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第一章
幕間
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玉座に深く腰掛けながらノイロ・リューネは自分に向かって頭を下げる四人の臣下たちに声を発した。
「面をあげよ」
その声に臣下の者達は顔を上げる。
「報告を」
短く告げると王から向かって右から順番にそれぞれの報告をし始めた。
「とりあえず異世界人達は言われた通りに訓練を受けてくれてて、かなり強くなってるね。何人かは最初のとは別の特殊能力を発現していて、能力だけならもうすぐ私達に匹敵すんじゃないかな」
王に対してとは思えないほどの無礼な態度でその女性は報告をしだした。
だが誰も、王さえもそれを咎めない。
「ふむ。やはり能力の成長速度も早いようだな」
「まじずるいよねー。私らの努力を全否定された気分」
女性は口を尖らせて項垂れた。
「ハッハッハ。そう不貞腐れるでない。それにいくら能力が強力であろうと、経験が無ければ意味がないのだ。現にお前達にはまだ勝てていないのであろう?」
「勝たせるわけがない。怪我しない程度にあしらってるよ」
「ならばそのままでよい。ただし他の者共に出し抜かれることのないようにしっかり見張っておくように」
「わかってるってー」
手をヒラヒラと振って、女性はまた跪いた。
次はその横の男性が口を開く。
「監視対象ですが、今のところ目立った様子はありません。基本的には部屋か城下町で過ごしております」
「わかった。引き続きそのまま頼む」
ノイロはそう告げて次の臣下の報告を聞こうとする。
だが男性はそれを遮り、言葉を続けた。
「…………お言葉ですが王様。彼は能力も無く力も無い。いわば無能と言っても過言ではございません。そのような者を監視する必要あるのでしょうか。それに奴の生活費を国家予算から出すことにも抵抗があります。何もしない、何もできない。そのような者は直ちに放逐すべきです!」
男性はあの役立たずを今のように保護し続ければ、他の異世界人が戦争の参加を渋り出したとき、必ず障害になると考えていた。
あいつはいいのか。私もあいつのように辛い訓練を受けたくない。俺はあいつのように人を殺さない生活を送りたい。
そんなことを言われたら否定材料が見つからないのだ。
しかも奴らはこちらの都合で喚び出している。
それもあって下手に出ているのだ。
だから懸念材料になり得ることは出来るだけ排除しておきたいのである。
「ならん。彼は保護する」
だがノイロは静かに告げた。
「王様!」
「くどい!」
男性の縋りつくような叫び声を今度は怒鳴りつけて床に叩きつける。
「…………申し訳…ござい……ません…………」
歯を食いしばって男性は跪いた。
その目は暗く淀み、必ず排除しなければならない誰かのことを睨みつけていた。
「んじゃ次は俺の番っすね。と言っても特に報告することはないんっすけど」
そう話すのは先程の男性よりも小柄な少年。
「やはりか」
「全く動きがないっすもん。ぶっちゃけ暇っす」
「だがお主にしか頼めぬ。目を離した隙に何をしでかすかわからんからな。引き続き頼む」
「はーいっす」
王が宥めると、少年は手を振って答えた。
「それではわらしのばんかの」
その横のフードを被った人物はしゃがれた声を発した。
「やふらからのれんごんをはもまれれおる」
「伝言?」
フードの人物は一度大きく息を吸う。
「『今度遊びに行くからよろしくね、ノイロ』」
その声は完全な成年の男性の声。
しかも先程とは打って変わってかなりハッキリと話していた。
「いひょうれふ。ろうもこっひにりがいひゃがあらわれるよひょうがあっらみらいら」
伝言とやらを伝え終えると、フードの人物はまた元のしゃがれた声に戻った。
「そういうことか。わかった。他の王とも連絡を取りたい。頼めるか?」
「おうへのほうりに」
