僕、勇者サマの養い子になりました

髙城

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161.

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「あ、でもね、イツキだけは私にとって別枠だからね?可愛いとか可愛いとか恋愛感情とか、もう、そういうのは全て超越しちゃってる存在だから」

超越……

そこは良く分からないけど、まぁ、僕にとってのアヤさんも他の人達とは別次元の特別な存在だから、そんな感じ…なのかも?

って、それよりも『可愛い』が2回あったのは何故なんだろう?
もしかしてまだ『可愛いで洗脳(?)する計画』が続行中だったのかな?

まぁ……
いいか。
だってアヤさんだもんな。
僕なんかが色々考えても、理解する事は難しそうだ。
ただ単純に言い間違えただけかも知れないし。

そこはあっさりと考えを放棄して、僕はとうとう見えなくなったシェーラさんの姿に心苦しくもホッとしながら、歩き続けるアヤさんにそっと頬を擦り寄せた。

申し訳なく感じても、今この場所にいられる事に安堵している自分がいて嫌になってしまう。

でも、迷惑だって言われるまでは許されていると思って側に居させて貰えたら…嬉しい。

どうか……
どうかお願いだから、少しでも長くここに居させッ…!?

不意にギュッと抱き締められ、驚いた僕は顔を上げてアヤさんを見た。
湧き上がる不安に視線が泳いでしまうと、僕を見詰めながら、アヤさんが顔を歪めて頭を下げた。

「ごめんね。ホントにごめん。気にしないでって言ったって無理なのは分かってるんだけど、この件でイツキが気に病む事は何一つ無いんだから、その事だけはちゃんと覚えててね?」

ーーーーはい。
大丈夫です。

僕は小さな笑みを浮かべてコクンと頷くと、いきなりアヤさんに右の頬を痛くないようにつねられて目を白黒させてしまった。

「…またその顔した」
「ッ!?」
「シンラの森で、自身の所有権を放棄した時と同じ顔…」

え?
何それ、どんな顔!?
良く分からないんだけど、とにかく、アヤさんを不快にさせてしまったのならまず謝らないと!!

「ご、ごめんなさいッ!」
「違う!謝って欲しいんじゃなくて。そうじゃなくて。そんな風に未練なく全部諦めてる顔して頷かれても………って、
あぁ~もう!違うんだ。ごめん、完全に八つ当たりだ…」

八つ…当たり?

「だってイツキは自分からは何も欲しがってくれないから……
私の事を誰にも取られたくないんだって、そう思って嫉妬してもくれないんだと思ったら悔しくなっちゃって…」

僕が……嫉妬?
誰にも取られたくない??

アヤさん程の人を僕なんか・・・が!?

そんなの、
考えも付かなかった…

だってそんなの、思う事すらおこがましいし、まず有り得ない。
そもそも取られるも何も、アヤさんは僕なんかのものではないのに。

それに、僕は既にアヤさんの所有物(みたい)だけど、アヤさんは僕ごときがどうこうしていい人ではないんだから。
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