあるし」
「え?婚約すんの?」
「するよー。ま、友好の架け橋ってやつかな?あ、向こうからもこっちに婿入りしてくる王子もいるんだよ」
へー。色々あるんだねー。
「興味なさそうだね」
「俺の今の興味?はクラスのことですよ」
「なんでまた」
「それがさぁ…………」
なんとなく妹とのことを話してみた。
「あらまぁ……。だから仲を取り持つって言ったのに」
「そいえばそんなこと言ってたなぁ」
「でもそこまで怒っているなんてねぇ。まあそれもそうか」
「何の話?」
「え?」
「え?」
んんんん?
「え?待って?パスト、レティスが激怒している理由知らないの?」
「それは知ってるよ。穀潰しとか言われてるんだからさ」
「あー……そういうことか……」
なんだよ……。
「まず言っておくとね。レティスが激怒している理由は、パストに親を見捨てられかけたからなんだよ」
…………はい?
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