ショタ兄さんの矯正

さきくさゆり

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過去 本性の一角

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 母さん、父さんと話はついている。
 あとは兄さんに話すだけ。
 正直言って気が重いものの、兄さんからの重たい愛に比べれば大したことは無い。

 とはいえ、何と告げれば良いのか……。

 兄さんの部屋の前であれこれ考えつつ、ノックを躊躇していると、不意に扉が開いた。
 中からどっからどう見ても小学生な男の子が私を見上げている。

「梅、さっきからどうしたの? 部屋の前でずっと立って」
「…………うんまあその……話があって……」
「ふーん。何かな?」

 小学生とは思えない大人な笑顔で私を部屋に招き入れる。

「話って?」

 私をベッドに座らせ、その上にちゃっかり座る男の子。

「えーと……兄さん。落ち着いて聞いてね」
「ん?」

 大きな目を薄くしながら私を見上げてくる男の子。
 この男の子は……。

「兄さん……私、一人暮らしする事にしたの」

 正真正銘の実の兄、沖直哉である。


 *****


 沖直哉。
 戸籍上は23歳。
 見た目年齢は12歳といったところだろうか。
 私の5歳年上。
 そう。年上。
 リアルガチで年上である。

 信じられない?
 そりゃそうだ。

 かくいう私も高校生の頃に本当に兄なのかと疑ったものである。
 逆にそれまでは違和感を抱くこと無く接していた事に自分でも驚きなのだが。

 それは置いておこう。

 一応、診断としては遅老症らしいが、実のところはそれしか当てはまらないから暫定的にそうしているだけらしい。
 不思議なことに別に世間で騒がれる事も無く、他の人も殆ど騒ぐ事はなかった。
 母さん達も、一時はすさまじかったものの、今は普通に接している。

 そんな兄が私に執着し始めたのは、やはり私が違和感を覚え始めた高校生の頃だろう。
 過干渉というか。
 私が仲良くなる相手は老若男女問わず兄さんによる監査が入っていた。
 どこから仕入れて来たのかわからない交友関係やら、親類縁者やら。
 担任が生徒、他の教師を食いまくっていたことを突き止めていた時は寒気がした。
 ちなみにその担任は……まあいい。

 とりあえずそんな溺愛具合が酷く億劫に思えており、私としては色々と困るわけで。
 つまり来月からの大学生活でもこの過干渉が続かれると、本気で人間不信になりそうなのだ。
 というかもう半分なっている。

 それ以外でも何かと喧しい兄さんから少し離れたい、そして一人暮らしによる社会経験的な事を得たい、そして一人暮らしの忙しい大学生活というものへの憧れのような物。
 そんな理由諸々の理由で私はこの家を一度出ることを決めたのだ。

 そしてその事を兄さんに話したのだが……。


「…………」

 兄さんは無言で私をニコニコ見上げたままであった。

 怖い。
 怖すぎるっ。

 だって目が笑っていないのだものっ。

「……梅」
「は、はひ」
「一人暮らしという事は、この家を出るという事だよね」
「そ、ソデスネ」
「なんで?」
「だ、だから……その、ね。さっき言った通り……で…………」

 自分でもわかるくらい声が震えている。

「に、兄さんとは……えと……少し、というかしばらく、という……か。離れる……みたいな?」
「そう……」

 ニコニコしつつ黙り続ける兄さんが怖い。

 と。

 不意に兄さんの手が私の頭を抱えこんできた。
 そのまま引き寄せられ、兄さんの口が私の口に当たる。

「ってえ!? 何するの!?」
「あ」
「あじゃない!」

 なんで残念そうな顔する!

 うう……。

 私は兄さんを突き飛ばして部屋を飛びだそうとし……動けなくなった。
 そのまま床に倒れる。

「酷いのは梅のほうだよ。散々僕に愛されておいていきなり出て行こうとするし、キスしたら突き飛ばすしさ」

 なに……?
 なんなの……?
 なんで動かないの……?

「まあいいや。出て行くなら僕も一緒に行くよ。色々と心配だし。あ、母さん達にもまた掛け直さなきゃなぁ」

 兄さん……?

「さてと、梅」

 屈んだ兄さんが私の顔を覗き込んでくる。

「キスしようか」

 うつ伏せのまま頭だけを起こされると、兄さんが襲いかかってきた。
 力が入らず、すぐに口の中に小さくて柔らかい舌が入り込んで来る。
 気持ち悪さに思わず顎に力を入れようとしたが、全く動く気配が無い。
 気がつけば兄さんと私の唾液が混ざり合っていた。

「飲め」
「んっ!? んんっ!んんんっ!……んぐっ……ぐふっんっ……!」

 兄さんが一言呟いただけなのに、その声が私の耳に入った途端、殆ど逆らう事は出来ずに、従っていた。

 気持ち悪いのに、咳き込む事さえも殆ど許してもらえず、口に溜まった物を嚥下し切るまで、兄さんは口を離してはくれなかった。
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