王は玉座から立ち上がる。
「改めて告げる。引き続き配置に付きそれぞれの指令を全うせよ」
「「「「御意」」」」
「面をあげよ」
その声に臣下の者達は顔を上げる。
「報告を」
短く告げると王から向かって右から順番にそれぞれの報告をし始めた。
「とりあえず異世界人達は言われた通りに訓練を受けてくれてて、かなり強くなってるね。何人かは最初のとは別の特殊能力を発現していて、能力だけならもうすぐ私達に匹敵すんじゃないかな」
王に対してとは思えないほどの無礼な態度でその女性は報告をしだした。
だが誰も、王さえもそれを咎めない。
「ふむ。やはり能力の成長速度も早いようだな」
「まじずるいよねー。私らの努力を全否定された気分」
女性は口を尖らせて項垂れた。
「ハッハッハ。そう不貞腐れるでない。それにいくら能力が強力であろうと、経験が無ければ意味がないのだ。現にお前達にはまだ勝てていないのであろう?」
「勝たせるわけがない。怪我しない程度にあしらってるよ」
「ならばそのままでよい。ただし他の者共に出し抜かれることのないようにしっかり見張っておくように」
「わかってるってー」
手をヒラヒラと振って、女性はまた跪いた。
次はその横の男性が口を開く。
「監視対象ですが、今のところ目立った様子はありません。基本的には部屋か城下町で過ごしております」
「わかった。引き続きそのまま頼む」
ノイロはそう告げて次の臣下の報告を聞こうとする。
だが男性はそれを遮り、言葉を続けた。
「…………お言葉ですが王様。彼は能力も無く力も無い。いわば無能と言っても過言ではございません。そのような者を監視する必要あるのでしょうか。それに奴の生活費を国家予算から出すことにも抵抗があります。何もしない、何もできない。そのような者は直ちに放逐すべきです!」
男性はあの役立たずを今のように保護し続ければ、他の異世界人が戦争の参加を渋り出したとき、必ず障害になると考えていた。
あいつはいいのか。私もあいつのように辛い訓練を受けたくない。俺はあいつのように人を殺さない生活を送りたい。
そんなことを言われたら否定材料が見つからないのだ。
しかも奴らはこちらの都合で喚び出している。
それもあって下手に出ているのだ。
だから懸念材料になり得ることは出来るだけ排除しておきたいのである。
「ならん。彼は保護する」
だがノイロは静かに告げた。
「王様!」
「くどい!」
男性の縋りつくような叫び声を今度は怒鳴りつけて床に叩きつける。
「…………申し訳…ござい……ません…………」
歯を食いしばって男性は跪いた。
その目は暗く淀み、必ず排除しなければならない誰かのことを睨みつけていた。
「んじゃ次は俺の番っすね。と言っても特に報告することはないんっすけど」
そう話すのは先程の男性よりも小柄な少年。
「やはりか」
「全く動きがないっすもん。ぶっちゃけ暇っす」
「だがお主にしか頼めぬ。目を離した隙に何をしでかすかわからんからな。引き続き頼む」
「はーいっす」
王が宥めると、少年は手を振って答えた。
「それではわらしのばんかの」
その横のフードを被った人物はしゃがれた声を発した。
「やふらからのれんごんをはもまれれおる」
「伝言?」
フードの人物は一度大きく息を吸う。
「『今度遊びに行くからよろしくね、ノイロ』」
その声は完全な成年の男性の声。
しかも先程とは打って変わってかなりハッキリと話していた。
「いひょうれふ。ろうもこっひにりがいひゃがあらわれるよひょうがあっらみらいら」
伝言とやらを伝え終えると、フードの人物はまた元のしゃがれた声に戻った。
「そういうことか。わかった。他の王とも連絡を取りたい。頼めるか?」
「おうへのほうりに」
王は玉座から立ち上がる。
「改めて告げる。引き続き配置に付きそれぞれの指令を全うせよ」
「「「「御意」」」」
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