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「そう…なんでしょうか?そうだったらいいんですけど」
僕は自信が持てずに俯くと、アヤさんに頭を撫でられて肩から少しだけ力を抜いた。
ところでさっきから、ずっと気になってた事があるんだけど、どうしよう。
取り敢えず大至急、確認しておかないといけない事だとは思うんだけど…
で、僕は意を決して顔を上げた。
「ん?どうしての?」
「アヤさん、あの、僕、さっきから魔力を使ってます…けど、その、良かったんですか?」
そう、アヤさんから『一度ちゃんと僕の魔力を測って、満タンと枯渇寸前の基準を登録して、魔力が視認出来る魔道具を作るから、それまでは魔力を使っちゃダメ』って言われてたよね?みたいな感じでドキドキしてたんだけど…
「ああ、それなら大丈夫だよ。だってイツキが寝てる間に仮登録した奴だけど作っておいたからね」
「…え?」
「ほら、左手首の腕輪だよ」
「…え?」
僕は慌てて自分の左手を胸の位置まで上げて手首を見れば、細くて華奢な銀色の腕輪が付けられている事に気が付いた。
青みがかった白色の小さな石が付いていて、良く見れば銀色の腕輪本体には『不可視、製作者以外不壊、防汚、所有者登録(成澤樹)』の文字が、石には『魔力残量可視化』の文字が書き込まれていた。
「急拵えだから最小限の付与しかまだ付けれてないんだけど、一応イツキのお昼寝中に無断で悪いけど『鑑定』させて貰って、スキルレベル10を駆使して仮で登録しておいてみたんだよ」
「あの、これ…どうやって魔力の残量を見ればいいんですか?」
「ん?ああ、石の色だよ。鮮やかな青色が満タンで、そこから白くなっていって、更に魔力が減ると黄色を経て赤くなっていくよう設定してあるんだ」
へぇ、凄いなぁ。
「取り敢えず白色まではイツキの自由に使ってもいいって事にしておこうかな。で、私と一緒の時なら橙色まで。それから命に関わるような非常事態以外、赤色に至るまでは絶対に使わないって約束して欲しいんだ。いいかい?」
「…はい」
「ん、いい子」
素直に頷いた後、アヤさんに頭を撫で回されながら僕は気持ち良さに目を細めつつ、『小説とかであるみたいに魔力が空になるまで使いまくって容量を増やすとか出来ないのかな?こっそりやってみたらどうなるのかな?』なんて軽く考えていたら、急に両頬を摘まれて驚いた。
「また良からぬ事を考えてる気配がする…」
な、何で分かったんですか!?
やっぱりアヤさん僕の心が読めてるんじゃ???
僕はアヤさんの勘の良さに驚愕しつつ、ビクッと震えてから慌てて首を横に振った。
怖い、鋭過ぎて怖い。
コレこっそりとか絶対に無理だ。やめとこう…
こうして、僕は内緒で魔力を増やす練習を嘆息しながら渋々諦める事になったのだった。
僕は自信が持てずに俯くと、アヤさんに頭を撫でられて肩から少しだけ力を抜いた。
ところでさっきから、ずっと気になってた事があるんだけど、どうしよう。
取り敢えず大至急、確認しておかないといけない事だとは思うんだけど…
で、僕は意を決して顔を上げた。
「ん?どうしての?」
「アヤさん、あの、僕、さっきから魔力を使ってます…けど、その、良かったんですか?」
そう、アヤさんから『一度ちゃんと僕の魔力を測って、満タンと枯渇寸前の基準を登録して、魔力が視認出来る魔道具を作るから、それまでは魔力を使っちゃダメ』って言われてたよね?みたいな感じでドキドキしてたんだけど…
「ああ、それなら大丈夫だよ。だってイツキが寝てる間に仮登録した奴だけど作っておいたからね」
「…え?」
「ほら、左手首の腕輪だよ」
「…え?」
僕は慌てて自分の左手を胸の位置まで上げて手首を見れば、細くて華奢な銀色の腕輪が付けられている事に気が付いた。
青みがかった白色の小さな石が付いていて、良く見れば銀色の腕輪本体には『不可視、製作者以外不壊、防汚、所有者登録(成澤樹)』の文字が、石には『魔力残量可視化』の文字が書き込まれていた。
「急拵えだから最小限の付与しかまだ付けれてないんだけど、一応イツキのお昼寝中に無断で悪いけど『鑑定』させて貰って、スキルレベル10を駆使して仮で登録しておいてみたんだよ」
「あの、これ…どうやって魔力の残量を見ればいいんですか?」
「ん?ああ、石の色だよ。鮮やかな青色が満タンで、そこから白くなっていって、更に魔力が減ると黄色を経て赤くなっていくよう設定してあるんだ」
へぇ、凄いなぁ。
「取り敢えず白色まではイツキの自由に使ってもいいって事にしておこうかな。で、私と一緒の時なら橙色まで。それから命に関わるような非常事態以外、赤色に至るまでは絶対に使わないって約束して欲しいんだ。いいかい?」
「…はい」
「ん、いい子」
素直に頷いた後、アヤさんに頭を撫で回されながら僕は気持ち良さに目を細めつつ、『小説とかであるみたいに魔力が空になるまで使いまくって容量を増やすとか出来ないのかな?こっそりやってみたらどうなるのかな?』なんて軽く考えていたら、急に両頬を摘まれて驚いた。
「また良からぬ事を考えてる気配がする…」
な、何で分かったんですか!?
やっぱりアヤさん僕の心が読めてるんじゃ???
僕はアヤさんの勘の良さに驚愕しつつ、ビクッと震えてから慌てて首を横に振った。
怖い、鋭過ぎて怖い。
コレこっそりとか絶対に無理だ。やめとこう…
こうして、僕は内緒で魔力を増やす練習を嘆息しながら渋々諦める事になったのだった。
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