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アヤさん……この世界では勇者様だもんな。
きっと強くて当たり前ってみんなに思われてて、心配なんて……して貰えなかったのかな?
僕は再び背中をポンポンしながら胸にアヤさんの顔を埋めていると、ゼアラさん達が戻って来た気配がして身動ぎした。
アヤさんが名残惜しそうに僕を離してくれたけど、手だけはガッチリ繋いだままだった。
もしかして今日はずっと手を離さないでいるつもり…なのかな?
僕はそんな事を思いながら、さり気なくアヤさんの斜め後ろに隠れると、興奮気味のルヴェリオさんが持って行った魔法鞄と色違いの黒い鞄を振り回しながら近付いて来た。
「アヤト様、中を確認して参りましたが、3頭とも素晴らしいグリフィンでごさいやした」
「そうか。必要な素材があったらまた遠慮なく言ってくれ」
「ありがとうごさいやす。では解体が終わりましたらすぐにでもご連絡いたしやす」
「ああ、宜しく頼む」
「それでこれが頼まれていた大海蛇なんですが、先日ご連絡させて頂いた通り、皮と肉を4分の1程頂きましたのでご了承下さいやし」
「ああ、構わない」
「ありがとうごさいやす」
ルヴェリオさんが黒い鞄をアヤさんに手渡して頭を下げると、おそらく茶葉が入っているんだろう蓋付の大きな四角い缶を持ったゼアラさんが一拍置いて頭を下げ歩み出た。
「お待たせ致しました。トゥーヤ茶でございます」
「ありがとう。無理を言ってすまないな」
「とんでもごさいません。お眼鏡に適い光栄でございます」
無限収納に黒い鞄を仕舞ってから、恭しく差し出された缶を受け取ったアヤさんは満足気に頷いて缶も仕舞うと、お次はベルティーナさんが緊張気味に小さな缶を持って歩み出て来た。
「以前お話されていたフレーバーティーの試作品にございます」
「へぇ、もう出来たのか。凄いね」
「ありがとうございます。一応『アップルティー』なるものを目指して作成致しましたので、宜しければ一度ご試飲下さいませ」
缶を開け、中を見せながらベルティーナさんがそう言うと、アヤさんは香りを確かめてから嬉しそうに目を細めた。
「良い香りだね。今からとても楽しみだよ、ありがとう」
「ごっ、ご試飲して頂いた際に気付かれた点などございましたら宜しくお願い致します」
「ああ、分かった」
アヤさんの嬉しそうな顔を見て、ベルティーナさんは何故か一瞬動揺して吃っていたけど、何とか立て直して頭を下げ、蓋を閉じながら缶を手渡して立っていた元の位置へと戻って行った。
しかし会う人みんな、アヤさんが感情を表に出す度に動揺してるけど、そんな驚く程に違うんだねぇ…
確かにアヤさんは僕以外の人と話してる時、無表情に近い感じだし、話し方も淡々としてるけど、僕としては『お仕事モード』って奴かな?って何となく思ってたんだけど…
完全にプライベートの時のアヤさんは割と残念なイケメンなんだって知ったら、みんなは一体どうするんだろう?
これはもう、アヤさんの『勇者アヤト様』としての威厳を守る為にも、頑張って絶対内緒にしておかないと!?
僕は妙な使命感に決意を固めてフンス!と鼻から息を吐くと、アヤさんと手を繋いでいない右手を強く握り締めた。
きっと強くて当たり前ってみんなに思われてて、心配なんて……して貰えなかったのかな?
僕は再び背中をポンポンしながら胸にアヤさんの顔を埋めていると、ゼアラさん達が戻って来た気配がして身動ぎした。
アヤさんが名残惜しそうに僕を離してくれたけど、手だけはガッチリ繋いだままだった。
もしかして今日はずっと手を離さないでいるつもり…なのかな?
僕はそんな事を思いながら、さり気なくアヤさんの斜め後ろに隠れると、興奮気味のルヴェリオさんが持って行った魔法鞄と色違いの黒い鞄を振り回しながら近付いて来た。
「アヤト様、中を確認して参りましたが、3頭とも素晴らしいグリフィンでごさいやした」
「そうか。必要な素材があったらまた遠慮なく言ってくれ」
「ありがとうごさいやす。では解体が終わりましたらすぐにでもご連絡いたしやす」
「ああ、宜しく頼む」
「それでこれが頼まれていた大海蛇なんですが、先日ご連絡させて頂いた通り、皮と肉を4分の1程頂きましたのでご了承下さいやし」
「ああ、構わない」
「ありがとうごさいやす」
ルヴェリオさんが黒い鞄をアヤさんに手渡して頭を下げると、おそらく茶葉が入っているんだろう蓋付の大きな四角い缶を持ったゼアラさんが一拍置いて頭を下げ歩み出た。
「お待たせ致しました。トゥーヤ茶でございます」
「ありがとう。無理を言ってすまないな」
「とんでもごさいません。お眼鏡に適い光栄でございます」
無限収納に黒い鞄を仕舞ってから、恭しく差し出された缶を受け取ったアヤさんは満足気に頷いて缶も仕舞うと、お次はベルティーナさんが緊張気味に小さな缶を持って歩み出て来た。
「以前お話されていたフレーバーティーの試作品にございます」
「へぇ、もう出来たのか。凄いね」
「ありがとうございます。一応『アップルティー』なるものを目指して作成致しましたので、宜しければ一度ご試飲下さいませ」
缶を開け、中を見せながらベルティーナさんがそう言うと、アヤさんは香りを確かめてから嬉しそうに目を細めた。
「良い香りだね。今からとても楽しみだよ、ありがとう」
「ごっ、ご試飲して頂いた際に気付かれた点などございましたら宜しくお願い致します」
「ああ、分かった」
アヤさんの嬉しそうな顔を見て、ベルティーナさんは何故か一瞬動揺して吃っていたけど、何とか立て直して頭を下げ、蓋を閉じながら缶を手渡して立っていた元の位置へと戻って行った。
しかし会う人みんな、アヤさんが感情を表に出す度に動揺してるけど、そんな驚く程に違うんだねぇ…
確かにアヤさんは僕以外の人と話してる時、無表情に近い感じだし、話し方も淡々としてるけど、僕としては『お仕事モード』って奴かな?って何となく思ってたんだけど…
完全にプライベートの時のアヤさんは割と残念なイケメンなんだって知ったら、みんなは一体どうするんだろう?
これはもう、アヤさんの『勇者アヤト様』としての威厳を守る為にも、頑張って絶対内緒にしておかないと!?
僕は妙な使命感に決意を固めてフンス!と鼻から息を吐くと、アヤさんと手を繋いでいない右手を強く握り締めた。
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