僕、勇者サマの養い子になりました

髙城

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34.

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「リューネが美人で緊張しちゃった?エルフ族はみんなそろいも揃って美人だらけだからね」

アヤさんにそう言われ、僕は恥ずかしくなってうつむいた。
それは確かに間違ってはないんだけど、でも、合ってもいない。
美人なエルフさんを間近で見れて、それはとても眼福でテンションも上がったんだけど、でも他人、特に年上の若い女の人は…
何ていうか、その、上手く表現出来ないんだけど、そう…どうにも『恐い』んだ。
だから緊張して喉がキュッとなって声が出なくなってしまう。
僕には恐くて怖くて仕方がないんだ。
彼女達の、その、口から出てくる声が、言葉が…

不意に視界が揺れ、俯いていた頭がガクンと落ちた。

「イツキ!?」

アヤさんの焦った声が妙に遠くで聞こえる。
やたらと視界が暗くて狭くて、これって、どうなっちゃったんだ?
そして何だか急に物凄く、寒い。
目が回る。気持ちが悪い。猛烈もうれつに吐きそう…

って、しまった!
僕は今、アヤさんに抱っこされてるんだった!
早く降ろして貰わないと大変な事になってしまう。

でも吐きそう、吐けない、気持ち悪い。
僕は上手く動かない自分の体にイラつきながらも、必死に震える手で口を塞いだ。

ヤバイ、苦しい、吐きそう、辛い…

余りに辛くて涙が止まらなくなったその時、アヤさんが僕の手を退けて口の中に指を突っ込んできた。
喉の奥まで指を入れられて、僕は反射的に嘔吐おうとしてしまってパニックになった。
汚してしまう!!
それなのにアヤさんにお腹を押され、背中をさすられて、僕は長い時間を掛けて黄色い胃液まですっかり吐いてしまった。
ぐったりと脱力していると、漸くアヤさんの声が耳に届き始めた。

「イツキ、大丈夫?まだ吐きそう?」

いつの間にか、震える僕は毛布にくるまれて床にへたり込み、桶に顔を突っ込むようにして吐かされていた。
アヤさんに優しく背中を撫でられながら、僕は自分の吐瀉物としゃぶつの臭いで再度吐きそうになったけど、胃の中にはもう吐く物が無くて、胃液で焼けた喉が猛烈に痛いだけだった。
口の中も苦酸っぱくて気持ちが悪い。
どうやってアヤさんに伝えたらいいのが分からずわずかに身動みじろぎすると、すぐに気付いてくれたアヤさんが汗や涙や吐瀉物で汚れた顔と口元を濡らしたタオルでキレイに拭いてくれた。
桶を遠ざけて身体を起こして貰い、無限収納アイテムボックスから取り出した温かいお茶を手ずから飲ませて貰った僕は人心地ついて大きく肩で息を吐いた。
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