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「イツキ、もう大丈夫だからね、ちゃんと私だからね、ここにホントに居るからね」
一瞬息が止まりそうになるくらい、ギュウッと強く僕を抱き締め返して、アヤさんは繰り返し繰り返し何度も僕に声を掛けてくれた。
そしてしがみ付いたまま泣き過ぎて頭が痛くなってきた頃、どうやらアヤさんと一緒になって僕を探してくれていたらしいウールドさんが僕達を見付けて駆け寄ってきた。
「アヤトお前なぁ……
見付けたなら見付けたって連絡くらい寄越せよマジで!」
恨みがましく言った後、ウールドさんは焦った声音で続けた。
「おい、アヤト!こいつ…顔とか爪が青白くなってんぞ?今朝はスゲェ晴れてて明け方なんか少し肌寒いくらいだったし、もしずっと外に居たのなら冷え切ってるんじゃねぇのか?」
言われてアヤさんは失念していたとばかりに慌てて毛布を取り出した。
それをウールドさんが引っ掴むと、僕をアヤさんごと包み込んで、僕に触れないように気を使ってくれながら二人纏めて軽々と抱き上げた。
「イツキを落とすなよ」
「死んでも落とすか!当たり前だろ」
「取り敢えずお前ら、家に戻ったらさっさと風呂にでも入れ。いいな?全く二人して酷ぇ顔しやがって…」
ウールドさんは疲れたように嘆息して僕達を家まで運ぶと、リビングのソファーに僕達を転がし、「俺はもう身も心も疲れ果てた。宿に帰って寝る」と言い捨てて転移で消えてしまった。
「すぐお風呂沸かしてくるから!」
そう言うと、アヤさんが僕から離れようとして止まり、すぐに考え直したのか僕を抱き抱えるとお風呂場に向かって歩き始めた。
「また目を離した隙に居なくなるといけないからね」
苦笑いしつつお風呂場に着くと、アヤさんは浴槽の栓を確認してからカランを捻って勢い良くお湯を出した。
そして、いい事を思い付いた!って感じで「もういっその事、一緒にお風呂に入っちゃおうか?」と言い出した。
僕は一人にされる方が怖かったから、コクリと頷くと、アヤさんは困ったような顔で小さく笑った。
「イツキ……あのね、私以外の男に同じ事を言われた時は、そんな簡単に『うん』って頷くと本当に危険なんだからね?イツキの外見は可愛い可愛い女の子なんだから、特にウールドみたいなケダモノには要注意だよ。
いい?例え冗談で言われても、絶対に頷いたりしないようにね?」
僕の頭を撫でながら、幼い子に言い聞かせるようにゆっくりと優しく言われて、僕は苦笑しつつ頷いた。
アヤさんは心配性だなぁ。
ウールドさんは物凄くモテそうだから、そういう意味で僕になんか興味を持つ訳が無いのに。
そんな事言われたら、寧ろウールドさんの方が迷惑だよ…
一瞬息が止まりそうになるくらい、ギュウッと強く僕を抱き締め返して、アヤさんは繰り返し繰り返し何度も僕に声を掛けてくれた。
そしてしがみ付いたまま泣き過ぎて頭が痛くなってきた頃、どうやらアヤさんと一緒になって僕を探してくれていたらしいウールドさんが僕達を見付けて駆け寄ってきた。
「アヤトお前なぁ……
見付けたなら見付けたって連絡くらい寄越せよマジで!」
恨みがましく言った後、ウールドさんは焦った声音で続けた。
「おい、アヤト!こいつ…顔とか爪が青白くなってんぞ?今朝はスゲェ晴れてて明け方なんか少し肌寒いくらいだったし、もしずっと外に居たのなら冷え切ってるんじゃねぇのか?」
言われてアヤさんは失念していたとばかりに慌てて毛布を取り出した。
それをウールドさんが引っ掴むと、僕をアヤさんごと包み込んで、僕に触れないように気を使ってくれながら二人纏めて軽々と抱き上げた。
「イツキを落とすなよ」
「死んでも落とすか!当たり前だろ」
「取り敢えずお前ら、家に戻ったらさっさと風呂にでも入れ。いいな?全く二人して酷ぇ顔しやがって…」
ウールドさんは疲れたように嘆息して僕達を家まで運ぶと、リビングのソファーに僕達を転がし、「俺はもう身も心も疲れ果てた。宿に帰って寝る」と言い捨てて転移で消えてしまった。
「すぐお風呂沸かしてくるから!」
そう言うと、アヤさんが僕から離れようとして止まり、すぐに考え直したのか僕を抱き抱えるとお風呂場に向かって歩き始めた。
「また目を離した隙に居なくなるといけないからね」
苦笑いしつつお風呂場に着くと、アヤさんは浴槽の栓を確認してからカランを捻って勢い良くお湯を出した。
そして、いい事を思い付いた!って感じで「もういっその事、一緒にお風呂に入っちゃおうか?」と言い出した。
僕は一人にされる方が怖かったから、コクリと頷くと、アヤさんは困ったような顔で小さく笑った。
「イツキ……あのね、私以外の男に同じ事を言われた時は、そんな簡単に『うん』って頷くと本当に危険なんだからね?イツキの外見は可愛い可愛い女の子なんだから、特にウールドみたいなケダモノには要注意だよ。
いい?例え冗談で言われても、絶対に頷いたりしないようにね?」
僕の頭を撫でながら、幼い子に言い聞かせるようにゆっくりと優しく言われて、僕は苦笑しつつ頷いた。
アヤさんは心配性だなぁ。
ウールドさんは物凄くモテそうだから、そういう意味で僕になんか興味を持つ訳が無いのに。
そんな事言われたら、寧ろウールドさんの方が迷惑だよ…
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